結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

恋愛系

文字の大きさ
27 / 170
第一部 三章 仲間を確保する

聖騎士から逃げると

しおりを挟む
 プランスが冷めたように言った。

 ♢♢♢

 シルバーに乗って再び地面を走ると、地平線が見えて、地平線以上遠くのところはどうなっているのだろう。と咄嗟に頭の中に入った。
 子供のような疑問かもしれないけど、私には何故か重要な疑問で考え込む。
 
 地平線より遠くは、ないのではないか? それとも、未知の世界に繋がる空間に入るのかもしれない。

 そう考えると、逆に色々な例が頭の中で浮かんで、二択から三択と増えて行く。
 もうこれは正解などないのが、正解なのかもしれない。

 この世は全て自分で作っているのかもしれない。

 ふと、数年前の記憶が今になって蘇る。

『魔力はな、自由に作ることが可能なんや、それに世界はただ一人の物だよ』

 この記憶をいつの記憶だろうか。
 お年寄りのような声で、話すから、誰かが分からなかった。

「どうした」

 彼が私の考える顔を見たのか、怪訝な顔で振り向いた。
 特に具合悪くないので、ちょっと考えすぎだったかな? と微笑みで返すと「そうか」とまた前を向いた。
 なんでこんな仕草で私の心を打つのだろう。プランスの顔が心の隙間をうめてしまう。
 ああ、苦しいようで心地いい。他に何も想えないって本当に良いことなんだ。

「シルバー、はいこれ」

 プランスが走っているシルバーに林檎を食べさした。

「プランス、走ってるシルバーにそんな食べさし方していいの?」

 つい疑問に思ったことは、なぜか彼に訊いてしまう。
 それだけ、彼のことを信用しているのだろう。なんで彼を信用してしまうの? ただただ助けてくれた人を。

「当たり前だ。でも、ちょうどいいところで食べさしてあげないとダメだけどな」

 プランスは林檎を齧りながら言った。

「あっ君も食べたい?」

 林檎を私に渡してくれた。まあ三時のおやつ感覚で、食べれば美味しいだろうな。

 林檎を齧ると、瑞々しい甘い水が口に入ってきた。早々に喉からお腹に入っていき、空腹感が和らぐような気がした。

「美味しいね!」

 そして、もう一口とどんどん食べてしまい、屋敷の頃の自分はもういないらしい。でも、あの頃の私は私が消した。
 今までは社交辞令で、綺麗に礼儀正しくし、人の目には自分が特別な人間と見せてきた。
 それで、周りからは美人な王妃として、認識されて優しく、あの人が生む子こそが、世界一の王認識輝くと見られていた。

 結果としてはそんな夢、頑なに叶わなかったけど。

「当たり前だ。ここの林檎は美味しいだ」

 プランスはもう林檎を食べ終わったらしく、林檎のゴミはそこら辺に捨てた。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...