制作スキル持ちのリビングマスター ~異世界覇者への道~

カムイイムカ(神威異夢華)

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第2章 国

第25話 温泉~

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 ドワーフ達と一緒に俺の町に着いた。道中は何事もなくたどり着いた、といいたいところだけど。流石に魔物に会わずにこれなかったな。魔物はゴブリンとオークが数匹だった。核はちゃんと確保したので石君達のもっていたミスリルの斧を数本精霊化しておいた。戦力が簡単に得られるのは制作スキルの強みだよな。

「ただいま~」

「おかえり、大勢連れて来たね~」

 アイリがただいまというとレイニーが迎えてくれた。ドワーフ達を見てにこやかに笑っている。どうやら、みんなはドワーフとか、他種族に偏見がないみたいだな。

「みんなはドワーフとか種族を気にしないんだな」

「私達も差別されていた人族ですから」

「は?」

 マイルが俯きながら話し出した。急に話し出したから俺は首を傾げちゃったぞ。色々訳ありだったんだな。

「その話は後にしてドワーフさん達を案内しましょ」

「ん? ああ、そうだな」

 マイルはそう言ってドワーフ達へと駆けていった。マイルはあまり話したくないんだろう。話したくなったら聞けばいいか。
 アイリやレイニー達もドワーフ達を別々の家に案内していく。家を作りまくったから家は足りている、余るくらいだ。

「おいらたちの集落よりも家が立派だぞ~」

「もらっていいんだろうか?」

「あいつらを追い払うまで自由に使ってください」

 レギントス帝国の侵略を防ぐまではここにとどまってもらわないと危ないからな。自由に使ってもらっていてもらおう。

「ん? 俺達を救うだけなのか?」

「てっきり俺達はヒフミの仲間になれると思ったんだけどな」

「へ?」

 ガーツとダーツが俯きながら言ってきた。そうか、領民になってくれれば俺的にもいいんだよな。テセリウスに一矢報いるには一位を取って願いで倒すしかない。奴に願って一矢報いるっていうのもおかしな話だけどな。
 
「仲間になってくれるのか?」

「俺達はそのつもりだったぞ」

「ドワーフ達は人族の俺達と一緒で大丈夫なのか?」

「人族と違って来るもの拒まずだからな~」

「勝手に嫌っているだけだ。これでも人を見る目はあると思っているからな」

 ガーツもダーツも俺を見込んでいるって事か。何だか気恥ずかしいな。

「それじゃ、これからよろしく」

「こちらこそ、助けてくれてありがとう」

「俺達は鍛冶なんかが得意だからな。そういったことは全部任せてくれ」

 ドワーフを代表してガーツとダーツが握手を求めてきた。握手に答えるとニカっと笑う。作れないような道具とかを作ってもらえばさらにこの町も発展しそうだな。エレベスの町との貿易が捗るぞ~。

「地下鉱山もあるのか~」

「最高の町だな~」

 地下鉱山への穴を見て二人が呟く。鉱山はかなり深くなっているので一人ではいかないようにしてもらわないとな。

「杖を巡回させてるけど用心してくれよ。火のエレメンタルとかがわくからな」

「お~。火のエレメンタルということは溶岩があるのか~」

「ガーツこれは温泉が期待できそうだな」

 温泉!? そうか、溶岩があるって事は温泉が出来るのか!?

「温泉が出来るのか?」

「おお、ヒフミも知っているか」

「ドワーフの鉱山には温泉がつきもの。必ず作りたいものなんだ。早速、作っていくぞ~」

 おお、家に温泉がやってくるなんて夢かな? 水道管も作れるから二人に渡して、家々に行き渡るようにしてもらおう。

「この水道管で家々に回せるか?」

「おお、見事なミスリルの筒だな」

「温泉を家に回すか。さすがはヒフミだ。分かっているな~」

 この水道管は作って見てわかったんだけど、一つ一つに蛇口みたいなコルクがついていてこれを捻るだけで水を進行方向に吸い出すようになっているようだ。掃除機みたいに吸い込んでいるけど、それらしい機械は付いていないのを見ると魔法みたいなものなのかもな。しかし、これで家のお風呂が温泉になるのか……最高だな~。

「あとは酒だな~」

「集落からブドウをいくつか持ってきたが大麦はまだとれていなかったからな~」

 ドワーフというだけあって二人はお酒が好きみたいだな。ブドウはここの畑で作ればいいとして、大麦は種もないみたいだな。未成年だから興味ないんだけど、欲しいなら揃えてあげたいもんだな。

「ブドウは畑で作るしかないな~」

「ヒフミ様、ヤンバさんに頼めばいいのでは?」

「エレベスに行ってる馬車が戻ったら手紙を渡すか?」

「おお、人族の町に行けるのか?」

 町の話をしているとダーツが目を輝かせて聞いてきた。鉄騎士に勝ってきてもらおうと思ったけど、行くことになりそうだな。だけど、レギントス帝国の兵士たちを蹴散らしてからになるんだけどな。

「すぐに行くのか!」

「いやいや、行かないよ。レギントスの兵士が来るだろ」

「そうか~。早く来ないのか?」

「知らないよ」

 どれだけの兵士が来るかもわからないのに早く来いとか言うなよな。六百人から八百人の兵士が来るんだぞ。俺はそんな戦争を経験したことがないんだから、内心緊張している。
 まあ、どんなに来てもいいように準備はするけどな。ドワーフ達に全員、家を手配して、石君達の帰還を待ちながらスライム井戸から運ばれた核を精霊生成薬に制作していく。石君達はサイズもあって足は遅いんだよな。一列になって運ぶ姿はアリのそれでなんだか楽しい。

「ん? そういえば、リビングシリーズの魔物って生きている鎧もあるよな?」

 ふと疑問に思った。兜だけとか鎧だけとかではなくて、フルアーマーで精霊化したらどうなるんだろうか。せっかく二百人分の装備が手に入ったのだから試してみるか。

 ということで地面に鎧を並べていく、兜、鎧、小手や肘当て、そして具足。並べ終わって精霊生成薬をぶっかける。もちろん、中の生成薬だ。

「おお、マネキンの中身なしって感じか!」

 思った通り、ガチャガチャと音を鳴らして立ち上がる鎧。鎧以外の所が透明人間がいるかのように浮いている感じだ、改めて精霊化はチートなのがうかがえる。
 鎧君に何ができるのかを聞くと無言でうなずくだけだった、剣君達と違って声は出せないみたいだ。

「剣は持てるか?」

「頷いてますね」

 マイルとアイリと一緒に精霊化させていたのでマイルが鎧の姿を口に出して微笑んだ。無口なのがなんかかわいらしさをかもし出してるんだよな。

「出来ることが分かったから量産していこう。二人は鎧を並べていってくれ」

「「はい」は~い」

 マイルとアイリに鎧を並べていってもらって、精霊生成薬を片っ端からぶっかけていく。ガチャガチャと立ち上がる鎧の列はかなりの脅威を感じるぞ。

「全員武器を持ってくれ。好きなものでいいぞ」

 ドワーフ達の武器は全部精霊化してあるのでそれを持たせる。二百の鎧たちがそれぞれ武器を手に持った。防御がいらないから盾は全員手に取らなかったな。

「ドワーフ達は両手斧と剣が多かったから、凄いことになったな~」

「みんなつよそ~」

 鎧たちは大剣と大斧を担いで並んでいる。二百の鎧が並ぶ様子はかなりの圧があるな~。ドワーフ達の武器はロマン武器と呼ばれるような大物が多いな~。まあ、俺も好きだけど。

「石さんが全員到着しました」

「了解。じゃあ、門を閉じていいよ」

「分かりました~」

 マイルが石君達の帰還を確認して門を閉める。木の門と石の門が閉まる。かなり立派になったもんだ。

「鎧たちは入り口の横で待機していてくれ」

 鎧たちはいつでも出撃できるように門の横に半分ずつ配置しておく。

「鎧たちだけでも大丈夫だろうけど、油断はしちゃいけないよな」

 ということでミスリルの剣を大量に量産。そして、いつも通り精霊化。こちらも二百体ほど作り込んでいく。レギントス帝国は予想では六百人から八百人くる、そう考えるとこれでも足りないかもしれない。

「盾君も百ほど作成して精霊化して鎧たちと行軍させるか」

 鎧の軍団を守る盾の軍団、こんな部隊と戦うんだったら一人で百の魔物に戦いを挑んだ方がましだな。勝てる気がしないよ。

「ヒフミ様、相手は魔王軍なの?」

「レギントス帝国だから人だろ?」

「ですよね……」

 リックが首を傾げて横に並ぶ剣と盾の部隊を見つめて質問してきた。リック的にはまるで魔王と戦うような部隊って事だよな。ならば十分か……いやいや、まだまだ~。制作レベルも上げたいしな。

「更に鉄マネキンを五十」

 これだけ作ればたとえ千来ても勝てるだろう。

「可哀そう……」

 作り終わった部隊を見てアイリが呟いている。可哀そうって精霊達が? マイルとリックは笑っているよ。

 とにかく、これでレギントスとかいう盗賊みたいな国を迎え撃つ準備は出来た。足りなかったらまだまだスライム井戸の核はあるからな。臨機応変に対応していこう。
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