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第2章 国
第54話 タルシア
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「はぁ~……」
俺達は帰路に立った。早急に作った馬車で帰ってるんだ。思った通り、見知らぬ集団に目をつけられてつけ回されているよ。
大きくため息をついているとサファイアが頭に乗ってきた。
「友達ぴよ?」
「いいや……」
「倒すぴよ?」
「仕掛けてきたらするつもりなんだけどね」
サファイアが後ろを気にしながら聞いてくる。エレベスの町の帰りと違って襲ってこないんだよな。あのくらい盗賊ですってしてくれていれば攻めやすいんだけどな。
「一騎速度を上げてきましたよ」
「ん? ほんとだ」
マイルが後方を指さして言ってきた。確かに一騎近づいてくる。
「倒しますか?」
「いや、白旗上げてるからな~」
近づいてくる騎馬は白旗をあげている。よく見ると馬にも鎧が付いていて豪華な装いだ。
「攻撃しないでくれ」
白旗を掲げて近づいてくる騎士が叫んでいる。どうやら、敵ではないみたいだ。
「急いでいるからそこから話してくれるか?」
時間がもったいないので馬車を止めるわけにもいかない。なのでそのまま話させることにした。
「私はタルシアの騎士ルインと申します。エレベスダンジョンで猛者を探していたところであなた方を見つけたのです。どうか、私の国へ来ていただけないか?」
タルシアの国の騎士って事か? 五階から帰った時よりも視線を感じたのはこいつらだったって事か。自分の街もあるから他に行くのは面倒だ。断ることにしよう。
「俺は自分の街を持っている。そちらに行くことはない」
「自分の街を!? では当主という事ですか」
「まあ、そうだな」
「そうでしたか。それは失礼いたしました。強き者を集めるようにエレイン様に言われて集めていたのですが諦めることにいたします」
「エレイン!?」
一番気にかかっていた名前があがって声を荒らげる。ハジメの代わりに一位になった奴の名だ。絶対にハジメがどうなったのか知っているはず。タルシアの国にエレインがいる。いい情報をくれたな。
「エレイン様を知っているのですか!」
「知ってるよ」
「では」
「知ってるが今は行く気がない」
「そ、そうですか……」
「いけないが名前は名乗っておこう。俺はカイジョウ・ヒフミだ。用があるならそっちから来いって伝えてくれ」
騎士にそう言って帰す。少しムッとした顔をしていたがそのくらいしておけば接触してくるだろう。
「お兄ちゃん大丈夫なの?」
「ああ、とりあえず敵ではないみたいだから……」
アイリが心配して聞いてきた。確かに生かして帰すのは危ないかもしれないがハジメの情報を知っている奴らと敵対するのはまだよくない。
もしもハジメを殺していて、殺したのが分かった時、敵対する。絶対に仇を取ってやる。
「今は目の前の面倒ごとを済ませる」
「はい」
独り言にマイルが笑顔で答えた。だけど、気のせいか俯いているのが伺えて気になった。
「ダンジョン面白かったね~」
「そうねアイリ」
アイリの言葉にマイルは気のない返事を返している。やっぱり、何か気にしているようだな。何かあの騎士が言ったのかな?
「……ヒフミ様、エレインさんって誰なんですか?」
「ん? あ~よくわからないんだけど、知っている奴の仇かもしれないんだ」
「仇ですか?」
「ああ」
リックがエレインについて聞いてきた。正直、どう言う奴かは知らないけど、もしかしたら仇かもしれないんだよな。
答えを聞いて、リックはマイルと顔を見合って微笑んでいる。どうにも気になったので聞いてみる事にした。
「何か気になった?」
「いえ! 何でもないですよ~」
「ん~? マイルも?」
「はい!」
さっきまでとは打って変わって、マイルは満面の笑みで答えた。そんな笑顔見たことないぞって感じで見惚れるほど綺麗に見えた。
俺達は帰路に立った。早急に作った馬車で帰ってるんだ。思った通り、見知らぬ集団に目をつけられてつけ回されているよ。
大きくため息をついているとサファイアが頭に乗ってきた。
「友達ぴよ?」
「いいや……」
「倒すぴよ?」
「仕掛けてきたらするつもりなんだけどね」
サファイアが後ろを気にしながら聞いてくる。エレベスの町の帰りと違って襲ってこないんだよな。あのくらい盗賊ですってしてくれていれば攻めやすいんだけどな。
「一騎速度を上げてきましたよ」
「ん? ほんとだ」
マイルが後方を指さして言ってきた。確かに一騎近づいてくる。
「倒しますか?」
「いや、白旗上げてるからな~」
近づいてくる騎馬は白旗をあげている。よく見ると馬にも鎧が付いていて豪華な装いだ。
「攻撃しないでくれ」
白旗を掲げて近づいてくる騎士が叫んでいる。どうやら、敵ではないみたいだ。
「急いでいるからそこから話してくれるか?」
時間がもったいないので馬車を止めるわけにもいかない。なのでそのまま話させることにした。
「私はタルシアの騎士ルインと申します。エレベスダンジョンで猛者を探していたところであなた方を見つけたのです。どうか、私の国へ来ていただけないか?」
タルシアの国の騎士って事か? 五階から帰った時よりも視線を感じたのはこいつらだったって事か。自分の街もあるから他に行くのは面倒だ。断ることにしよう。
「俺は自分の街を持っている。そちらに行くことはない」
「自分の街を!? では当主という事ですか」
「まあ、そうだな」
「そうでしたか。それは失礼いたしました。強き者を集めるようにエレイン様に言われて集めていたのですが諦めることにいたします」
「エレイン!?」
一番気にかかっていた名前があがって声を荒らげる。ハジメの代わりに一位になった奴の名だ。絶対にハジメがどうなったのか知っているはず。タルシアの国にエレインがいる。いい情報をくれたな。
「エレイン様を知っているのですか!」
「知ってるよ」
「では」
「知ってるが今は行く気がない」
「そ、そうですか……」
「いけないが名前は名乗っておこう。俺はカイジョウ・ヒフミだ。用があるならそっちから来いって伝えてくれ」
騎士にそう言って帰す。少しムッとした顔をしていたがそのくらいしておけば接触してくるだろう。
「お兄ちゃん大丈夫なの?」
「ああ、とりあえず敵ではないみたいだから……」
アイリが心配して聞いてきた。確かに生かして帰すのは危ないかもしれないがハジメの情報を知っている奴らと敵対するのはまだよくない。
もしもハジメを殺していて、殺したのが分かった時、敵対する。絶対に仇を取ってやる。
「今は目の前の面倒ごとを済ませる」
「はい」
独り言にマイルが笑顔で答えた。だけど、気のせいか俯いているのが伺えて気になった。
「ダンジョン面白かったね~」
「そうねアイリ」
アイリの言葉にマイルは気のない返事を返している。やっぱり、何か気にしているようだな。何かあの騎士が言ったのかな?
「……ヒフミ様、エレインさんって誰なんですか?」
「ん? あ~よくわからないんだけど、知っている奴の仇かもしれないんだ」
「仇ですか?」
「ああ」
リックがエレインについて聞いてきた。正直、どう言う奴かは知らないけど、もしかしたら仇かもしれないんだよな。
答えを聞いて、リックはマイルと顔を見合って微笑んでいる。どうにも気になったので聞いてみる事にした。
「何か気になった?」
「いえ! 何でもないですよ~」
「ん~? マイルも?」
「はい!」
さっきまでとは打って変わって、マイルは満面の笑みで答えた。そんな笑顔見たことないぞって感じで見惚れるほど綺麗に見えた。
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