34 / 59
第2章 国
第34話 将軍グレイブランド
しおりを挟む
「状況は?」
「おう、前に陣取って一日ってところだ。ヒフミ達を襲ってきたのが初めての攻撃だな」
街の中に入ってガーツに現状を聞いた。陣取ってどう出るかを見ていたって感じか? リビングウェポン達は防衛はするけど、命令しなくちゃ攻撃はしないからな。みんなも攻撃の命令はしない人達だから、何も起こるはずはないよな。
「とにかく、無事でよかった」
「おうよ。それでそっちは?」
「子供がいっぱいだが?」
ガーツとダーツが首を傾げながら聞いてきた。馬車から買ってきたものを色々と下ろしてくれている子供達はみんなの目を引いているようだ。戦場になりつつあるので門の前でみんなに子供の事を話す。みんなはある程度、街の子供たちの事は理解しているので納得してくれた。ドワーフ達は人族の街の事は知らないので孤児と言うのを知らないみたいだな。
しかし、この街は非戦闘員が多いな~。今のところドワーフ達とリックとマイル親子だけだぞ。精霊達がいるから大丈夫なんだけど、不安はあるよな。
「レギントス帝国将軍、グレイブランドである。この街の長はいるか!」
荷下ろしを手伝いながら、子供の紹介をしていると街の外からそんな声が聞こえてきた。門の上に移動して見下ろすと木の門の前に三機の騎馬がこちらを見上げてきた。
「先ほどの戦い見事であった。こちらは敗北を認める」
白銀の鎧の白髪白髭の男がそう言ってきた。やけに素直だな。
「我らを街に入れてくれないか?」
「敗北したのに入るのか?」
「和平の話をしたいのだ」
そう言う事ね。それなら入れてあげてもいいけど、この男の左右にいる騎馬からは殺気しか感じないんだけどな。殺意で人が殺せたら俺は死んでいそうだ。
「良いですけど、その二人はちょっと……」
「なに!」
「貴様!」
すっごい睨んできているから遠慮してもらおうと思って声をかけると二人は更に鋭い睨みを聞かせてきた。
「イズ、アズ。二人は待っておれ」
「「しかし!」」
「待っておれと言っている」
「「ぐっ……グレイブランド様に何かあったらただじゃ置かないぞ!」」
すっごいユニゾンして叫んできた。名前からも察するに双子なのかな?
グレイブランドを街に入れるために門が開く。双子の騎士は震えるくらい我慢して、グレイブランドを見送った。その間はグレイブランドと俺を交互に見ていてすっごい不安そうにしている。泣きそうになってるぞ。
「愛されているようで……」
「恥ずかしながら、二人は私を親と思って居る。親離れできない可愛い子達だ」
街の中に入ったグレイブランドに声をかけると屈託のない笑顔でそう言ってきた。同時に馬から降りて、首を垂れた。
「改めて、私はレギントス帝国将軍、グレイブランド」
「俺はこの街の長、カイジョウ ヒフミだ」
人懐っこく笑みを浮かべたグレイブランドに敵意はないと思った俺は自己紹介をして握手を交わした。グレイブランドはレイグランドとは違うようだな。
「外ではなんですから俺の家に行きましょうか」
「すまない」
グレイブランドを家に誘うと素直についてきてくれた。マイルが心配そうについてくる。家に二人っきりは危ないは危ないか。
中に入ってもらってソファーに座ってもらう。向かい合わせで座ってもらうがグレイブランドはあまり警戒していない様子で先に座ってくれた。普通はこういう場合、警戒するものだと思うけど、外での出来事で既に安心してくれている様子だ。俺もこの人ならばと思い、安心している。やばいときは自動で精霊化している短剣がガードしてくれるから大丈夫だしな。
「こちらの不手際でこのようなことになり誠に申し訳ない。ドワーフ達を生け捕りにして、武器を作らせようなどと考えなければこんなことには」
グレイブランドはレギントス帝国の不手際だと認めて首を垂れた。自分たちの失態だと認めるあたり、できた御仁だ。普通なら力でねじ伏せてしまうものなんだがな。
「不手際だと認めているにも関わらず、さっきは攻めてきていましたね。それは?」
「イズとアズが先走ってしまいましてな。レイグランドの仇を取ると息巻いていました」
「あわよくば俺を殺させようと思ったのでは?」
「そのようなことは断じてない。卑怯な戦い方をしてはレギントス帝国の名折れ」
俺の言葉に焦ったように話すグレイブランド。あの殺気むんむんの双子が先走ったって事か。仇って言うとレイグランドの兄弟かなんかか?
「レイグランドはあなた達の?」
「儂の甥でイズとアズの兄弟弟子。同じ飯を食らい、同じ屋根の下で育った」
ふむ、それは一生恨まれそうだな。国の人間を殺めるのはやめるか? って兵士とか百単位で殺してしまっているけどな。
「ゲシュリアにたぶらかされてドワーフを捕えようとしたのが運の尽きだった。あの時にもっと強く引き留めていれば……レイグランドが儂の言う事を守らないとはな。儂も老いたという事か」
ドワーフの集落を襲った最初の騎士が王子をたぶらかしたって事か。何だかきな臭いな~。
「グレイブランドは」
「儂の事はグレイと呼んでくれ」
「あ、そう。じゃあ、グレイはこの後どうするつもり?」
「どうとは?」
「落とし前だよ。戦争吹っ掛けておいて、ハイおしまいじゃすまないだろ」
グレイは俺の言葉に顎に手を当てて考え込んでいる。貢物かなんかを用意してもらわないとこっちは許せないんだけどな。
「……見たところ、兵士を任せられるものはいないように思われますな」
「ん? ああ、指揮は大体俺がしてるかな?」
街の住人に戦闘を主としている者はいない。俺もゲームが好きなだけで武術を習ったことがあるわけじゃないからな。
「そこで、儂がこの街の将軍になるのはどうだろうか?」
「はぁ?」
急に何を言い出すかと思えば。そんなの無理に決まってるだろ。
「あんたはレギントス帝国の将軍だろ。レギントス帝国が許さないだろ」
「儂も歳だといったであろう。それに王にはあきあきしていたのだ。領地を広げろだの、武器を揃えろだの。挙句の果てにはエルフを手に入れろだのと、これを機にここで隠居するのも悪くないと思ってな」
グレイは愚痴をこぼして遠くを見る目をしだした。そんなことを話されても俺は頷かないぞ。
「ヒフミ殿にも悪くない話だぞ。レギントス帝国と貿易をなせるし、儂を人質としてこれ以上攻撃されんし。イズとアズも部隊に取り入れられる。そちらのお嬢さんは魔法を使えるであろう、それならば魔導書を持ってきてもいいぞ」
「ん! ん~」
イズとアズがもらえるっていうのはあまりよろしくないがマイル達の魔法を強くできるのはとてもいい。魔法を知ることで俺も杖達への命令がしやすいしな。魔導書は欲しいな~。
「イズとアズは無しでなら」
「おお~、そう言ってくれると思った。これで余生を安静に暮らせるぞ~」
「いててて、髭がいてーよ」
グレイは大喜びして、俺を抱き上げた。髭を頬をこすってくるものだから、痛い痛い。それにイズとアズの件は……、って聞いてないなこれ。
「おう、前に陣取って一日ってところだ。ヒフミ達を襲ってきたのが初めての攻撃だな」
街の中に入ってガーツに現状を聞いた。陣取ってどう出るかを見ていたって感じか? リビングウェポン達は防衛はするけど、命令しなくちゃ攻撃はしないからな。みんなも攻撃の命令はしない人達だから、何も起こるはずはないよな。
「とにかく、無事でよかった」
「おうよ。それでそっちは?」
「子供がいっぱいだが?」
ガーツとダーツが首を傾げながら聞いてきた。馬車から買ってきたものを色々と下ろしてくれている子供達はみんなの目を引いているようだ。戦場になりつつあるので門の前でみんなに子供の事を話す。みんなはある程度、街の子供たちの事は理解しているので納得してくれた。ドワーフ達は人族の街の事は知らないので孤児と言うのを知らないみたいだな。
しかし、この街は非戦闘員が多いな~。今のところドワーフ達とリックとマイル親子だけだぞ。精霊達がいるから大丈夫なんだけど、不安はあるよな。
「レギントス帝国将軍、グレイブランドである。この街の長はいるか!」
荷下ろしを手伝いながら、子供の紹介をしていると街の外からそんな声が聞こえてきた。門の上に移動して見下ろすと木の門の前に三機の騎馬がこちらを見上げてきた。
「先ほどの戦い見事であった。こちらは敗北を認める」
白銀の鎧の白髪白髭の男がそう言ってきた。やけに素直だな。
「我らを街に入れてくれないか?」
「敗北したのに入るのか?」
「和平の話をしたいのだ」
そう言う事ね。それなら入れてあげてもいいけど、この男の左右にいる騎馬からは殺気しか感じないんだけどな。殺意で人が殺せたら俺は死んでいそうだ。
「良いですけど、その二人はちょっと……」
「なに!」
「貴様!」
すっごい睨んできているから遠慮してもらおうと思って声をかけると二人は更に鋭い睨みを聞かせてきた。
「イズ、アズ。二人は待っておれ」
「「しかし!」」
「待っておれと言っている」
「「ぐっ……グレイブランド様に何かあったらただじゃ置かないぞ!」」
すっごいユニゾンして叫んできた。名前からも察するに双子なのかな?
グレイブランドを街に入れるために門が開く。双子の騎士は震えるくらい我慢して、グレイブランドを見送った。その間はグレイブランドと俺を交互に見ていてすっごい不安そうにしている。泣きそうになってるぞ。
「愛されているようで……」
「恥ずかしながら、二人は私を親と思って居る。親離れできない可愛い子達だ」
街の中に入ったグレイブランドに声をかけると屈託のない笑顔でそう言ってきた。同時に馬から降りて、首を垂れた。
「改めて、私はレギントス帝国将軍、グレイブランド」
「俺はこの街の長、カイジョウ ヒフミだ」
人懐っこく笑みを浮かべたグレイブランドに敵意はないと思った俺は自己紹介をして握手を交わした。グレイブランドはレイグランドとは違うようだな。
「外ではなんですから俺の家に行きましょうか」
「すまない」
グレイブランドを家に誘うと素直についてきてくれた。マイルが心配そうについてくる。家に二人っきりは危ないは危ないか。
中に入ってもらってソファーに座ってもらう。向かい合わせで座ってもらうがグレイブランドはあまり警戒していない様子で先に座ってくれた。普通はこういう場合、警戒するものだと思うけど、外での出来事で既に安心してくれている様子だ。俺もこの人ならばと思い、安心している。やばいときは自動で精霊化している短剣がガードしてくれるから大丈夫だしな。
「こちらの不手際でこのようなことになり誠に申し訳ない。ドワーフ達を生け捕りにして、武器を作らせようなどと考えなければこんなことには」
グレイブランドはレギントス帝国の不手際だと認めて首を垂れた。自分たちの失態だと認めるあたり、できた御仁だ。普通なら力でねじ伏せてしまうものなんだがな。
「不手際だと認めているにも関わらず、さっきは攻めてきていましたね。それは?」
「イズとアズが先走ってしまいましてな。レイグランドの仇を取ると息巻いていました」
「あわよくば俺を殺させようと思ったのでは?」
「そのようなことは断じてない。卑怯な戦い方をしてはレギントス帝国の名折れ」
俺の言葉に焦ったように話すグレイブランド。あの殺気むんむんの双子が先走ったって事か。仇って言うとレイグランドの兄弟かなんかか?
「レイグランドはあなた達の?」
「儂の甥でイズとアズの兄弟弟子。同じ飯を食らい、同じ屋根の下で育った」
ふむ、それは一生恨まれそうだな。国の人間を殺めるのはやめるか? って兵士とか百単位で殺してしまっているけどな。
「ゲシュリアにたぶらかされてドワーフを捕えようとしたのが運の尽きだった。あの時にもっと強く引き留めていれば……レイグランドが儂の言う事を守らないとはな。儂も老いたという事か」
ドワーフの集落を襲った最初の騎士が王子をたぶらかしたって事か。何だかきな臭いな~。
「グレイブランドは」
「儂の事はグレイと呼んでくれ」
「あ、そう。じゃあ、グレイはこの後どうするつもり?」
「どうとは?」
「落とし前だよ。戦争吹っ掛けておいて、ハイおしまいじゃすまないだろ」
グレイは俺の言葉に顎に手を当てて考え込んでいる。貢物かなんかを用意してもらわないとこっちは許せないんだけどな。
「……見たところ、兵士を任せられるものはいないように思われますな」
「ん? ああ、指揮は大体俺がしてるかな?」
街の住人に戦闘を主としている者はいない。俺もゲームが好きなだけで武術を習ったことがあるわけじゃないからな。
「そこで、儂がこの街の将軍になるのはどうだろうか?」
「はぁ?」
急に何を言い出すかと思えば。そんなの無理に決まってるだろ。
「あんたはレギントス帝国の将軍だろ。レギントス帝国が許さないだろ」
「儂も歳だといったであろう。それに王にはあきあきしていたのだ。領地を広げろだの、武器を揃えろだの。挙句の果てにはエルフを手に入れろだのと、これを機にここで隠居するのも悪くないと思ってな」
グレイは愚痴をこぼして遠くを見る目をしだした。そんなことを話されても俺は頷かないぞ。
「ヒフミ殿にも悪くない話だぞ。レギントス帝国と貿易をなせるし、儂を人質としてこれ以上攻撃されんし。イズとアズも部隊に取り入れられる。そちらのお嬢さんは魔法を使えるであろう、それならば魔導書を持ってきてもいいぞ」
「ん! ん~」
イズとアズがもらえるっていうのはあまりよろしくないがマイル達の魔法を強くできるのはとてもいい。魔法を知ることで俺も杖達への命令がしやすいしな。魔導書は欲しいな~。
「イズとアズは無しでなら」
「おお~、そう言ってくれると思った。これで余生を安静に暮らせるぞ~」
「いててて、髭がいてーよ」
グレイは大喜びして、俺を抱き上げた。髭を頬をこすってくるものだから、痛い痛い。それにイズとアズの件は……、って聞いてないなこれ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる