66 / 79
第二章 学校
第66話 二つの力
しおりを挟む
「やっと見えてきたの~インク」
「ゴルグィード、最後まで油断しちゃダメでしょ」
「そうじゃったな」
アイが父親と再会している頃、ゴルグィードは無事にホワイトランスに帰ってきて、上空で街を見下ろしている。インクに注意されてゴルグィードは苦笑いして答えた。
「まだまだ、黒き光は壊滅できないがいい報告ができそうじゃな」
「そうね……ん? あれは?」
ゴルグィードとインクがホワイトランスの上空で話しているとインクが何かに気づいた。インクの視線の先には青い肌の魔族が街を見下ろしていた。
「ほ~、空を飛べるものが魔族にもいるんじゃの~」
「いやいや、魔族やエルフの方がいてもおかしくないから、あんたが一番おかしいから」
マナとの親和性が高い、エルフや魔族の方が魔法は上達しやすい。人族であるゴルグィードやアイは特別な存在だ。
「あっ、こっちみた」
「挨拶くらいしておいた方がいいじゃろう」
空を飛べるものは強い、そう思ったゴルグィードは魔族へと近づいていく。魔族はニヤッと笑った。そして、ゴルグィードは魔法障壁を展開した。
「ゴルグィード!?」
「フォッフォッフォ、血気盛んな若人じゃの~」
「暴虐の魔法使いも若い頃はこんな感じだったんでしょ?」
「ほ~、知っておるのか?」
インクは障壁に驚いて声をあげた。ゴルグィードは障壁を挟んで魔族と楽しく会話を交わす。魔法障壁は魔法に対して絶対的な防御力を発揮する。
魔族の女は氷の塊を魔法で作り出して射出して攻撃してきていたのだ、インクにも見えないその攻撃は障壁で砕けて宙に散らばっていった。
「攻撃されていたのか!」
「インクもまだまだじゃな」
「透明な氷を飛ばしてきたんだろ。それも高速で! そんなもの見えるわけがない!」
「見えないか……。ならば早くアイちゃんの元へ行け。そして報告するのじゃ」
「それって……」
「心配せんでも儂もすぐに向かう……」
「……わかった」
ゴルグィードはインクを街に降ろした。その間にも何度かの魔法を弾き落としているが障壁にはひびがいくつも出来て、今にも壊れそうになっている。
「ふふ、私のアイシクルランスを受けて壊れないなんて流石ね」
「フォッフォッフォ、儂の障壁に傷をつける魔法使いはグランダークくらいじゃぞ」
「そう……実際に戦った人に言われると自信持っちゃうわ」
魔族の女は微笑んだ。ゴルグィードは冷や汗をかいて街を一目見降ろした。
「ふふ、心配しないで、街には何もしないわよ」
「……フォッフォッフォ、優しいの~。そうじゃ~、折角じゃから自己紹介してくれんかの~。先に逝くんじゃからええじゃろ?」
死期を感じたゴルグィードは少しでも情報を得ようと語り掛ける。この数回の接触でゴルグィードは力量を図り、自分では勝てないことを悟ったのだった。
「私はメイギスよ。私の部下たちを気持ちよく倒してくれたそうね。おかげで半分以下になっちゃったじゃない」
「メイギス……」
「ちょっと、名前を聞いただけで満足しないでちょうだい。メンバーを半分以上削られたお礼にあなたの命をもらいに来たのよ。もっと楽しませてよ」
「……ご要望にお応えしようかの~」
呆れ顔のメイギスにゴルグィードは臨戦態勢に入る。精霊を5体出して輝きだし、全身が金色に変化して両の手に背丈よりも大きな剣を召喚した。
「ふふ、暴虐っていう名前がぴったりな装備ね」
「この姿を見たからにはタダでは帰さんぞ」
「あら、惚れちゃいそう」
髪を逆立てるゴルグィードがにらみつけ、それを笑い見つめるメイギス。
ホワイトランスの上空で二つの魔力がぶつかり合った。
「ゴルグィード、最後まで油断しちゃダメでしょ」
「そうじゃったな」
アイが父親と再会している頃、ゴルグィードは無事にホワイトランスに帰ってきて、上空で街を見下ろしている。インクに注意されてゴルグィードは苦笑いして答えた。
「まだまだ、黒き光は壊滅できないがいい報告ができそうじゃな」
「そうね……ん? あれは?」
ゴルグィードとインクがホワイトランスの上空で話しているとインクが何かに気づいた。インクの視線の先には青い肌の魔族が街を見下ろしていた。
「ほ~、空を飛べるものが魔族にもいるんじゃの~」
「いやいや、魔族やエルフの方がいてもおかしくないから、あんたが一番おかしいから」
マナとの親和性が高い、エルフや魔族の方が魔法は上達しやすい。人族であるゴルグィードやアイは特別な存在だ。
「あっ、こっちみた」
「挨拶くらいしておいた方がいいじゃろう」
空を飛べるものは強い、そう思ったゴルグィードは魔族へと近づいていく。魔族はニヤッと笑った。そして、ゴルグィードは魔法障壁を展開した。
「ゴルグィード!?」
「フォッフォッフォ、血気盛んな若人じゃの~」
「暴虐の魔法使いも若い頃はこんな感じだったんでしょ?」
「ほ~、知っておるのか?」
インクは障壁に驚いて声をあげた。ゴルグィードは障壁を挟んで魔族と楽しく会話を交わす。魔法障壁は魔法に対して絶対的な防御力を発揮する。
魔族の女は氷の塊を魔法で作り出して射出して攻撃してきていたのだ、インクにも見えないその攻撃は障壁で砕けて宙に散らばっていった。
「攻撃されていたのか!」
「インクもまだまだじゃな」
「透明な氷を飛ばしてきたんだろ。それも高速で! そんなもの見えるわけがない!」
「見えないか……。ならば早くアイちゃんの元へ行け。そして報告するのじゃ」
「それって……」
「心配せんでも儂もすぐに向かう……」
「……わかった」
ゴルグィードはインクを街に降ろした。その間にも何度かの魔法を弾き落としているが障壁にはひびがいくつも出来て、今にも壊れそうになっている。
「ふふ、私のアイシクルランスを受けて壊れないなんて流石ね」
「フォッフォッフォ、儂の障壁に傷をつける魔法使いはグランダークくらいじゃぞ」
「そう……実際に戦った人に言われると自信持っちゃうわ」
魔族の女は微笑んだ。ゴルグィードは冷や汗をかいて街を一目見降ろした。
「ふふ、心配しないで、街には何もしないわよ」
「……フォッフォッフォ、優しいの~。そうじゃ~、折角じゃから自己紹介してくれんかの~。先に逝くんじゃからええじゃろ?」
死期を感じたゴルグィードは少しでも情報を得ようと語り掛ける。この数回の接触でゴルグィードは力量を図り、自分では勝てないことを悟ったのだった。
「私はメイギスよ。私の部下たちを気持ちよく倒してくれたそうね。おかげで半分以下になっちゃったじゃない」
「メイギス……」
「ちょっと、名前を聞いただけで満足しないでちょうだい。メンバーを半分以上削られたお礼にあなたの命をもらいに来たのよ。もっと楽しませてよ」
「……ご要望にお応えしようかの~」
呆れ顔のメイギスにゴルグィードは臨戦態勢に入る。精霊を5体出して輝きだし、全身が金色に変化して両の手に背丈よりも大きな剣を召喚した。
「ふふ、暴虐っていう名前がぴったりな装備ね」
「この姿を見たからにはタダでは帰さんぞ」
「あら、惚れちゃいそう」
髪を逆立てるゴルグィードがにらみつけ、それを笑い見つめるメイギス。
ホワイトランスの上空で二つの魔力がぶつかり合った。
11
あなたにおすすめの小説
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる