制作スキル持ちのリビングマスター ~異世界覇者への道~

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
54 / 59
第2章 国

第54話 タルシア

しおりを挟む
「はぁ~……」

 俺達は帰路に立った。早急に作った馬車で帰ってるんだ。思った通り、見知らぬ集団に目をつけられてつけ回されているよ。
 大きくため息をついているとサファイアが頭に乗ってきた。

「友達ぴよ?」

「いいや……」

「倒すぴよ?」

「仕掛けてきたらするつもりなんだけどね」

 サファイアが後ろを気にしながら聞いてくる。エレベスの町の帰りと違って襲ってこないんだよな。あのくらい盗賊ですってしてくれていれば攻めやすいんだけどな。

「一騎速度を上げてきましたよ」

「ん? ほんとだ」

 マイルが後方を指さして言ってきた。確かに一騎近づいてくる。

「倒しますか?」

「いや、白旗上げてるからな~」

 近づいてくる騎馬は白旗をあげている。よく見ると馬にも鎧が付いていて豪華な装いだ。

「攻撃しないでくれ」

 白旗を掲げて近づいてくる騎士が叫んでいる。どうやら、敵ではないみたいだ。

「急いでいるからそこから話してくれるか?」

 時間がもったいないので馬車を止めるわけにもいかない。なのでそのまま話させることにした。

「私はタルシアの騎士ルインと申します。エレベスダンジョンで猛者を探していたところであなた方を見つけたのです。どうか、私の国へ来ていただけないか?」

 タルシアの国の騎士って事か? 五階から帰った時よりも視線を感じたのはこいつらだったって事か。自分の街もあるから他に行くのは面倒だ。断ることにしよう。

「俺は自分の街を持っている。そちらに行くことはない」

「自分の街を!? では当主という事ですか」

「まあ、そうだな」

「そうでしたか。それは失礼いたしました。強き者を集めるようにエレイン様に言われて集めていたのですが諦めることにいたします」

「エレイン!?」

 一番気にかかっていた名前があがって声を荒らげる。ハジメの代わりに一位になった奴の名だ。絶対にハジメがどうなったのか知っているはず。タルシアの国にエレインがいる。いい情報をくれたな。

「エレイン様を知っているのですか!」

「知ってるよ」

「では」

「知ってるが今は行く気がない」

「そ、そうですか……」

「いけないが名前は名乗っておこう。俺はカイジョウ・ヒフミだ。用があるならそっちから来いって伝えてくれ」

 騎士にそう言って帰す。少しムッとした顔をしていたがそのくらいしておけば接触してくるだろう。

「お兄ちゃん大丈夫なの?」

「ああ、とりあえず敵ではないみたいだから……」

 アイリが心配して聞いてきた。確かに生かして帰すのは危ないかもしれないがハジメの情報を知っている奴らと敵対するのはまだよくない。
 もしもハジメを殺していて、殺したのが分かった時、敵対する。絶対に仇を取ってやる。
 
「今は目の前の面倒ごとを済ませる」

「はい」

 独り言にマイルが笑顔で答えた。だけど、気のせいか俯いているのが伺えて気になった。

「ダンジョン面白かったね~」

「そうねアイリ」

 アイリの言葉にマイルは気のない返事を返している。やっぱり、何か気にしているようだな。何かあの騎士が言ったのかな?

「……ヒフミ様、エレインさんって誰なんですか?」

「ん? あ~よくわからないんだけど、知っている奴の仇かもしれないんだ」

「仇ですか?」

「ああ」

 リックがエレインについて聞いてきた。正直、どう言う奴かは知らないけど、もしかしたら仇かもしれないんだよな。
 答えを聞いて、リックはマイルと顔を見合って微笑んでいる。どうにも気になったので聞いてみる事にした。

「何か気になった?」

「いえ! 何でもないですよ~」

「ん~? マイルも?」

「はい!」

 さっきまでとは打って変わって、マイルは満面の笑みで答えた。そんな笑顔見たことないぞって感じで見惚れるほど綺麗に見えた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

超能力があれば転生特典なしでも強キャラだった件~帰還し命を救うため、モンスターを倒しまくるぞ~

うみ
ファンタジー
生まれながらにして「転移」「念動力」「自己修復」の異能を持っていた池添は、能力を隠し平凡な人生を歩んでいた。 卒業式の帰り道で命の危機に遭遇した彼は友人を見捨てて異世界に転移してしまう。 自分だけ逃げてしまったことに後悔する池添であったが、迫るモンスターを転移、心臓の血管を断ち切る必殺の一撃で打ち払う。そこで、不思議な声が彼の頭に響く。 なんと、自分の能力で逃げ出したわけじゃなく、この声の主が自分を転移させた原因だと言うのだ。 「あの時、あの場所にいけぞえさーんを帰すことができまーす」 「……ギブアンドテイクといったな。すみよん。お前の求めるものは何だ?」 「すみよんの元まで来てくださーい。そして、破壊してください。暴走を。オネガイ……です」 そんなわけで、友人を救うチャンスを得た池添は今度こそ彼らを救うことを誓う。 そのために能力を鍛えることが必要だと痛感した池添は、能力を自重せず使い、全力全開で進むことを決めた。 異世界で出会った仲間と共にモンスター討伐に明け暮れる日々が始まる。 ※ラストまで書けておりますので完結保証です!全47話予定。

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...