38 / 60
第2章 天界と魔界
第38話 光星教会
しおりを挟む
「ふぁ~。おはようアキラ……」
「おはようございますお父さん」
歓迎会を終えて次の日。
飲み過ぎてお昼まで寝ていたレッグスが起きてきて挨拶を交わす。
眠そうに大きなあくびをしてる彼。二日酔いにはなっていないみたいだけど、気だるそうにしてる。
「お~い、レッグス」
「この声はライリーか」
家の外から声が聞こえてくる。レッグスが気だるそうに扉に向かう。
「ははは、まだ酔ってるのか?」
「ああ、少しのみすぎたみたいでな」
扉を開けるとライリーに笑われる。
「それで何か用か?」
「ああ、お客さんだよ。断ったんだけどしつこくてね」
「え?」
ライリーは困った様子で答える。お客さんだけど、断ったって? もしかして貴族とかそう言った人達かな? 僕らが帰ってきて1日しかたってない。流石にないかな。
「レッグス。【光星教会】の司祭様が」
村の入り口に案内されるとエミとウィドがいる。二人の後ろに司祭の服を着た人と複数の信者が僕らを見てお辞儀をしてくる。
「あなた様がこの村の代表の方ですね。このお三方では話にならないのでお呼びいたしました」
司祭はニッコリと微笑んでそう言ってくる。三人は首を横に振って嫌そうな表情を作ってる。なんとなく察しちゃうな。
「光星教会をこの村にお作りになるべきだと思うのです」
僕の思っていた通りのことを言ってくる。レッグスが欲しいという貴族が来るにはそれなりに時間がかかる。まったく別の話だとは思っていたけど、教会か。あまりいい印象は受けないんだよな~。
「申し訳ないがこんな小さな村には必要ない」
「……本当にそれでよろしいのですか?」
レッグスが断ると司祭は睨みつけて答える。
「いらないですね。それとも、断るとあなた方は何かをしてくるんですか?」
「はっはっは。我々は何も致しません。ただ……『魔物』が多くやってくることでしょう。教会の結界がないのですから」
更に断るレッグスににらみを利かせる司祭。明らかに脅しのような言葉を吐いてきてる。本当に司祭様なのか?
「教会の結界? そんなもの聞いたことないぞ」
「おやおや勉強不足なのではないですか? 光星教会は光の魔法を魔石に宿し、【天使】の力で結界を張るのですよ」
ウィドの声に司祭が話し出す。天使……ここでもその単語が出てくる。光星教会も魔物を使役してるってことかな?
「ふふ、面白い話をしてるわね」
司祭の話に首を傾げているとフラムさんがフィールちゃんと一緒に現れる。
「何が可笑しいのですか? 我々が何か可笑しなことを言いましたか?」
「ふふ、可笑しい事を言っているわ。だって魔石に光魔法を宿すのは分かるけれど、そこでなんで天使が出てくるのかしら? 魔法の力じゃないの? 天使の力になっちゃうとまったくべつの話になると思うわ」
笑うフラムさんを見て機嫌を損ねる司祭。そんな司祭に彼女はニッコリと微笑んで説明してくれる。
魔石を活性化させて従魔として天使を使役するのは分かる。それで結界の魔法を使ってもらうとかね。司祭の話は少しおかしかった。
「ぐぬぬ。罰当たりな。女! 我ら光星教会に唾はくとは、碌な死に方はせんぞ」
「あら? 少し指摘しただけで化けの皮が剝がれたわね」
司祭は声を荒らげると村から離れていく。
「お父様に手紙をしたためるわ。あんな低俗な司祭は我が国には必要ない」
「お父様? じゃあ、私のお爺様!? 会ってみたい!」
「そうね! どうせだからここに呼ぼうかしら」
フラムさんは静かに憤りを見せる。フィールちゃんはお爺ちゃんがいることに気が付いて嬉しそうにしてる。
でも、フラムさんはグラフと離婚することになって監禁されてたんじゃなかったっけ?
「お母様! お爺様は優しい人なの?」
「ふふ、とても優しいわ。私を罰することを家族に言われたけれど、監禁で許してくれた。その監禁も引っ越しをしただけで、自由に外に出ることが出来た。お父様のことを考えて外にはいかなかったけれどね」
フィールちゃんに優しい笑顔で答えるフラムさん。彼女のお父さんも優しいけど、フラムさんも優しい人だ。
「フラムさん。お父さんって教会に意見を言えるほどの人なんですか?」
「あ、言ってなかったかしら。私、王族なのよ。改めて自己紹介をするわ。継承権第三位王女【フラムベル】よ」
僕が質問するとフラムさんはさも当たり前のように答える。まさかの王族様だった。ってことはお父様って王様!?
「……じゃあ、私もお姫様?」
「ふふ、そうなるわね」
まさかの真実にフィールちゃんはポカンとして表情で問いかける。
彼女は宮廷魔術師と王族の間に生まれた天使ってわけか。何だか属性が盛られ過ぎて、頭がこんがらがっちゃうな。
「レッグス。ちょっといいか」
フラムさんの話を聞いて驚いているとウィドが声をあげる。
レッグスに抱かれながら僕を一緒に話を聞く。
「光星教会に逆らって消えた村をいくつか知ってる。消えた村には決まって光星教会のやろうが来ていたんだ。教会を立てることを断った次の日に魔物の群れに襲われてる。何かあるぜ」
ウィドはそう言って司祭たちの背中を見据える。何かやってくるってことか。
「おはようございますお父さん」
歓迎会を終えて次の日。
飲み過ぎてお昼まで寝ていたレッグスが起きてきて挨拶を交わす。
眠そうに大きなあくびをしてる彼。二日酔いにはなっていないみたいだけど、気だるそうにしてる。
「お~い、レッグス」
「この声はライリーか」
家の外から声が聞こえてくる。レッグスが気だるそうに扉に向かう。
「ははは、まだ酔ってるのか?」
「ああ、少しのみすぎたみたいでな」
扉を開けるとライリーに笑われる。
「それで何か用か?」
「ああ、お客さんだよ。断ったんだけどしつこくてね」
「え?」
ライリーは困った様子で答える。お客さんだけど、断ったって? もしかして貴族とかそう言った人達かな? 僕らが帰ってきて1日しかたってない。流石にないかな。
「レッグス。【光星教会】の司祭様が」
村の入り口に案内されるとエミとウィドがいる。二人の後ろに司祭の服を着た人と複数の信者が僕らを見てお辞儀をしてくる。
「あなた様がこの村の代表の方ですね。このお三方では話にならないのでお呼びいたしました」
司祭はニッコリと微笑んでそう言ってくる。三人は首を横に振って嫌そうな表情を作ってる。なんとなく察しちゃうな。
「光星教会をこの村にお作りになるべきだと思うのです」
僕の思っていた通りのことを言ってくる。レッグスが欲しいという貴族が来るにはそれなりに時間がかかる。まったく別の話だとは思っていたけど、教会か。あまりいい印象は受けないんだよな~。
「申し訳ないがこんな小さな村には必要ない」
「……本当にそれでよろしいのですか?」
レッグスが断ると司祭は睨みつけて答える。
「いらないですね。それとも、断るとあなた方は何かをしてくるんですか?」
「はっはっは。我々は何も致しません。ただ……『魔物』が多くやってくることでしょう。教会の結界がないのですから」
更に断るレッグスににらみを利かせる司祭。明らかに脅しのような言葉を吐いてきてる。本当に司祭様なのか?
「教会の結界? そんなもの聞いたことないぞ」
「おやおや勉強不足なのではないですか? 光星教会は光の魔法を魔石に宿し、【天使】の力で結界を張るのですよ」
ウィドの声に司祭が話し出す。天使……ここでもその単語が出てくる。光星教会も魔物を使役してるってことかな?
「ふふ、面白い話をしてるわね」
司祭の話に首を傾げているとフラムさんがフィールちゃんと一緒に現れる。
「何が可笑しいのですか? 我々が何か可笑しなことを言いましたか?」
「ふふ、可笑しい事を言っているわ。だって魔石に光魔法を宿すのは分かるけれど、そこでなんで天使が出てくるのかしら? 魔法の力じゃないの? 天使の力になっちゃうとまったくべつの話になると思うわ」
笑うフラムさんを見て機嫌を損ねる司祭。そんな司祭に彼女はニッコリと微笑んで説明してくれる。
魔石を活性化させて従魔として天使を使役するのは分かる。それで結界の魔法を使ってもらうとかね。司祭の話は少しおかしかった。
「ぐぬぬ。罰当たりな。女! 我ら光星教会に唾はくとは、碌な死に方はせんぞ」
「あら? 少し指摘しただけで化けの皮が剝がれたわね」
司祭は声を荒らげると村から離れていく。
「お父様に手紙をしたためるわ。あんな低俗な司祭は我が国には必要ない」
「お父様? じゃあ、私のお爺様!? 会ってみたい!」
「そうね! どうせだからここに呼ぼうかしら」
フラムさんは静かに憤りを見せる。フィールちゃんはお爺ちゃんがいることに気が付いて嬉しそうにしてる。
でも、フラムさんはグラフと離婚することになって監禁されてたんじゃなかったっけ?
「お母様! お爺様は優しい人なの?」
「ふふ、とても優しいわ。私を罰することを家族に言われたけれど、監禁で許してくれた。その監禁も引っ越しをしただけで、自由に外に出ることが出来た。お父様のことを考えて外にはいかなかったけれどね」
フィールちゃんに優しい笑顔で答えるフラムさん。彼女のお父さんも優しいけど、フラムさんも優しい人だ。
「フラムさん。お父さんって教会に意見を言えるほどの人なんですか?」
「あ、言ってなかったかしら。私、王族なのよ。改めて自己紹介をするわ。継承権第三位王女【フラムベル】よ」
僕が質問するとフラムさんはさも当たり前のように答える。まさかの王族様だった。ってことはお父様って王様!?
「……じゃあ、私もお姫様?」
「ふふ、そうなるわね」
まさかの真実にフィールちゃんはポカンとして表情で問いかける。
彼女は宮廷魔術師と王族の間に生まれた天使ってわけか。何だか属性が盛られ過ぎて、頭がこんがらがっちゃうな。
「レッグス。ちょっといいか」
フラムさんの話を聞いて驚いているとウィドが声をあげる。
レッグスに抱かれながら僕を一緒に話を聞く。
「光星教会に逆らって消えた村をいくつか知ってる。消えた村には決まって光星教会のやろうが来ていたんだ。教会を立てることを断った次の日に魔物の群れに襲われてる。何かあるぜ」
ウィドはそう言って司祭たちの背中を見据える。何かやってくるってことか。
349
あなたにおすすめの小説
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる