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第1章 異世界
第16話 ヤンバ
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三台の大八車で入ると目立つので二台は外で待ってもらうことにした。衛兵の一人に馬車を止められる宿屋を教えてもらったのだが、止まる予定はないので断っておいた。金がないって言うのに泊まれるわけがないよな。
あてもなくトコトコと道路を進んでいくと中央に噴水のある広場についた。馬車を止めるスペースがあったので止めると子供が寄ってくる。
「お兄さんお兄さん。車輪が汚れてるぜ」
「こっちも汚れてるよ」
真っ黒な布で車輪を拭いてくる子供達。大八車の四輪全てに一人ずつくっついている。これはあれだな、スラムの子供の小遣い稼ぎだな。
「金はないんだ。これでいいか?」
「えっ、なにこれ? ポーション?」
スタミナポーションを四本渡すと子供は目を真ん丸にして首を傾げた。スタミナポーションは黄色いポーションだし、マイルさんが知らなかったようにあんまり知られていないんだよな。
「美味しいよ~」
アイリが大八車から顔を覗かせて話すと首を傾げていた子供が一口口に含んでいく。しばらくすると目が輝いて、ゴクゴクと飲み干していった。
「お兄さんありがとう」
「「「ありがと~」」」
子供達はそう言って去っていった。今度は金を持っている時に来てくれよ。スタミナポーションは腐るほどあるから別にいいんだけど、お金の方が子供達はいいと思うんだよな。早く金を得よう。
マイルさんとアイリを降ろして、道具などの売り買いが出来る所を探す。広場を見渡すと馬車を屋台のように広げているのが見えて値札が見える。何も問題なく数字がみえて、文字も問題なく読めるようでホッとした。マイルさん達と普通に会話が出来ているから大丈夫だとは思っていたけど再確認できてほっとしたよ。テセリウスの事だから、こういった所もハードモードの可能性があるからな。
屋台を広げていた馬車とは別の馬車の人達が荷物を運びこんでいるのが見える。そこへ行けば道具を売れると思ってついていくと扉が開きっぱなしの大きな小屋についた。羊皮紙を持った角つきの大きな男が運び込まれた道具を数えている。あの人がここを取り仕切ってるのかな?
「すいません」
「ん? なんだあんた?」
声をかけると大男が見下ろしてくる。凄い圧だけど、気にせずに話続ける。
「ミスリルとポーションを卸したいんだけど」
「商人だったか。いくつ卸すんだ?」
大男はちゃんと買い取ってくれるようだ。新しい羊皮紙を持ってきてくれて、書くのもやってくれるみたいだな。文字は日本語ではないみたいだから助かる。読めるだけで書けないからな。ちゃんと卸せることで少しホッとした。
「スタミナポーションを40個。ヒール、マナポーションは10個。あとはミスリルが車、二台分です」
「ミスリルか、それは高く買い取るぞ。二台分って事は200キロくらいか?」
「えっと、300キロくらいかな? 計ってないんだけど」
アイテムとしての数は500個となっていたけど、キロにするといくつくらいになるんだろうな?
「じゃあ、ものを持ってこい。インゴットにしているんだろ? それで数で計算すればいいんだ。計算は出来るか?」
「分かった。計算は大丈夫だ」
「その若さで計算ができるのか、凄いな。俺はヤンバだ。この卸市場を仕切らせてもらってる」
「ああ、俺はヒフミ。あっちはマイルさんとアイリ」
自己紹介をすると二人がペコリとお辞儀をした。ヤンバさんは小指を立ててきたけど、首を振って否定。
「ほ~、中々。これが500個か。って事は5トン...ってお前の所の馬車はどんだけ丈夫なんだ!」
一個10キロってことか? ヤンバは凄い驚いている。この世界の馬車は普通の木で出来ているわけだから、トンなんて言う単位を持ってこれるのはそうそうないみたいだな。
「ま、まあいい。俺はミスリルが買えるんだから、ここは黙っておこう。ここ以外であまり卸さないように、いいな。あんたらの命が危ないからな」
ヤンバはそう言って忠告してくれた。結構、この人はいい人っぽいな。スタミナポーションの宣伝も込めて、プレゼントしておくかな。
「ありがとう。じゃあ、これはタダで」
「スタミナポーションって奴か。どんな効果なんだ?」
「お腹がいっぱいになって美味しいの」
ヤンバが黄色のポーションを見ているとアイリが答えた。マイルさんは困っているけど、アイリの言葉は結構説得力があるようでみんな飲んでくれるんだよな。今もヤンバが口に含んでいて驚いた顔で全部飲み干している。
「旨いな。それに疲れが取れている...。これは売れるぞ。値段はヒールポーションより高くするか」
値段とかはヤンバに任せたいな。この人なら信頼できそうだ。
「ヤンバさんに任せるよ」
「いいのか?」
「ああ、あなたは騙す事をしなさそうだから」
「そんなにすぐ信頼していいのか? まあ、俺はそう言った事はしないが」
「いいんだ。それよりもいくらくらいで買い取ってくれる?」
「ふむ」
いくらで買い取ってくれるのか聞くとヤンバは腕を組んで考え込む。採算の付く値段で買わないとどんなにいい商品も儲けにならないからな。
「ミスリルは一個50銀貨、ポーションはヒールが大銅貨2、マナが大銅貨3、スタミナが銀貨1枚って所だな」
マイルさんにこの世界の硬貨の話は聞いている。100枚で次の位の硬貨になって、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白銀貨となってる。ミスリルは500個あるので銀貨25000枚で大金貨2枚と金貨50枚だな。これだけで大金持ちだぞ。
「これで裁縫道具とか買えますね」
「ああ」
「なんだ? 道具を仕入れようとしていたのか? 俺に言ってくれれば集めるぞ」
マイルさんと話しているとヤンバが聞いてきた。ここはお言葉に甘えて、欲しい物を言っていくと羊皮紙に書き出してくれて、若い角のある青年に羊皮紙を渡してどんどん道具が集まっていく。すぐにでも町をでれそうです。
あてもなくトコトコと道路を進んでいくと中央に噴水のある広場についた。馬車を止めるスペースがあったので止めると子供が寄ってくる。
「お兄さんお兄さん。車輪が汚れてるぜ」
「こっちも汚れてるよ」
真っ黒な布で車輪を拭いてくる子供達。大八車の四輪全てに一人ずつくっついている。これはあれだな、スラムの子供の小遣い稼ぎだな。
「金はないんだ。これでいいか?」
「えっ、なにこれ? ポーション?」
スタミナポーションを四本渡すと子供は目を真ん丸にして首を傾げた。スタミナポーションは黄色いポーションだし、マイルさんが知らなかったようにあんまり知られていないんだよな。
「美味しいよ~」
アイリが大八車から顔を覗かせて話すと首を傾げていた子供が一口口に含んでいく。しばらくすると目が輝いて、ゴクゴクと飲み干していった。
「お兄さんありがとう」
「「「ありがと~」」」
子供達はそう言って去っていった。今度は金を持っている時に来てくれよ。スタミナポーションは腐るほどあるから別にいいんだけど、お金の方が子供達はいいと思うんだよな。早く金を得よう。
マイルさんとアイリを降ろして、道具などの売り買いが出来る所を探す。広場を見渡すと馬車を屋台のように広げているのが見えて値札が見える。何も問題なく数字がみえて、文字も問題なく読めるようでホッとした。マイルさん達と普通に会話が出来ているから大丈夫だとは思っていたけど再確認できてほっとしたよ。テセリウスの事だから、こういった所もハードモードの可能性があるからな。
屋台を広げていた馬車とは別の馬車の人達が荷物を運びこんでいるのが見える。そこへ行けば道具を売れると思ってついていくと扉が開きっぱなしの大きな小屋についた。羊皮紙を持った角つきの大きな男が運び込まれた道具を数えている。あの人がここを取り仕切ってるのかな?
「すいません」
「ん? なんだあんた?」
声をかけると大男が見下ろしてくる。凄い圧だけど、気にせずに話続ける。
「ミスリルとポーションを卸したいんだけど」
「商人だったか。いくつ卸すんだ?」
大男はちゃんと買い取ってくれるようだ。新しい羊皮紙を持ってきてくれて、書くのもやってくれるみたいだな。文字は日本語ではないみたいだから助かる。読めるだけで書けないからな。ちゃんと卸せることで少しホッとした。
「スタミナポーションを40個。ヒール、マナポーションは10個。あとはミスリルが車、二台分です」
「ミスリルか、それは高く買い取るぞ。二台分って事は200キロくらいか?」
「えっと、300キロくらいかな? 計ってないんだけど」
アイテムとしての数は500個となっていたけど、キロにするといくつくらいになるんだろうな?
「じゃあ、ものを持ってこい。インゴットにしているんだろ? それで数で計算すればいいんだ。計算は出来るか?」
「分かった。計算は大丈夫だ」
「その若さで計算ができるのか、凄いな。俺はヤンバだ。この卸市場を仕切らせてもらってる」
「ああ、俺はヒフミ。あっちはマイルさんとアイリ」
自己紹介をすると二人がペコリとお辞儀をした。ヤンバさんは小指を立ててきたけど、首を振って否定。
「ほ~、中々。これが500個か。って事は5トン...ってお前の所の馬車はどんだけ丈夫なんだ!」
一個10キロってことか? ヤンバは凄い驚いている。この世界の馬車は普通の木で出来ているわけだから、トンなんて言う単位を持ってこれるのはそうそうないみたいだな。
「ま、まあいい。俺はミスリルが買えるんだから、ここは黙っておこう。ここ以外であまり卸さないように、いいな。あんたらの命が危ないからな」
ヤンバはそう言って忠告してくれた。結構、この人はいい人っぽいな。スタミナポーションの宣伝も込めて、プレゼントしておくかな。
「ありがとう。じゃあ、これはタダで」
「スタミナポーションって奴か。どんな効果なんだ?」
「お腹がいっぱいになって美味しいの」
ヤンバが黄色のポーションを見ているとアイリが答えた。マイルさんは困っているけど、アイリの言葉は結構説得力があるようでみんな飲んでくれるんだよな。今もヤンバが口に含んでいて驚いた顔で全部飲み干している。
「旨いな。それに疲れが取れている...。これは売れるぞ。値段はヒールポーションより高くするか」
値段とかはヤンバに任せたいな。この人なら信頼できそうだ。
「ヤンバさんに任せるよ」
「いいのか?」
「ああ、あなたは騙す事をしなさそうだから」
「そんなにすぐ信頼していいのか? まあ、俺はそう言った事はしないが」
「いいんだ。それよりもいくらくらいで買い取ってくれる?」
「ふむ」
いくらで買い取ってくれるのか聞くとヤンバは腕を組んで考え込む。採算の付く値段で買わないとどんなにいい商品も儲けにならないからな。
「ミスリルは一個50銀貨、ポーションはヒールが大銅貨2、マナが大銅貨3、スタミナが銀貨1枚って所だな」
マイルさんにこの世界の硬貨の話は聞いている。100枚で次の位の硬貨になって、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白銀貨となってる。ミスリルは500個あるので銀貨25000枚で大金貨2枚と金貨50枚だな。これだけで大金持ちだぞ。
「これで裁縫道具とか買えますね」
「ああ」
「なんだ? 道具を仕入れようとしていたのか? 俺に言ってくれれば集めるぞ」
マイルさんと話しているとヤンバが聞いてきた。ここはお言葉に甘えて、欲しい物を言っていくと羊皮紙に書き出してくれて、若い角のある青年に羊皮紙を渡してどんどん道具が集まっていく。すぐにでも町をでれそうです。
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