異世界転移! 幼女の女神が世界を救う!?

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
11 / 79
第一章 愛

第11話 ルナちゃんは甘えん坊さんなの

しおりを挟む
「美味しかったの」

「テオの料理はこのウルランブルグ一なのよ」

 お食事を済ませて馬車でルナちゃんの家に帰っているの。テオさんの料理はとっても美味しかったの。

「テオさんも精霊さんがついていたの」

「えっ? でも、彼は精霊を使えないはずよ」

「赤いトカゲさんが嬉しそうにテオさんの頭から手元を見て、舌をチロチロさせていたの」

「色々な精霊がいるのね。たぶん、それもインクくらいの適正者では見えないのでしょうね。インクも相当な適正者なのだけど」

 ルナちゃんが考え込んじゃったの。ルナちゃんを困らせてばっかなの。

「何だかごめんなの」

「どうしたのアイ?」

「ルナちゃんがいっつも困っているの。ごめんなさいなの」

「アイ..」

 謝っても謝り切れないの。

「大丈夫よ。絶対に私が守ってあげる。お父様もお母さまも分かってくれているし、守り切って見せるわ」

 ルナちゃんはアイを抱きしめてくれるの。何だか、安心するの。

「今度こそ、守って見せるわ」

 ルナちゃんが何か言ってるの、良く聞こえなかったけど、悲しい顔をしているの。

「とにかく、別世界に戻れる方法を見つけないとね」

「お母さんお父さんに会いたいの」

「必ず、アイを両親のもとに届けて見せるわ」

 ルナちゃんは手を力強く握っているの。頼もしいの。

「そう言えば、アイがこっちの世界に来た時は押し入れに居たのよね? なんでそんなところに一人でいたの?」

「一人じゃないの、真っ白いお人形さんが一緒にいたの!」

「真っ白いお人形さん? 精霊かしら?」

「分からないの。でも、そのお人形さんが押し入れの奥にいて、大きくなってアイを飲み込んだの。そうしたらこの町の噴水の前にいたの」

「凄い話ね」

 ルナちゃんは目を輝かせているの。不思議な話は面白いの。

「そうなのね~。押し入れの奥の精霊...興味深いわ。でも、そもそも、なんで押し入れにいたの?」

「じーじとばーばから隠れる為なの」

「隠れる? お爺さんとお婆さんよね? なんで隠れていたの」

「お母さんお父さんを待つために家にいる事にしたの。だけど、じーじとばーばがダメって言って、じーじとばーばのうちに連れてこうとしてきたの」

「....」

 ルナちゃんが顎に手を当てて考え込んじゃったの。

「お母さんお父さんはどこに行ったの?」

「救急車さんに連れていかれたの。みんなは行っちゃったって言っていたの。だから、待っていたの」

「....」

 ルナちゃんがアイから顔を背けたの。両手で顔を隠して肩を震わせているの。

「どうしたの? ルナちゃん」

「ううっ、何でもないわ。少しだけ、窓の外を見ていて」

「はいなの..」

 女の子は一人でいたい時があるらしいの、お母さんが言っていたの。そう言う時は一人にしてあげるの。でも、早くいつものルナちゃんに戻ってほしいの。







「ただいま戻りました」

「お帰りなさいルナ」

「ただいまなの」

「おかえり、アイ」

 ルナちゃんのおうちに戻ってきたの。ルナちゃんはずっと俯いているの。いつものルナちゃんには戻っていなくて悲しいの。

「どうしたのルナ?」

「お母様...」

「あらあら、甘えん坊になってしまったのね。アイゼン様、少し席を外しますね」

「ああ、アイは私とオーグナーに任せなさい」

 ルナちゃんはウテナさんに抱かれて二階の部屋に行ったの。男の子みたいにカッコいいルナちゃんでもウテナさんに甘えたい時があるの。

「ルナは何かあったのかな? それよりもアイ、何かやりたい事はあるかい?」

「抱っこして欲しいの!」

「ははは、お安い御用だ」

「わ~なの!」

 アイゼンさんに抱っこをお願いしたの。抱き合うように抱っこしてくれて、安心するの。

「アイゼン様、そう言った事は私どもが」

「なに、オーグナー。こんな楽しい事を奪うのか?」

「滅相もございません。ですが腰に悪いので」

「はは、腰は完全に回復している安心せよ。では、アイを風にして進ぜよう!」

「早いの~」

 アイゼンさんが抱き上げてヒコウキにしてくれたの。そのまま走り回ってくれたの。とっても楽しいの。
しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

処理中です...