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第1章 成長
第51話 大精霊シャイン
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「それ以上近づいてきたら攻撃するわ。早く降りて」
「あ、ああ」
影と聖女を威嚇してラッセルを降ろす。ダモクレスを取り出す。この際、出し惜しみは無し。
「”聖剣”……。シャイン様。緊急事態」
ダモクレスを”聖剣”と言う聖女。私は首を傾げて状況を見守る。
「代わる? わかりました」
聖女がそういうと白かった瞳が金色に代わる。
「私はシャイン。あなたのその剣は聖剣ダモクレス?」
「いえ、魔剣ダモクレスです」
「聖剣ダモクレスね」
聖女はシャインと名乗りダモクレスを見つめてくる。聖剣じゃなくて魔剣なのよね~。私の答えを聞いても彼女は頑なで聖剣だと言ってくる。
「教会の神話に伝わる聖剣ダモクレス。圧政を働いた王を倒した剣として伝えられているの。私は大精霊シャイン。その現場を見ていたのだから確かよ」
「え……。でも、確かに魔剣ですよ」
どうやら、聖女様の体は大精霊のシャインの意識に乗っ取られているみたい?
ダモクレスの神話時代に彼女が生きているわけないもんね。私みたいな不老不死ならともかく。
「まあいいわ。これからあなたも私の物にして世界を作る。私を信仰する世界に」
「はぁ? ちょ!?」
聖女はそう言って近づいてくる。ダモクレスの切っ先に触れてくる。影は見ているだけ、こんなの傷つけるわけにはいかないけど。聖女の言っていることは支持できない。シャイン教の考えは偏ったものだから。
「近づかないで!」
「ふふ、大丈夫。暖かくなってきたでしょ?」
距離を取り声をあげる。聖女はクスクスと笑い、再度近づいてくる。
暖かくなってきた。受け入れてしまいそうな暖かさ。ただただ聖女を抱きしめたくなる。でも、違う。私はこの人の仲間になるつもりはない。
「言ってダメなら!」
「な!?」
ダモクレスの腹で聖女を横なぎに振り払う。吹き飛ぶ聖女、すかさず影が聖女を抱きとめる。その時、影の顔が少し見えた。骸骨だ。
「なるほど、生き返ったものの正体見たりか? スケルトンとして生き返らせることができるってか?」
ラッセルがそういうと短剣を二つ取り出す。彼も戦う気みたい。
「魅了が効かない? 私よりもレベルが上だとでもいうの? うっ!? そろそろこの体の限界ね。私を維持するのにマナが足りない。あとは頼んだわ。私の聖女様」
聖女は瞳の色を白に戻す。影に抱き上げられる彼女は私を見つめてくる。
「聖剣の持ち主。シャイン様の魔法を拒むもの。凄い力を感じる」
聖女はそう言うとにっこりと微笑む。
「あの子を捉えて。他は殺して構わない」
「へっ。教会の本性見たり。殺せるものなら殺してみやがれ!」
聖女が私達を指さして号令を下す。ラッセルは両手に持った短剣を構えて影と交戦する。
「スケルトンなんて初めてだけど!」
私にも近づいてくる影。横なぎに剣で払うと粉々になっていく。そんなに強くないように感じる。
「達人のスケルトン達も形無し。強い」
聖女がそういって光の弾を打ち出してくる。私に当たる弾、服が少し破れるだけ。ダメージはない。
「おい! こっちを手伝ってくれ! 俺は達人じゃねえんだぞ!」
「その割にはもってるじゃない」
「馬鹿! 避けるのに必死だっての!」
ラッセルが声を上げる。3体の影に攻撃されて逃げ回ってる。短剣をうまく使っていなしてるように見える。彼も結構戦闘経験があるみたい。
「早く取り押さえて!」
聖女の幼い指示の声が響く。その間にも私が影を粉々にしていく。あとは聖女を抱き上げている影だけ。
「ハァハァ……。まったく、夜のデートはベッドの上でゆっくりしたいもんだがな」
息を切らせながらもセクハラをするラッセル。
影は彼女を降ろすと針のような細い剣を腰から抜いて見せてくる。月明りに輝く白剣、息をのむほどの美しい剣。立ち振る舞いから今までの影よりも強いのを感じる。
「ビード。彼の名前。ある部族のリーダーだった男。私に剣を向けてきたから生き返らせてあげたの」
聖女はそう言ってクスッと笑う。聖女と言いたくない声を上げるわね。
「え?」
ビードと言われた影がゆらりと左右に揺れる。左右に揺れているだけだと思ったら彼の手からいしつぶてが放たれる。
体にいしつぶてが当たると気が付いた。あの独特な体の使い方で惑わされてる?
「おっと、怖い怖い。俺にもやるのか」
「よく避けれるね」
ラッセルは簡単にいしつぶてを避けて見せる。戦闘経験は彼の方が豊富なのかも。特に人と戦うことに関しては。
「俯瞰視点で見るんだよ。こうやってな」
「達人じゃないって言ってたくせに」
私に勝てるものができて得意げに躱して見せるラッセル。なんだか私も負けた気がして悔しい。
「ビード!」
聖女の声が上がる。その声でビードが顔を上げる。骸骨の顔が笑っているように見える。
「その子がお気に入りなの?」
「ビードは私を守ってくれる。大事な影」
「そんな大事なのに戦わせるの?」
「……」
私の声に答える聖女。大事なものを戦わせてることに違和感を感じて問いかける。彼女は声を上げることができずに私を睨みつける。
「シャイン様に言われているからあなたをころすことはできない。でも、私もシャイン様のお気に入り。少し体を傷つけても許してくれる」
聖女はそう言うと両手に光を貯める。その光の強さがビードにも移っていく。これからが本番とでもいうかのように私とラッセルへ敵意を向けてくる。
「あ、ああ」
影と聖女を威嚇してラッセルを降ろす。ダモクレスを取り出す。この際、出し惜しみは無し。
「”聖剣”……。シャイン様。緊急事態」
ダモクレスを”聖剣”と言う聖女。私は首を傾げて状況を見守る。
「代わる? わかりました」
聖女がそういうと白かった瞳が金色に代わる。
「私はシャイン。あなたのその剣は聖剣ダモクレス?」
「いえ、魔剣ダモクレスです」
「聖剣ダモクレスね」
聖女はシャインと名乗りダモクレスを見つめてくる。聖剣じゃなくて魔剣なのよね~。私の答えを聞いても彼女は頑なで聖剣だと言ってくる。
「教会の神話に伝わる聖剣ダモクレス。圧政を働いた王を倒した剣として伝えられているの。私は大精霊シャイン。その現場を見ていたのだから確かよ」
「え……。でも、確かに魔剣ですよ」
どうやら、聖女様の体は大精霊のシャインの意識に乗っ取られているみたい?
ダモクレスの神話時代に彼女が生きているわけないもんね。私みたいな不老不死ならともかく。
「まあいいわ。これからあなたも私の物にして世界を作る。私を信仰する世界に」
「はぁ? ちょ!?」
聖女はそう言って近づいてくる。ダモクレスの切っ先に触れてくる。影は見ているだけ、こんなの傷つけるわけにはいかないけど。聖女の言っていることは支持できない。シャイン教の考えは偏ったものだから。
「近づかないで!」
「ふふ、大丈夫。暖かくなってきたでしょ?」
距離を取り声をあげる。聖女はクスクスと笑い、再度近づいてくる。
暖かくなってきた。受け入れてしまいそうな暖かさ。ただただ聖女を抱きしめたくなる。でも、違う。私はこの人の仲間になるつもりはない。
「言ってダメなら!」
「な!?」
ダモクレスの腹で聖女を横なぎに振り払う。吹き飛ぶ聖女、すかさず影が聖女を抱きとめる。その時、影の顔が少し見えた。骸骨だ。
「なるほど、生き返ったものの正体見たりか? スケルトンとして生き返らせることができるってか?」
ラッセルがそういうと短剣を二つ取り出す。彼も戦う気みたい。
「魅了が効かない? 私よりもレベルが上だとでもいうの? うっ!? そろそろこの体の限界ね。私を維持するのにマナが足りない。あとは頼んだわ。私の聖女様」
聖女は瞳の色を白に戻す。影に抱き上げられる彼女は私を見つめてくる。
「聖剣の持ち主。シャイン様の魔法を拒むもの。凄い力を感じる」
聖女はそう言うとにっこりと微笑む。
「あの子を捉えて。他は殺して構わない」
「へっ。教会の本性見たり。殺せるものなら殺してみやがれ!」
聖女が私達を指さして号令を下す。ラッセルは両手に持った短剣を構えて影と交戦する。
「スケルトンなんて初めてだけど!」
私にも近づいてくる影。横なぎに剣で払うと粉々になっていく。そんなに強くないように感じる。
「達人のスケルトン達も形無し。強い」
聖女がそういって光の弾を打ち出してくる。私に当たる弾、服が少し破れるだけ。ダメージはない。
「おい! こっちを手伝ってくれ! 俺は達人じゃねえんだぞ!」
「その割にはもってるじゃない」
「馬鹿! 避けるのに必死だっての!」
ラッセルが声を上げる。3体の影に攻撃されて逃げ回ってる。短剣をうまく使っていなしてるように見える。彼も結構戦闘経験があるみたい。
「早く取り押さえて!」
聖女の幼い指示の声が響く。その間にも私が影を粉々にしていく。あとは聖女を抱き上げている影だけ。
「ハァハァ……。まったく、夜のデートはベッドの上でゆっくりしたいもんだがな」
息を切らせながらもセクハラをするラッセル。
影は彼女を降ろすと針のような細い剣を腰から抜いて見せてくる。月明りに輝く白剣、息をのむほどの美しい剣。立ち振る舞いから今までの影よりも強いのを感じる。
「ビード。彼の名前。ある部族のリーダーだった男。私に剣を向けてきたから生き返らせてあげたの」
聖女はそう言ってクスッと笑う。聖女と言いたくない声を上げるわね。
「え?」
ビードと言われた影がゆらりと左右に揺れる。左右に揺れているだけだと思ったら彼の手からいしつぶてが放たれる。
体にいしつぶてが当たると気が付いた。あの独特な体の使い方で惑わされてる?
「おっと、怖い怖い。俺にもやるのか」
「よく避けれるね」
ラッセルは簡単にいしつぶてを避けて見せる。戦闘経験は彼の方が豊富なのかも。特に人と戦うことに関しては。
「俯瞰視点で見るんだよ。こうやってな」
「達人じゃないって言ってたくせに」
私に勝てるものができて得意げに躱して見せるラッセル。なんだか私も負けた気がして悔しい。
「ビード!」
聖女の声が上がる。その声でビードが顔を上げる。骸骨の顔が笑っているように見える。
「その子がお気に入りなの?」
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「……」
私の声に答える聖女。大事なものを戦わせてることに違和感を感じて問いかける。彼女は声を上げることができずに私を睨みつける。
「シャイン様に言われているからあなたをころすことはできない。でも、私もシャイン様のお気に入り。少し体を傷つけても許してくれる」
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