レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
46 / 57
第二章

第46話 陰謀

しおりを挟む
 ゴブリンの群れを倒して二日ほどが経った。
 魔物と何度か戦ったけど、無事に撃破して王都が見えてきた。日が傾いてきてる。

「王様が亡くなられて五日が経ったな~」

「ああ、クランロード様がご帰還なさって二日、王位はやはりクランロード様だろう」

「あの方ならば大丈夫だろう。平民にもお優しい方だ」

 エリンのおかげで顔パスで王都へと入れた。
 出店を見ている人達の話が耳に入ってくる。クランロード様は二日前に王都に着いたみたいだ。

「クランロード様は到着してるみたいですねお兄様」

「そうだねエリン」

 微笑むエリンに答える。彼女は僕らが自分よりも強いことが分かるとお兄ちゃんと呼ばなくなってお兄様と呼んでくるようになった。何でそうなったのかわからないから聞いたら『守る存在だと思っていたから』と顔を赤くして答えた。それからと言うものあまり僕にベタベタしなくなったんだよな。彼女もやっと大人になったってことかな?

「すぐに城に行きましょう。騎士の私が一緒なら皆さんも入れるはずですから」

 エリンの言葉にみんなで頷いて答える。

「ダメだ!」

「!? なぜです!」

 城の門の前に着くと兵士に槍を構えられて告げられた。意気揚々とやってきたエリンが声を荒らげる。

「エリン。王位継承でピリピリしている王城に見知らぬものが来たら貴族の方々がどうなるかくらいわかるだろう?」

「し、しかし、この方々はクランロード様の」

「だからだ。クランロード様のご友人ということが知れたらなおさら。貴族は間違いなく危害を加え、不敬罪で友人方を罰しようとするはずだ。お前だけで入ってクランロード様を外へお連れすることが一番円滑に進むはずだぞ」

 エリンの同僚が優しく助言してくれる。騎士たちはクランロード様の味方ってことかな? 流石はクランロード様だ。
 
「分かりました。では皆さん、お待ちください」

「気をつけてね」

「はい」

 エリンを見送って僕らは待ちぼうけ。

「遅いな……」

 夜になっていく街並み。人はまばらで酔っぱらいが道路を歩いてるのが見える。門の前の階段に座り込んでその風景を見てると門が少し開いて、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「みんな! 来てくれたんだね」

 人懐っこい笑顔でクランロード様が声をかけてくれる。後ろにはエリンの姿が見えてホッと胸を撫でおろした。

「なんだ元気そうだな王様」

「ちょ、グレン……まったく君は」

 グレンさんは手をあげて挨拶を交わす。そんないつも通りの彼に焦るクランロード様、二人は仲良しだな。

「それで? 首尾は?」

「正直、君たちが来てくれてよかったよ。とても悪い状況だ」

 門の前に出てきてくれて階段に腰かける。話の聞こえる範囲には僕らだけ、騎士の人達も警戒してみていてくれてる。
 グレンさんが聞くとクランロード様は暗い表情で告げる。

「現段階で王位継承者は僕とウェインという男だ」

「ウェイン? 聞かない名だな」

 王子様と張り合えるほどの継承権もち? グレンさんが知らない人が継承権を持っているとは思えないけどな。普通の人が知らない王子ってことだもんね?

「……お父様の隠し子、だそうだ」

「ハァ!? 嘘だろ? あんな厳格で厳しいアレクロード様だぞ」

「ああ、僕もそう思うよ。だけど、大臣はそういってるんだ」

 まさかの答えに驚くグレンさん。エリンも驚いてるのを見ると王様は本当に厳格で隠し子なんているはずないんだろうな。でも、大臣がいってるなら信ぴょう性は高そうだな。

「大臣……確かフェックとか言ったか?」

「ああ、白髪の老人だよ」

「あいつは俺を追い出した張本人だからな。覚えてるよ」

 大臣の名を苦々しく告げるグレンさん。拳を握りしめてギュッと力を込めてる。憤りが見える。
 クランロード様もそれに同意してるみたいで腕を組んで力を込めてる。
 ってグレンさんって王城にいたの!? 初耳なんだけど。王都にいたとは聞いて居たけど。

「ん? ああ、言ってなかったか。俺はエリンとは違うが騎士の位をもらっていたんだ。クランロード様の専属の冒険者ってことでな」

「昔はよくグレンと共に冒険者家業をしたもんだよ」

 二人は控えめに笑って告げる。そんな過去があったのか~。仲良しなわけだ。

「はは……!? ぐ、グレンその指輪!?」

「お? 気づいちまったか。結婚したんだシーラと。いいだろ~」

「まさかグレンに先を越されるとは。は~、王様になったら自分の好きなことは結婚できないんだよな~。いっそのこと大臣にあげちゃおうかな」

「おいおい、それは流石にやばいだろ。王都の住人や俺達は圧制に苦しむぞ。奴は俺にやったようなことを平気でやるからな」

「そうだったね……」

 指輪に気づいたクランロード様がため息をついて冗談を言ってるよ。たぶん本気ではないと思うけど、あの大臣が王位継承しちゃったら大変なことになるって言ってる。そんなにやばい人なのかな?

「あの時は本当に僕もどうしてやろうかと思ったよ」

「ああ、あの時に痛めつけてやったってのに懲りないやつだ」

「フェック大臣に何をしたんですか?」

 二人は楽しそうにその時のことを話す。エリンが質問すると『顔がぐちゃぐちゃになるまで殴った』と話した。

「クランロードに稽古ってことで怪我させちまってな。その時に不敬罪でうんたらって言って来たからよ。個室に引きずっていってボッコボコにしたんだ」

「グレンがやらなくても僕がやってたかもね」

「ああ。それで俺は王都を離れたわけだ。まあ、今思えばいい思い出だな」

 本当に楽しそうに告げる二人。稽古で怪我は付き物だけど、それを理由にしてクランロード様から友人であるグレンさんを遠ざけたかったのかな? まさか、ボッコボコにされるとは思っても見なかったと思うけど。

「策士ですねその大臣」

「ん? どういうことだビシャス」

「いつもならこういうことはアビスお姉さまの領分なのですが」

 ビシャスさんが顎に手を当てて呟いた。グレンさんが首を傾げて聞くと僕が思っていたことを彼女が告げる。

「クランロード様のご友人であるグレン様を遠ざけ、更に王様の、たぶんですが友人である大司祭様? を遠ざけた。クランロード様がエイクテッドに来たのはその大臣の仕業では?」

「え!? いや、お父様直々にエイクテッドの魔物の大量発生を調査せよって……」

「そうですか。それが違うとしても大臣はチャンスを待っていたのでしょう。かなり頭が回ると見えます」
 
 ビシャスさんが話すと首を傾げるクランロード様。エイクテッドに来ていたのは偶然かもしれないけど、前の二つは大臣の仕業ってことか。

「クランロード様。フェック様がお探しになっております」

「わかった。すまないみんな。話は明日の朝に。この宿屋に泊っててくれるかい?」

 門から顔を出した騎士がクランロード様を呼んだ。クランロード様は僕らに一枚の綺麗な紙を手渡してきた。そこには少し離れた所の宿屋の紹介がされていた。
 アレク王国の最上の宿屋【レジェンドスリープ】と書かれてる。なんか高そうな宿屋だな。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

処理中です...