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第2章 国
第31話 依頼
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リックとアイリも同じようにトックリの魔法陣を羊皮紙にハンコして、腕に吸い込まれていった。二人とも嬉しそうに手首を眺めている。エレベスに初めて来たときに手首にタトゥーを書いている人が多かったのはこのことだったんだな。
「お子様方は一人ではEランクの物しか受けることが出来ません。依頼を受けるときに羊皮紙を出してもらいますので子供用の羊皮紙には書けないようになっています。成人した時に子供用ではない羊皮紙に切り替えますのでその時は冒険者ギルドへお越しください」
受付のゼーレンが淡々と説明してくれた。
「おいおい、ガキが冒険者になっちまったよ」
併設されている酒場から、またもやヤジが飛んでくる。無視することが一番のようなので無視を決め込む。
すると、ゼーレンもそのつもりのようで説明を続けた。
「依頼はあちらの掲示板に貼ってあります。登録は済んでいますのでいつでも受けれます」
「じゃあ、見てみるか」
みんなで掲示板の前へと向かう。掲示板には羊皮紙がびっしりと貼ってあった。街が大きいだけあって依頼もたくさん来ているみたいだな。
「大体は討伐依頼だな~」
羊皮紙の文字を見ていると大体は魔物の間引きのような依頼だ。ゴブリンが多くならないように十匹以上の討伐、といったような内容が多くみられる。そのほかには採取やアイテムを持ってきてほしいといったおつかいクエストが主だな。
「ん? これは?」
「ダンジョン攻略ですね」
ダンジョン! 剣と魔法の世界と言ったらやっぱりこれだよな。ダンジョンってどんな感じなんだ? 毎回入るたんびに中が変わるとかそういったものか?
「お母さん、ダンジョンってどんなところなの?」
「そうね~。私も旅の人に聞いたことがあるだけなんだけど……、入り口には魔法陣があって、魔法陣に乗ると自動で転移されるそうよ。転移は6人までっていう制限があるけど、装備とか、道具はその限りじゃないの。獣魔を使う人とかも道具としてカウントされるから大丈夫って言っていたわ」
人に聞いたと言っていたけど、結構詳しいな。
「ダンジョンの奥にはボスの部屋があって、そこのボスを倒すと宝箱が現れるとか……」
あんまり、時間を使うのもよくないと思うけど、ダンジョンには、いってみたいな~。
「この街から一日の距離か……」
羊皮紙には目的のダンジョンまでの道のりが書いてある。この街から一日の距離なので帰り道よりは近い。
ダンジョンに行って冒険者ギルドに報告して帰ると四日はかかるか。あのレイグランドの仇とか言って兵士がまたやってくるかもしれないからな。今回は見送るかな。
「今回は時間がないから見送るかな~」
「あっ、ダンジョンの依頼は持って行っても大丈夫ですよ。常時依頼のようなものですから」
ダンジョンを見送ろうと思ったらゼーレンが声をかけてくれた。首を傾げているとゼーレンが常時依頼の意味を教えてくれた。
「常時依頼とはゴブリンなどの、放っておいたら危ない魔物の討伐依頼の事です。ダンジョンも一緒で冒険者達全員で間引きしておかないと危ないものなんです。ダンジョンで魔物があふれるとそれだけでスタンピードが起きてしまうんです」
「なるほどね」
ゼーレンの分かりやすい説明に頷いてつぶやく。スタンピードっていうのは魔物の群れって事だよな。ダンジョンっていうのは厄介なものなんだな。
「ダンジョンの最奥にはダンジョンコアという物があるのですがそれは壊さないようにお願いします」
「クリアするには壊さないといけないんじゃないのか?」
「そちらのダンジョンはこの街の発展に使われているダンジョンなんです。脅威度も低くて冒険者の経験を稼ぐにも重宝されているんですよ。だから、最奥まで行ってボスを倒すのは良いのですがコアは壊さないで魔法陣で帰還してほしいんです」
「ダンジョンは入り直すと復活するって事か?」
「はい、パーティーで一回一回新しいダンジョンになるんです。入る前に別のパーティーが入っていても新しいダンジョンになります。全く別のダンジョンに入るようなものです」
なるほど、同じダンジョンだけど、別物になるって事か。クリアできるレベルならいくらでも資源が手に入る……最高だな~。俺達の街にも欲しい。
「ゼーレンちゃん。こいつらにクリアの事はなしても無駄だろ~。クリアできるわけがないんだからよ」
酒場のヤジ男が我慢できずに酒場から出てきて酒臭い口から言葉を吐き出した。ゼーレンに叫んだあと俺へと口を向けてきた。
「ザイバツさん、あまり騒ぎますとマスターに言いつけますよ」
「ゼーレンちゃん。そんなこと言うなよな~。俺の部下たちも親切で言っているのによ~。こんな子供のおつかいみたいな連中じゃ。エレベスダンジョンをクリアできるわけないだろ~」
依頼のダンジョンはエレベスっていうのか。この男は何にそんなキレているんだ?
「人を待たせているから出ますね」
「ヒフミ様、ありがとうございます」
かまっていても仕方ないのでダンジョンの依頼の紙だけもらってその場を後にした。ザイバツとか言う男はニコニコしながら酒場の仲間の元へ戻っていったよ。ああいった奴とはかかわりあいにならない方がいい。
「お子様方は一人ではEランクの物しか受けることが出来ません。依頼を受けるときに羊皮紙を出してもらいますので子供用の羊皮紙には書けないようになっています。成人した時に子供用ではない羊皮紙に切り替えますのでその時は冒険者ギルドへお越しください」
受付のゼーレンが淡々と説明してくれた。
「おいおい、ガキが冒険者になっちまったよ」
併設されている酒場から、またもやヤジが飛んでくる。無視することが一番のようなので無視を決め込む。
すると、ゼーレンもそのつもりのようで説明を続けた。
「依頼はあちらの掲示板に貼ってあります。登録は済んでいますのでいつでも受けれます」
「じゃあ、見てみるか」
みんなで掲示板の前へと向かう。掲示板には羊皮紙がびっしりと貼ってあった。街が大きいだけあって依頼もたくさん来ているみたいだな。
「大体は討伐依頼だな~」
羊皮紙の文字を見ていると大体は魔物の間引きのような依頼だ。ゴブリンが多くならないように十匹以上の討伐、といったような内容が多くみられる。そのほかには採取やアイテムを持ってきてほしいといったおつかいクエストが主だな。
「ん? これは?」
「ダンジョン攻略ですね」
ダンジョン! 剣と魔法の世界と言ったらやっぱりこれだよな。ダンジョンってどんな感じなんだ? 毎回入るたんびに中が変わるとかそういったものか?
「お母さん、ダンジョンってどんなところなの?」
「そうね~。私も旅の人に聞いたことがあるだけなんだけど……、入り口には魔法陣があって、魔法陣に乗ると自動で転移されるそうよ。転移は6人までっていう制限があるけど、装備とか、道具はその限りじゃないの。獣魔を使う人とかも道具としてカウントされるから大丈夫って言っていたわ」
人に聞いたと言っていたけど、結構詳しいな。
「ダンジョンの奥にはボスの部屋があって、そこのボスを倒すと宝箱が現れるとか……」
あんまり、時間を使うのもよくないと思うけど、ダンジョンには、いってみたいな~。
「この街から一日の距離か……」
羊皮紙には目的のダンジョンまでの道のりが書いてある。この街から一日の距離なので帰り道よりは近い。
ダンジョンに行って冒険者ギルドに報告して帰ると四日はかかるか。あのレイグランドの仇とか言って兵士がまたやってくるかもしれないからな。今回は見送るかな。
「今回は時間がないから見送るかな~」
「あっ、ダンジョンの依頼は持って行っても大丈夫ですよ。常時依頼のようなものですから」
ダンジョンを見送ろうと思ったらゼーレンが声をかけてくれた。首を傾げているとゼーレンが常時依頼の意味を教えてくれた。
「常時依頼とはゴブリンなどの、放っておいたら危ない魔物の討伐依頼の事です。ダンジョンも一緒で冒険者達全員で間引きしておかないと危ないものなんです。ダンジョンで魔物があふれるとそれだけでスタンピードが起きてしまうんです」
「なるほどね」
ゼーレンの分かりやすい説明に頷いてつぶやく。スタンピードっていうのは魔物の群れって事だよな。ダンジョンっていうのは厄介なものなんだな。
「ダンジョンの最奥にはダンジョンコアという物があるのですがそれは壊さないようにお願いします」
「クリアするには壊さないといけないんじゃないのか?」
「そちらのダンジョンはこの街の発展に使われているダンジョンなんです。脅威度も低くて冒険者の経験を稼ぐにも重宝されているんですよ。だから、最奥まで行ってボスを倒すのは良いのですがコアは壊さないで魔法陣で帰還してほしいんです」
「ダンジョンは入り直すと復活するって事か?」
「はい、パーティーで一回一回新しいダンジョンになるんです。入る前に別のパーティーが入っていても新しいダンジョンになります。全く別のダンジョンに入るようなものです」
なるほど、同じダンジョンだけど、別物になるって事か。クリアできるレベルならいくらでも資源が手に入る……最高だな~。俺達の街にも欲しい。
「ゼーレンちゃん。こいつらにクリアの事はなしても無駄だろ~。クリアできるわけがないんだからよ」
酒場のヤジ男が我慢できずに酒場から出てきて酒臭い口から言葉を吐き出した。ゼーレンに叫んだあと俺へと口を向けてきた。
「ザイバツさん、あまり騒ぎますとマスターに言いつけますよ」
「ゼーレンちゃん。そんなこと言うなよな~。俺の部下たちも親切で言っているのによ~。こんな子供のおつかいみたいな連中じゃ。エレベスダンジョンをクリアできるわけないだろ~」
依頼のダンジョンはエレベスっていうのか。この男は何にそんなキレているんだ?
「人を待たせているから出ますね」
「ヒフミ様、ありがとうございます」
かまっていても仕方ないのでダンジョンの依頼の紙だけもらってその場を後にした。ザイバツとか言う男はニコニコしながら酒場の仲間の元へ戻っていったよ。ああいった奴とはかかわりあいにならない方がいい。
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