制作スキル持ちのリビングマスター ~異世界覇者への道~

カムイイムカ(神威異夢華)

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第2章 国

第58話 エレイン

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 ゴールドアーマーを送って少しするとゴールドアーマーが帰ってきた。メチャメチャ追われているので弓に追撃をさせて倒させる。
 どうやら、激昂する選択をしたようだ。という事は、王が直々にやってきたようだ、そうじゃないと激昂はしないだろう。王に伝達を送るとしたら一週間以上かかるだろうしな。

「王が直々に来ているのか」

「この街を危険視しているのでしょうか?」

「まあ、人っていうのは自分よりも大きな力を恐れるものだからね」

 マイルが疑問に首を傾げていたので説明してあげた。いつの時代もそんな理由で喧嘩していたよな。

「人って面白いぴよ。強いやつがいるなら仲間になった方がいいぴよ」

「ははは、儂もそう思ったぞ」

 サファイアの頭を撫でるグレイ。まあ、その前に息子を俺が殺しているからな~。仇をとりたいんだろうな。
 
 ゴールドアーマーの迎えると鎧がかなり傷ついている。武器を持たさないで行かせたからな~。使者は武器なしの方がいいと思ったんだけど、それが仇になったかな。

「がっはっは、手痛くやられたか~」

「心配するな。しっかりと直してやる」

 ガーツとダーツがゴールドアーマーをぶっ叩いて話す。ドワーフ達はリビングアーマー達の整備もしてくれるからありがたい。単純にいじりたいっていう方があっているかもしれないけどな。

「ヒフミ様~。敵が動き出しました~」

 リックが城壁の上から報告してきた。
 激昂して、更に逃げられて怒ったって感じか。
 
「さっきの倍以上はいるぞ!」

「ど、どうするんだ?」

 アズとイズが焦りながら言ってきた。さっきはこっちも手加減しているんだけどな。だって剣達を出していないからね。

「さっきと同じように鉄騎士とリビングアーマー。それに杖と弓を出すよ」

 さっきと同じようにドラゴン兵も飛んできている。最初から本気で倒しに行ってもらう。

「そ、そうか。さっきは鎧たちだけだったから」

「本気じゃなかったのか……」

 最初から本気出して戦意喪失させるっていう手もあったんだけど、被害をあんまり出さないようにしたかったっていうのはあったんだよな。
 少し後ろめたい気持ちでみんなに指示を出す。そうしていると、戦場にとどろく声が、

『両者待たれよ! 剣を置け!』

 地平線がそのまま歩いてくるような敵軍と俺達の間に白馬に乗った女性が現れた。金髪ロングの女は長剣を掲げて地面に捨てると馬から降り始める。

『私の名はエレイン・ルナティリア。タルシア王国の王女』

「エレイン!?」

 ハジメの代わりに一位に入ってきたやつだ。ギリギリと拳を握る、あいつが親友であるハジメを……。

「何も知らない女! お前は黙っておれ! これは仇。あの魔物達を倒さなければならんのだ」

 レギントスの軍から王冠をかぶった奴がエレインに話しかけている。

「何も知らないからこそ間に入れる。話をしよう。見てみればかなり死者が出ているじゃないか。これ以上やっても憎しみが増えるだけだ。あなたの兵を見よ。みな恐怖で顔を歪めているでしょう。撤退するも勇気ですよ王」

「うっ。しかし……」

「ではこうしましょう。私があちらと話をしてきます。それからでも遅くないですか?」

「……分かった。美しき強き者よ。あなたにお任せしよう」

 剣を飛ばして話を聞いた。どうやら、あいつが一人でこっちに来るようだ。
 パカパカと白馬にまたがった女はニッコリと俺を見上げて開門を願ってきた。仕方なく門を開ける。

「それで、あんたは誰だ?」

 門に入ってきたエレインにそう言うと彼女は馬から降りて、顔が隠れるくらい俯いた。

「ど、どうしたんだ?」

「うううう」

「なんだ?」

「ヒフミ~!! 会いたかった会いたかったよ~」

「うおっ!?」

 心配になって近づくとエレインが抱き着いてきた。この感じなんか懐かしい……、まさか!?

「お前! ハジメか!」

「そうだよ~それ以外なんなの~」

「分かるか! 本当だろうな? 3、2、1?」

「サンニイイチイチでしょ。僕らの合言葉」

 俺達だけの合言葉まで知ってる。こいつは本当にハジメみたいだ。なんで女になってるんだよ。

「なんでそんなことになってるんだ?」

「ヒフミ様、外では何ですので中に行きませんか?」

「あ、ああ、そうだな」

 マイルに進められてエレイン改め、ハジメと家の中に入った。
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