赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
14 / 49
第一章 ジーニアスベル

第14話 復興

しおりを挟む
「あ~、家が滅茶苦茶にされてる」

「グッツ、これは苦労するぞ」

 オーベンの村について現状を把握して、グッツさんとお父さんが苦笑いで話してる。
 家が十軒もない村だったけど、見事に全部燃やされているか壊されてる。
 村を囲っていた木の柵も全部几帳面に壊されてるな。

「ん、柵は私達冒険者がどうにかします」

「私も手伝います」

「シリカ? 大丈夫?」

「前に作ったことがあるから大丈夫」

 ララさんと冒険者達が提案するとシリカちゃんが手をあげた。シリカちゃんもそういったことが出来るのか。本当に優秀な子だな。僕はそんなことやったことないから出来ないぞ。

「では騎士団は家のための木を切ります」

 ローズさんがそういって騎士団と共に森へと出かけていく。そんなに遠くないから目視できるな。

「じゃあ、俺達は家を建てるかグッツ」

「おう。前の間取りでいいよな?」

「どうせなら大きな家にしたいところだが、人数が増えたから建てる速度をあげたほうがいいだろう。同じでいいな」

 お父さんがグッツさんと家を建てるみたい。僕らよりも先にいた難民たちもついてきたのでオーベンは結構な大所帯になった。百人程で騎士団も入れると百五十人くらいだろうか。ちょっとした町になったな~。

「俺達は元大工だ。使ってくれジークさん」

「おお、本職がいたか。じゃあ、よろしく頼みます。木は俺達が運んでくるので」

「了解だ。おっと名乗ってなかったな。俺はダンクだ」

 難民の中に大工さんもいたみたい。お父さんが喜んで仕事を任せるとすぐに木を運びこんでいく。それでも一日一軒くらいのペースかな。家が建つまでは馬車とテントでの暮らしになりそう。
 魔物の群れがそうそう来るとは思えないから大丈夫だと思うけど、警戒はしておこうかな。

「タッタッタ~、ダッ!」

「ギャ!? ……」

 僕に気づいた時には魔物は物言わぬ肉塊になって消えていく。魔石を一か所に集めてジャンプ。
 みんなが村の復興をしている間、僕は街道のある方角とは反対方向を守る。やっぱり残党っぽいゴブリンが多くみられる。
 5体程倒したけど、やっぱり試練のAランクの魔物を倒すことにはなってない。大きな大剣を持っていたゴブリンも倒したんだけど、ダメみたいだな。たぶんあれはジェネラルとかいう奴だろう。

「ジーニ。あまり危険なことはしちゃダメよ」

 魔石を集めて観察しているとお母さんが僕に声をかけてくれる。お母さん達はみんな食事の準備をしてくれてる。人数は多いから大変そうだな。

「お肉が手に入らないから満足にみんなに食べてもらえないわ」

「バブ?」

「!? 違うのよジーニ。別に取ってきてほしいと思って言ったわけじゃないの。あなたは家にいてちょうだい!」

「ブ~!」

 僕を抱き上げて馬車に帰ろうとするお母さん。僕は抵抗するけど、離してくれない。力があるんだから狩ってきてもいいと思うけどな。熊など物の数ではないんだし。

「ブ~ブ~!」

「ただいま。どうしたんだジーニアスは、怒ってるじゃないか?」

 一仕事終えて、お父さんが馬車に帰ってくる。憤りを声に出してる僕に気が付いたお父さんが首を傾げてる。

「皆さんにお肉を食べてもらいたいってポロッと言っちゃって。すぐにでも出ていっちゃいそうだったから捕まえたんだけど」

「そのくらい許してやればいいのに」

「!? ジーク!」

「ちょ、どうしたんだよエリアス!?」

 お父さんが許してくれているような声を漏らすとお母さんが怖い顔で迫っていく。

「ジーニはまだ生まれたばかりなのよ! そんな子に狩りをさせるなんておかしいでしょ!」

「……い、言いたいことはわかるがな~。難民キャンプにいたころは普通に」

「ここは難民キャンプじゃありません! 騎士の方達もいるんだからジーニが狩りをしなくたっていいでしょ!」

「え、エリアス、もうちょっと声を抑えてだな~」

「なによ!」

 お母さんの声が村全体に聞こえるほど放たれる。なだめようとするお父さんだけど、無理みたいだな。

「……エリアス」

 お父さんはふっと息を漏らしてお母さんを抱きしめる。

「君がこんなに元気になってくれたのはジーニアスのおかげだ。俺は凄い嬉しいよ」

「ジーク……」

「ジーニアスには不思議な力があるんだ。それに優しい心も持ち合わせて、あんな魔物に向き合う勇気も。俺はジーニアスのやりたいことをやらせてやりたいと思ってるんだ。ダメか?」

 お父さんが優しく諭していく。お母さんは瞳に涙をためて見つめ合う。自然と唇が重なり合うとお母さんは頷いて僕へと振り返った。

「ジーニ、自由にしていいわ。あなたは私達の為にしてくれているんだものね。それを縛るなんて傲慢でしかなかったわ」

「バブ!」

 両親がイチャイチャしているのは少し複雑な心境だが、気持ちは届いてくれたかな。お父さんの器の大きさが半端なくて頼りになるな~。
 ということで僕は自由の身になりました。森へと入って動物を探すぞ~。

「タッタッタ~」

 シュッシュッ! そんな音がでるほど早くハイハイで森を駆ける。一向に動物がいないな~。

「団長。いったんこのくらいで休憩しませんか?」

「ラミルダ。まだ二軒分くらいしか切れてないわよ! 休憩は早い」

「何を~! ミルファ、お前は見てるだけじゃねえか! 切るの大変なんだぞ」

「力仕事は馬鹿なあんたの仕事でしょ。私は動物がいないか探しながら護衛してるんじゃない。食料だって有限なんだからね」

「偉そうに……」

 いつの間にかローズさん達の近くに来てたみたいだ。結構深くまで木を切りに来てるんだな。
 ラミルダさんの愚痴にミルファさんが呆れてるのが見える。でも、女性ばかりの騎士団だから目のやり場に困るな~。肉体労働中だからはだけすぎだよ。

「!? 誰!?」

「ミルファ!? 何を!」

 ビ~ン! 僕の頭上を矢が通り、木に突き刺さると音を奏でた。
 どうやら、僕の気配に気が付いたミルファさんが矢を射ったみたい。ハイハイじゃなかったら刺さってたかな? ステータス的には大丈夫かもしれないけど。

「ミルファ! 誰かもわからないのに矢を撃つのはやめなさい」

「ご、ごめんなさい団長。でも、とても強い気配を感じちゃって……」

「誰もいないじゃない。ミルファ、次はちゃんと確認してから撃ちなさい。ここには皆さんもいるんですからね」

「は、はい……おっかしいな~」

 その場にいても良かったんだけど、僕はすぐにハイハイで隠れた。ローズさんとミルファさんが確認しに来て首を傾げてる。

「ジーニちゃん……」

「!? バブ?」

 二人を観察していると背後からララちゃんが声をかけてきた。僕はびっくりして振り返ると抱き上げられる。

「一人で来ちゃダメ。動物を狩るのは私に任せて」

「ブ~!」

「……本当に優しいね。じゃあ一緒に行こ」

「アイ!」

 ララちゃんは優しく微笑んで許してくれる。強いのを知ってくれてるから出来る回答だな。ララちゃんみたいに理解してくれる人が多いと助かるな~。
 この後、熊や鹿さんを一体ずつ狩って村に帰る。お父さんとお母さんに褒められるとララさんに親指を立てた。彼女も可愛らしく親指を立ててくれて、喜んでくれた。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...