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第一章 愛
第16話 アイは巫女なの?
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「お嬢さん、あなたは話が分かるようだ。詳細を話してくれないか?」
「レイ! 敵に騙されるな! これは罠だ」
ルナちゃんを片手で抱き上げてアイゼンさんがレイお姉ちゃんに近づいてくの。アイの精霊さんはみんなに見えないんだけど、みんなレイお姉ちゃんの周りにいて、警戒しているの。
「こちらはお任せください。アイゼン様」
「ああ、任せた」
「おのれ、アイゼン。このような異形の者を使うとは卑怯だぞ」
「アイは異形じゃない! 私の友達よ!」
アイゼンさんがレイお姉ちゃんと一緒に部屋に入っていったの。お姉ちゃんのお父さんがアイに睨みを利かせて凄んでいるの。宙で縛られているから全然怖くないの。
「アイ様、あの者を下に降ろせますか?」
「出来ると思うの! 猫さんお願いなの」
黒猫さんは頷いて尻尾を下に降ろしていくの。いくらでも伸びる尻尾がお姉ちゃんのお父さんを降ろすの。
「縛りますのでその間、縛っておいてください」
「ハイなの!」
「む~! 何故メイドや執事が起きているのだ。やはり、最初からレイは裏切っていたという事か! 眠りの魔法をしたフリをしたのだな」
お姉ちゃんのお父さんが何だかヒートアップしているの。ボクシングを見ている時のお母さんみたいなの、頭に血が上っているの。
「このままでは済まさんぞ! 里の人間総出で町を襲って、お前達などゴミ屑のように」
「おじさんうるさいの!」
「な、なにを...」
アイがうるさくて、耳を塞いでいると、白いクジラの精霊さんが口から輪っかを出しておじさんに当てたの。おじさんは目を閉じて俯いてしまったの。それから少しするといびきをかき始めたの。白いクジラさんはおじさんを眠らせてくれたみたいなの。みんないい子なの。
「アイ様ありがとうございます」
「お礼はこの子達に言って欲しいの」
「精霊様ですな。精霊様ありがとうございます」
アイの両手に精霊が集まってるの、それでオーグナーさんにお礼を言ってもらったの。精霊達はピョンピョン跳ねて喜んでいるの。やっぱり、良い事をして褒められると嬉しいの。嬉しそうな精霊さんを見るとアイも嬉しいの。
「寝てると普通のおじさんなの」
ソファーに縛られたおじさんが寝ているの。いびきもなくて静かなの。
「お主は何者じゃ」
「起きていたの?」
「ふんっ、儂も里の長。眠りなぞ、自由に操れる」
おじさんは偉そうに言っているの。それなら、すぐに起きて抵抗するはずなの、強がりなの。お父さんがお母さんと喧嘩した時に聞いたことあるの、男は強がりを言うものだって。アイは大人の女だからわかるの。
「強がりではないぞ。儂はいつでも逃げられるのだ」
おじさんがまた強がりを言っているの。黒猫さんが今も縛っているからオーグナーさんの縄だけじゃないの。絶対に逃げられないし、暴れられないの。
「じゃあ、あなたからも聞きたいわ。話してよ」
「アイゼンの娘か。いいだろう、聞かせてやろう」
ルナちゃんはおじさんの話を聞くために椅子に座って、おじさんを見つめているの。おじさんは一つ咳ばらいをして話し出したの。
「儂らの里は色々な国から暗殺や謀略を請け負っておった」
「じゃあ、あなた達は紫炎の里の?」
「ほ~、流石は宰相の娘っ子じゃな。知っておるとは」
「やっぱり」
おじさんの言葉にルナちゃんが反応しているの。シエンの里って何だか、かっこいいの。
「もちろん、ウルランブルグの国も依頼はいくらかあった。どちらにもつかない儂らの里を疎ましく思ったウルランブルグは儂らを排除しようと動き出していると確かな情報筋が教えてくれたのじゃ。それで今回、ここに赴き、娘っ子、お主を人質にして、宰相を脅そうとしたんじゃ」
「なるほどね」
「人質はいけない事なの! お母さんも言っていたの!」
「ふんっ、レイのせいでこんなことになってしまった。全く、儂の子のくせに甘っちょろい奴よ」
おじさんはフンスって鼻息荒くなったの。怒っている感じで何だか嫌な感じなの。
「しかし、動けんな。お主がやっておるのだろう? 精霊が使えるのか?」
「精霊さんを使っているわけじゃないの。精霊さんが勝手にやってくれてるの。みんないい子なの!」
おじさんが使っているなんて言うからアイは嫌な気分になったの。精霊さん達はとてもいい子だからおじさんを捕まえたの。別にアイが精霊さんを使っているわけじゃないの。
「なに!? 精霊が勝手にやっておるのか...。精霊は自分の意思で人を傷つけはしない。....まさか、おぬしは..」
アイの言葉を聞いて、おじさんが考え込んでいるの。おじさんが目を見開いて、アイを真っ直ぐ見ているの。何だか怖いの。
「儂は紫炎の里の長、ダイジロウ。お主の名は?」
「アイはアイなの!」
「アイか、それでお主の精霊はいくつ居るのだ?」
「精霊さんは七なの! みんな色違いで可愛いの」
「....もう一度」
「七なの~!」
「....七?」
「ダイジロウは耳が遠いのね」
ダイジロウおじさんが何度も精霊の数をアイに聞いてくるの。何度も言うのに何度も聞き返してくるの。ルナちゃんが呆れて声をあげると、ダイジロウおじさんが口を開くの。
「やはり、貴方様は巫女様でしたか。どうりで...」
「巫女?」
アイは巫女なの?
「レイ! 敵に騙されるな! これは罠だ」
ルナちゃんを片手で抱き上げてアイゼンさんがレイお姉ちゃんに近づいてくの。アイの精霊さんはみんなに見えないんだけど、みんなレイお姉ちゃんの周りにいて、警戒しているの。
「こちらはお任せください。アイゼン様」
「ああ、任せた」
「おのれ、アイゼン。このような異形の者を使うとは卑怯だぞ」
「アイは異形じゃない! 私の友達よ!」
アイゼンさんがレイお姉ちゃんと一緒に部屋に入っていったの。お姉ちゃんのお父さんがアイに睨みを利かせて凄んでいるの。宙で縛られているから全然怖くないの。
「アイ様、あの者を下に降ろせますか?」
「出来ると思うの! 猫さんお願いなの」
黒猫さんは頷いて尻尾を下に降ろしていくの。いくらでも伸びる尻尾がお姉ちゃんのお父さんを降ろすの。
「縛りますのでその間、縛っておいてください」
「ハイなの!」
「む~! 何故メイドや執事が起きているのだ。やはり、最初からレイは裏切っていたという事か! 眠りの魔法をしたフリをしたのだな」
お姉ちゃんのお父さんが何だかヒートアップしているの。ボクシングを見ている時のお母さんみたいなの、頭に血が上っているの。
「このままでは済まさんぞ! 里の人間総出で町を襲って、お前達などゴミ屑のように」
「おじさんうるさいの!」
「な、なにを...」
アイがうるさくて、耳を塞いでいると、白いクジラの精霊さんが口から輪っかを出しておじさんに当てたの。おじさんは目を閉じて俯いてしまったの。それから少しするといびきをかき始めたの。白いクジラさんはおじさんを眠らせてくれたみたいなの。みんないい子なの。
「アイ様ありがとうございます」
「お礼はこの子達に言って欲しいの」
「精霊様ですな。精霊様ありがとうございます」
アイの両手に精霊が集まってるの、それでオーグナーさんにお礼を言ってもらったの。精霊達はピョンピョン跳ねて喜んでいるの。やっぱり、良い事をして褒められると嬉しいの。嬉しそうな精霊さんを見るとアイも嬉しいの。
「寝てると普通のおじさんなの」
ソファーに縛られたおじさんが寝ているの。いびきもなくて静かなの。
「お主は何者じゃ」
「起きていたの?」
「ふんっ、儂も里の長。眠りなぞ、自由に操れる」
おじさんは偉そうに言っているの。それなら、すぐに起きて抵抗するはずなの、強がりなの。お父さんがお母さんと喧嘩した時に聞いたことあるの、男は強がりを言うものだって。アイは大人の女だからわかるの。
「強がりではないぞ。儂はいつでも逃げられるのだ」
おじさんがまた強がりを言っているの。黒猫さんが今も縛っているからオーグナーさんの縄だけじゃないの。絶対に逃げられないし、暴れられないの。
「じゃあ、あなたからも聞きたいわ。話してよ」
「アイゼンの娘か。いいだろう、聞かせてやろう」
ルナちゃんはおじさんの話を聞くために椅子に座って、おじさんを見つめているの。おじさんは一つ咳ばらいをして話し出したの。
「儂らの里は色々な国から暗殺や謀略を請け負っておった」
「じゃあ、あなた達は紫炎の里の?」
「ほ~、流石は宰相の娘っ子じゃな。知っておるとは」
「やっぱり」
おじさんの言葉にルナちゃんが反応しているの。シエンの里って何だか、かっこいいの。
「もちろん、ウルランブルグの国も依頼はいくらかあった。どちらにもつかない儂らの里を疎ましく思ったウルランブルグは儂らを排除しようと動き出していると確かな情報筋が教えてくれたのじゃ。それで今回、ここに赴き、娘っ子、お主を人質にして、宰相を脅そうとしたんじゃ」
「なるほどね」
「人質はいけない事なの! お母さんも言っていたの!」
「ふんっ、レイのせいでこんなことになってしまった。全く、儂の子のくせに甘っちょろい奴よ」
おじさんはフンスって鼻息荒くなったの。怒っている感じで何だか嫌な感じなの。
「しかし、動けんな。お主がやっておるのだろう? 精霊が使えるのか?」
「精霊さんを使っているわけじゃないの。精霊さんが勝手にやってくれてるの。みんないい子なの!」
おじさんが使っているなんて言うからアイは嫌な気分になったの。精霊さん達はとてもいい子だからおじさんを捕まえたの。別にアイが精霊さんを使っているわけじゃないの。
「なに!? 精霊が勝手にやっておるのか...。精霊は自分の意思で人を傷つけはしない。....まさか、おぬしは..」
アイの言葉を聞いて、おじさんが考え込んでいるの。おじさんが目を見開いて、アイを真っ直ぐ見ているの。何だか怖いの。
「儂は紫炎の里の長、ダイジロウ。お主の名は?」
「アイはアイなの!」
「アイか、それでお主の精霊はいくつ居るのだ?」
「精霊さんは七なの! みんな色違いで可愛いの」
「....もう一度」
「七なの~!」
「....七?」
「ダイジロウは耳が遠いのね」
ダイジロウおじさんが何度も精霊の数をアイに聞いてくるの。何度も言うのに何度も聞き返してくるの。ルナちゃんが呆れて声をあげると、ダイジロウおじさんが口を開くの。
「やはり、貴方様は巫女様でしたか。どうりで...」
「巫女?」
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