異世界転移! 幼女の女神が世界を救う!?

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
67 / 79
第二章 学校

第67話 ゴルグィード

しおりを挟む
 ラルクお兄ちゃんたちと話して、今日の所は寝ようと思って寝室で寝てると大きな音が聞こえてきたの。窓からお外を見ると空から音が降ってきていて、金色の輝きと青い輝きが見えたの。花火でもやってるの?

「アイ様! インクというものが来ていますが知っていますか?」

「インク? ウルランブルグの服屋よ。それが来ているの?」

「服屋ですか?」

 レイおねえちゃんが凄い勢いで部屋に入ってきたの。インクさんは服屋さんなの、ルナちゃんと一緒に服を買ったの。

「アイ様!」

「あ、まだ許可していないぞ」

 インクさんが部屋に入ってきたの。息が切れてて今にも倒れそうになっているの。

「どうしたのインク。そんなに急いで……というかウルランブルグからいつ来たのよ」

「そんなことはどうでもいいんです! アイ様、空を見ましたか?」

 インクさんは息を切らせてアイの肩をつかんできたの、窓から空は見たの。頷いて答えるとインクさんは涙を溜めて話しだしたの。

「ゴルグィードが! ゴルグィードが死んじゃう!」

「じーじが?」

「インク!? ゴルグィード校長先生を知っているの?」

 インクさんの言葉にルナちゃんが驚いているの。インクさんはルナちゃんの言葉に首を振ってこたえて言葉を続けたの。

「私がゴルグィードを知っていようがいまいがそれはどうでもいいんです! アイ様! お願いです。ゴルグィードを! 彼を助けてください」

「じーじがどうしたの?」

「戦っているんです……命を削って戦っているんです。短命な人族のくせに命を削って戦ってるんです。私達の為に……」

 インクさんは涙を流しているの。頬を伝って床に落ちる綺麗な涙、アイは窓から空に飛んでいくの! じーじを救うの!



「ペンさん力を貸してほしいの!」

 騒がしい空に向かいながらペンさんをポケットから取り出すの。ペンさんは一瞬で大きくなって剣になっていくの。アイの身長の二倍もある剣だけど、片手で持てるくらい軽いの~、お父さんが言うには選ばれたものなら軽いらしいの。アイは選ばれたみたいなの。聖剣グレイテスハウルちゃんっていうらしいの、アイはハウルちゃんって呼ぶの。

「見えてきたの~」

 チカチカと光っていた二人に近づくと姿がはっきり見えてきたの。じーじは両手に剣をそれぞれ持っててお洋服が赤くなってて、もう一人はメイギスお姉さんだったの……。お姉さんがじーじをいじめているの?

「あら? アイちゃんじゃない。さっきのエルフはアイちゃんを呼びに行ったの?」

「フォッフォッフォ、力ない爺の我儘じゃよ。最後にアイちゃんに会いたくなってしまっただけじゃ。アイちゃんに戦いをさせようなんて思っちゃおらん」

「ふふ、最後だって分かっているのね。えらいじゃない」

 メイギスお姉ちゃんはアイを見て微笑んでいるの。じーじをいじめていたのはやっぱり、お姉さんみたいなの。アイはお姉さんを叱るの! 喧嘩はメなの!

「喧嘩しちゃメなの!」

「喧嘩? 違うわよ。これは戦争よ」

「戦争?」

「そうよ。戦争」

 喧嘩じゃないみたいなの。戦争ってなんなの?

「アイちゃんは子供だから知らないわよね。戦争っていうのは命の取り合い、殺し合いなのよ」

 命の取り合い? それって凄く危険なことじゃないの?

「そんなことしちゃダメなの! 命は物じゃないの!」

「そうよ。だけど、やられたらやり返さないとなめられてもっと取られちゃうのよ。それが戦争なの。倍返しはもちろん、壊滅するくらいやり返さないと終わらないのよ」

「お姉ちゃんもじーじも死んでほしくないの! もう、アイは見たくないの!」

「ふぅ~。子供に分からせるのは無理ね。邪魔をするならアイちゃんも死んでもらうわ。まあ、本来の目的通りなのよね」

 メイギスお姉ちゃんの目が金色に輝いてアイを見つめてきたの。元々、アイを狙ってきていたって言っているの。でも、メイギスお姉ちゃんはとっても優しく接してくれていたの。絶対に嘘なの!

「お前の相手は儂じゃろ!」

「死にぞこないがしつこいわね。女の子に嫌われるわよ」

「フォッフォッフォ、申し訳ないがこれでもモテモテなんじゃよ」

 じーじがメイギスお姉ちゃんに剣を振り回しているの。メイギスお姉ちゃんは素手で剣を受け止めたり、はじいたりしていてとっても強いの。じーじは自分が攻撃するたびに血が飛び散っているの、じーじが死んじゃうの!

「ダメなの~!」

「うぐ、アイちゃん何をするんじゃ……」

「へ~、回復させているのね。でも、無駄よ。彼の力はそういう力も阻害するものだからね」

 アイはじーじに抱き着いて精霊さんにお願いしているの。じーじを助けて、じーじの怪我を治してってお願いしているの。だけど、全然治らないの、お願いなの。頑張ってほしいの!

「邪魔よ。あなたも一緒に死になさい!」

「アイちゃん……」

「……何なの? なぜ、手が動かないの。それに涙が止まらない……」

 庇おうと抱きしめてくれたじーじとアイに腕を振り下ろそうとしたメイギスお姉ちゃん、その腕は止まってアイ達には届かないみたいなの。メイギスお姉ちゃんは涙を拭ってるけど次から次へと流れ出る涙に戸惑っているの。お姉ちゃんは悲しいみたいなの。

「今がチャンスじゃ……仕留めねば! ぐっ」

「無理しちゃダメなの」

 じーじが剣を構えてメイギスお姉ちゃんに近づこうとしたけど、体が痛いみたいで動けなくなっているの。

「今日の所は退散しようかしらね。次はないわよ、アイ。それにゴルグィード」

「フォッフォッフォ、今日仕留めなかったことを後悔するんじゃな」

「言ってなさいな。私はまだ本気じゃなかったのよ」

 お姉ちゃんはそう言って飛んで行ってしまったの。アイはお姉ちゃんから目が離せなかったの。ずっと涙を流しているお姉ちゃんが気になってしょうがないの。

「帰ろうアイちゃん。どこか怪我したのか?」

「違うの。痛くないの。全然痛くないけど、お胸が苦しくて涙が止まらないの」

 大好きなメイギスお姉ちゃんがじーじをいじめた事がとっても苦しいの。

「フォッフォッフォ、アイちゃんは相変わらず優しいの~」

 じーじが頭をなでなでしてくれているの。それでも涙が止まらないの、なんでなの?

「……アイちゃんすまんが、インクに謝っておいておくれ」

「じーじ!?」

 頭を撫でてくれてたじーじの手が消えていくの。じーじが霧みたいになって空に舞って行ってしまったの。微笑んで消えていくじーじ……、なんでなの……
しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

処理中です...