制作スキル持ちのリビングマスター ~異世界覇者への道~

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
1 / 59
第1章 異世界

第1話 いつもの教室

しおりを挟む
「おはよう、ヒフミ~」

「おはよう、ハジメ」

 俺は海城 一二三(かいじょう ひふみ)挨拶してきたのは金田一 一(きんだいち はじめ)有名な高校生と同じ名前で可愛い系の男の子だ。因みに俺は目が死んでる系男の子だ。目が空いているんだか開いていないんだか、分からん感じだ。
 
 俺達は高校に向かっている途中の高校生。

「眠そうだね」

「ははは、ハジメ。それは嫌みかな?」

「違うよ~」

「冗談だよ。正直ねみい」

 昨日はオンラインで建設系ゲームをやっていたからな。みんながせっせと働くもんだから俺も感化されてしまったのだよ。あの人達は社会人のはずだが、俺よりも長くゲームをやっている。いつ寝ているんだ?

 ハジメと無難な話をしながら学校に到着。いつもの教室、いつものメンツ。何も変わらないいつもの光景だ。

「今日は文化祭の係を決めてから授業を始めます」

 文化祭か、もうそんな時期なんだな。

 そう思って先生のいる方を見た。すると一遍、先生が消えて教室が座っている椅子と机を残して、真っ白な部屋に変化していく。

「な、なに?」

「どうなってるんだ?」

 クラスメイト達が騒ぎ出す。俺も内心驚いているがクラスメイトの言葉でかき消される程度の声しか出ない。

「ようこそ、僕の世界へ」

 みんなで驚いていると俺達の中央の天井が割れて人が降りてきた。芸術品の様な筋肉質な上半身で白い布を腰に巻いている男。まるで神話に出てくるようなそんな男だ。

「僕はテセリウス。別の世界の神さ」

 テセリウスと名乗る男は神と言っている。まあ、現状を鑑みると人ではないのが伺えるな。

「ここはどこなの!」

「教室に帰して!」

 女子たちが椅子から立ち上がって声を張り上げた。流石にこの状況で悠長にしてられないのだろう。気持ちは分かる。

「今から色々と説明するから。死にたくなかったら黙ってくれよな」

 テセリウスはさっきまでの笑顔が何処かへ行ってしまった。

「おい! お前。さっきから聞いていれば偉そうに! 神様だか何だか知らねえけどな急にこんな部屋に連れてきやがって」

 クラス一の力持ち、柔道部のオオグリ君が声を張り上げてテセリウスへと迫る。俺もクラスメイト達もやれやれ~とはやし立てる。ハジメは優しいからオドオドしているな。

「じゃあ、死だね」

「あ~?」

 バン!

 オオグリ君がテセリウスに迫って手を振り上げるとオオグリ君が吹き飛ばされて後ろの壁に叩きつけられてそのまま動かなくなった。クラスメイト達は一瞬で静かになっていった。俺も恐怖で身がすくむ。

「は~い、逆らう事は無駄って事が分かったね。それじゃ説明するよ。今から君たちは僕の世界で暮らしてもらいます。そこで君達の好きなガチャを今からしてもらいます。このガチャはその世界で有益に暮すためのスキルとか境遇とかが得られるので頑張ってくれよな」

 綺麗な歯を見せてテセリウスが話してきた。さっきのオオグリ君のことがあったものだからクラスメイト達は青ざめて頷いている。従わないと怖いからな。

「ヒフミ、これって」

「ああ、異世界転移って奴だ」

 俺とハジメはこういった小説を何個か読んでいる。今は異世界ブームだからな。バイブルみたいな物だ。

「じゃあ、異世界に行けるんだね。夢みたいだよ」

 オオグリ君が殺されたのも忘れてハジメは目をキラキラさせている。全く呑気なもんだな。

「はいはい、どんどんガチャしていってね~」

 テセリウスはめんどくさそうに先生が元居た所に移動して寝っ転がっている、教壇は残っているのでそこに寝ているわけだけど、体全部は乗っていない、完全に浮いているよな、あれ。

「よ~し。全員まわしたね」

 全員まわし終わると大きな欠伸をしてテセリウスが話し出した。ガチャのカプセルが色んな色になっている。大体、7種類の色になっているな。因みに俺は赤でハジメは黒だ。

「色がそれぞれのレア度を表しています。下から白、黄色、緑、青、紫、赤」

 お~やったぜ。一番いい赤だ。ん? 可笑しいなハジメの黒がない?

「あっちゃ~。黒を引いている子がいるね~。それはハズレだよ」

「ハズレ!?」

「ハズレは文字通りハズレさ。誰もいない森や平原に送られて生き抜くベリーハードモードだよ。残念だったね」

 テセリウスはハジメの肩を叩いて話した。

「じゃあ、僕は一人で別世界に」

「そうだよ。だけど、みんなよりもいいスキルが手に入るかもよ」

 ハジメは涙目だ。テセリウスの笑顔が何ともいやらしいな。

「ヒフミ~」

「ハジメ……」

 藁にも縋る思いで俺を見つめてくるハジメ。

「お~君は赤だね。最高レアじゃないか~よかったね~。領民は豊富で能力値も多大。最高の暮らしが待っているよ」

 最初から最強とかってゲームで一番つまらない物だよな。ベリーハードゲーム大好きの俺からしたら最低レアだよな。ハジメは最強好きだ、ここはハジメの代わりになってやるしかないか。生き残る力は俺の方があるしな。それに、唯一の親友だしな。

「ハジメ、代わってやるよ」

「えっ! でも...」

「大丈夫、俺はベリーハードゲー大好きだからな。本当に心配ならベリーイージーな生活で俺を探してくれ」

「ヒフミ……分かったよ。僕がベリーハードモードから救いに行くよ」

 ハジメにカプセルを渡す。代わりの黒いカプセルを受け取るとハジメが泣き出してしまった。

「いいね~。友情とはこうじゃないとね。さっきのゴリラとは大違いだ。彼が死んでも涙する人はいなかったもんね。特別に交換は許すよ。その状況から上を目指す姿も見てみたいしね~」

 オオグリ君の事を悪く言うテセリウス。それでも友達はいたはずだ。恐怖でそんなこと考えられないだけだと思うけどな。

「特別に最低レアの君は最初に送り込んであげよう。定期的に順位を知らせるから楽しみにしててね。その時の名前の欄が黒くなっていたら死んでいるって事だからね。ふふふ、楽しみだね~」

「勝手に!」

「じゃあ、いってらっしゃ~い」

「あ、この!」

 テセリウスの合図と共に俺の視界が暗くなっていった。あの野郎いつか仕返ししてやる。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。 日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。 アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。 「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。 貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。 集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。 そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。 これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。 今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう? ※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは 似て非なる物として見て下さい

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...