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第2章 国
第44話 レストランとチンピラ
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「おいし~」
「おいしいね」
アイリとリックがステーキとパンをかじって満面の笑み。確かにオーク肉のステーキは美味しい。俺達の街には塩しかないけど、胡椒の香りがする。ちょっと聞いてみるか。
「ちょっといいかな?」
「はい?」
さっき、料理を運んできてくれた少年にステーキの胡椒について聞く。
胡椒は砂漠地帯からの行商人から買っているそうだ。砂漠地帯にもダンジョンがあるらしくて、そこに寄った冒険者も胡椒を少しだけ買ってきて、卸してくれるらしい。この世界の人たちは逞しい。
という事は胡椒を確保することが出来るって事か、エレベスのヤンバに聞いたら高いって聞いてたけど。
「いくらくらいするのか分かる?」
「えっと、十グラム銀貨一枚かな?」
高っ! いや、胡椒はそんなに多く使わないか? 塩と混ぜて使えば割り増しできるしな。
「少し売ってくれないかな?」
「じゃあ、親方を呼びますね」
売ってほしいというと少年が厨房へと向かった。少しすると厨房からスキンヘッドの親方が現れた。ごつい……
「おうっ、あんたが胡椒欲しいって客か。庶民には珍しい胡椒を知っているとはあんた何もんだ?」
腕を組んで睨みつけてくる親方。何故か怪しまれている。
「いや、ただの人族だよ。それよりも売ってくれるのか?」
「う~ん……。俺達が卸してもらってるのは特別でな~。冒険者ギルドのお墨付きで安くなっているんだ」
安くなっているのに銀貨一枚なのか!? 少なくても銀貨二枚はするって事か? 銀貨一枚、元の世界じゃ一万円くらいの価値だからな~。流石にやめておくか?
「それを横流ししたんじゃな~」
「そうですか。それじゃお願いしづらいですね」
「すまないな~」
親方さんが申し訳なさそうに謝ってきた。いえいえと返事を返すとニカッと笑って肩を叩いてきた。
「あんた本当にいい人だな。さっきもチビ達にチップくれたしよ」
「いえいえ、頑張っている人を放っておけないだけです。親方さんは子だくさんですね」
「ん? あ~、あいつらは俺の子じゃねえよ」
「え?」
さっきまで満面の笑みだった親方さんが俺の言葉で真っ暗な顔になってしまった。何か言っちゃいけないことを言ってしまったか?
「すみません……」
「いやいいんだ。この村はダンジョンで成り立っているからな。ああいうチビ達が生まれちまうのさ……。あんたらもダンジョンに行くなら気をつけろよ。チビ達を悲しませないでくれ」
親方さんはそう言って厨房に帰っていった。
なるほどね。ダンジョンの受付さんのレリエラが慣れていたように、俺達のようなパーティーはいる。親子でパーティーを組んでダンジョンに潜るんだよな。それであんなサンドワームと戦ったら帰ってこれないことも多いよな。
親方さんはそう言って人を養いながら店を経営している。少しでも力になりたいもんだな。
「おい! クソガキ。料理がこぼれてるぞ」
「す、すいません。今すぐ掃除します」
「早くしろよ」
親方さんの背中を見ているとそんな声が聞こえてきて視線を声に移した。
声の主はカウボーイハットをかぶった集団で、西部劇のチンピラみたいな連中だ。銃じゃなくて剣や槍をもっているのが可笑しな感じだな。
「こぼしちまった~」
「ほらほら、どんどん汚れるぞ~」
酒が入って質が悪いチンピラ、親方が怒りを顔に表している。親方には悪いが俺が行かせてもらおう。魔物でも試したけど、ステータスが本当にすごいことになってるのか確認したいからな。
「おじさん達どっか行って」
「どわっ。何だお前!」
……。アイリに先を越された。
「おいしいね」
アイリとリックがステーキとパンをかじって満面の笑み。確かにオーク肉のステーキは美味しい。俺達の街には塩しかないけど、胡椒の香りがする。ちょっと聞いてみるか。
「ちょっといいかな?」
「はい?」
さっき、料理を運んできてくれた少年にステーキの胡椒について聞く。
胡椒は砂漠地帯からの行商人から買っているそうだ。砂漠地帯にもダンジョンがあるらしくて、そこに寄った冒険者も胡椒を少しだけ買ってきて、卸してくれるらしい。この世界の人たちは逞しい。
という事は胡椒を確保することが出来るって事か、エレベスのヤンバに聞いたら高いって聞いてたけど。
「いくらくらいするのか分かる?」
「えっと、十グラム銀貨一枚かな?」
高っ! いや、胡椒はそんなに多く使わないか? 塩と混ぜて使えば割り増しできるしな。
「少し売ってくれないかな?」
「じゃあ、親方を呼びますね」
売ってほしいというと少年が厨房へと向かった。少しすると厨房からスキンヘッドの親方が現れた。ごつい……
「おうっ、あんたが胡椒欲しいって客か。庶民には珍しい胡椒を知っているとはあんた何もんだ?」
腕を組んで睨みつけてくる親方。何故か怪しまれている。
「いや、ただの人族だよ。それよりも売ってくれるのか?」
「う~ん……。俺達が卸してもらってるのは特別でな~。冒険者ギルドのお墨付きで安くなっているんだ」
安くなっているのに銀貨一枚なのか!? 少なくても銀貨二枚はするって事か? 銀貨一枚、元の世界じゃ一万円くらいの価値だからな~。流石にやめておくか?
「それを横流ししたんじゃな~」
「そうですか。それじゃお願いしづらいですね」
「すまないな~」
親方さんが申し訳なさそうに謝ってきた。いえいえと返事を返すとニカッと笑って肩を叩いてきた。
「あんた本当にいい人だな。さっきもチビ達にチップくれたしよ」
「いえいえ、頑張っている人を放っておけないだけです。親方さんは子だくさんですね」
「ん? あ~、あいつらは俺の子じゃねえよ」
「え?」
さっきまで満面の笑みだった親方さんが俺の言葉で真っ暗な顔になってしまった。何か言っちゃいけないことを言ってしまったか?
「すみません……」
「いやいいんだ。この村はダンジョンで成り立っているからな。ああいうチビ達が生まれちまうのさ……。あんたらもダンジョンに行くなら気をつけろよ。チビ達を悲しませないでくれ」
親方さんはそう言って厨房に帰っていった。
なるほどね。ダンジョンの受付さんのレリエラが慣れていたように、俺達のようなパーティーはいる。親子でパーティーを組んでダンジョンに潜るんだよな。それであんなサンドワームと戦ったら帰ってこれないことも多いよな。
親方さんはそう言って人を養いながら店を経営している。少しでも力になりたいもんだな。
「おい! クソガキ。料理がこぼれてるぞ」
「す、すいません。今すぐ掃除します」
「早くしろよ」
親方さんの背中を見ているとそんな声が聞こえてきて視線を声に移した。
声の主はカウボーイハットをかぶった集団で、西部劇のチンピラみたいな連中だ。銃じゃなくて剣や槍をもっているのが可笑しな感じだな。
「こぼしちまった~」
「ほらほら、どんどん汚れるぞ~」
酒が入って質が悪いチンピラ、親方が怒りを顔に表している。親方には悪いが俺が行かせてもらおう。魔物でも試したけど、ステータスが本当にすごいことになってるのか確認したいからな。
「おじさん達どっか行って」
「どわっ。何だお前!」
……。アイリに先を越された。
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