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第三部一章 人生というのは残酷非道
ユドシエル
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「大魔法使いユドシエルが、そんなに簡単に逃げるとは思えないけど・・・・・」
私はシルバーの言葉に半信半疑だった。千年以上生きているという伝説の存在が、目の前の敵を察知して逃げ出すような存在であるはずがない。それに、ここまでの旅路で感じた違和感が、その言葉を信じるのをためらわせていた。
「・・・・・そうかもしれんが、油断は禁物や。ユドシエルはわいらをどう出迎えるか分からん。何を考えているのか、まだ掴めんのや」
シルバーは冷静な表情に戻り、注意深く辺りを見渡していた。その鋭い目が、森の隙間を一つ一つ確認するように動いている。私もまた、周囲を警戒し始めたが、相変わらずユドシエルの気配は感じられない。
「ミア、アン、気を抜かんといてや。大魔法使い相手や、どんなトリックが隠されとるか分からん」
アンもまた、緊張感を顔に表しつつ、剣に手をかけて身構えた。彼女の沈黙は、これまでの旅路で見せた軽口とは違う、真剣なものだった。ユドシエルという名前が、彼女の中で大きな存在感を持っているのが分かる。
「気配がないってことは、何か仕掛けてくるつもりなのかしら?」
私の言葉にシルバーはうなずいた。
「そうかもしれん。ユドシエルは魔力を隠して相手を油断させ、その隙を突くような戦術を好むと聞いたことがある。わいらが進むべき道を閉ざし、出口を見つけるのは容易じゃないはずや」
その瞬間、遠くから微かな風が吹き抜け、草木がざわめいた。まるで森自体が囁いているかのようだった。どこからか不吉な笑い声が響き渡り、鳥肌が立つ。辺りは急に不気味な静けさに包まれ、何かが始まるのを感じさせた。
「来る・・・・・」
アンが小さな声でつぶやいた瞬間、地面が微かに揺れた。その振動は徐々に大きくなり、足元の土がゆっくりと割れ始める。大地が裂け、そこから白い光が溢れ出し、眩しさに思わず目を覆った。
「ミア、アン、気をつけろ!」
シルバーの警告が響き渡ったが、既に光は私たちを包み込み、何も見えなくなっていた。次の瞬間、耳元で何かがささやくような音が聞こえ、私の視界は真っ暗になった。
何が起きているのか、何も分からない。ただ、一つだけ確かなのは、この状況がユドシエルの手によるものだということだった。
そしてどれだけ経った事だろう? シルバーの悲鳴と共に聞き覚えのない叫ぶ声が聞こえて、眼を覚ました。
まだ意識を朦朧として、あたりが揺らいで見える。
何が起きたのだ? 頬を叩いて意識をはっきりさせると、思い出してきた。
「起きたか、ミア・・・アンを連れて逃げてくれ」
大魔法使いユドシエルと見られる女性シルバーは鍔迫り合いをしていた。
シルバーが剣を持っているとは思っていなかったから、魔力勝負にすると考えていたけど、私たちを守りながら戦っているにだから、魔力で私とアンに危害が加えられると思ったのだろうけど、私は自分から戦場に立ってシルバーに加勢する。
「その眼、ここは引く・・・・・」
大魔法使いユドシエルはなぜか私の眼を睨め付けると剣を鞘にしまうと引くと言って、シルバーにお辞儀をしたら、霧を自分で作り出しどこかへと行ってしまった。
何故私の眼を見て逃げてしまったのだ?
私は石畳に座り、大魔法使いユドシエルが消えていった方を見つめ考える。
それでも理由は全く分からないそれは私が悪いのか?
もしかしたらルカの手下で私に暴力を振るったり自由にしなかったらルカが死んでしまうからなのか?
それでも一千年以上生きた魔法使いだ。誰かの下に着くか?
私ならプライドが許さないから許せない。
「どうしたのだ? やはりミアが・・・そうなのやでな」
シルバーが不思議そうな顔をして私を見る。
やっぱりプランスじゃないなと悲しい一面と安堵した一面が合わさった。
それは、シルバーがプランスじゃないという少しの悲しみと、シルバーなのにプランスと勘違いして恋しなくてよかったという安堵感である。
「何があったの・・・?」
アンが起き上がった。石畳から私も立ち上がり、アンの方に駆け寄る。
アンはまだ意識がはっきりしてないのか、目ばしょぼしょぼしていて、まだ眠いような顔をしている。
でも生きているからよかった。またプランスのように死んでもらったら困っちゃう。
そう思って、抱きしめると彼女は微笑むことが嬉しかった。遠ざけられるのは嫌だから。
「大丈夫・・・・。今大魔法使いユドシエルを追い張ったらったところ」
アンはだんだんと意識が戻り起き上がって立ち上がった。
でも意識が朦朧しているのかフラフラしている。
おそらく大魔法使いユドシエルの術がアンの弱点だったのだろう。
大魔法使いユドシエルの術は精神攻撃だったと思う。いやもしかして物理的? そんなような気がしたり、精神魔法だったか?
そんなことを考えていると、シルバーが「もう大丈夫か? 次の村まで行けそうやないか?」と声をかけてきた。するとアンが「大魔法使いユドシエル様はいなくなったのですね? ならもう出発できます」といつも通りの体制で言った。
私はシルバーの言葉に半信半疑だった。千年以上生きているという伝説の存在が、目の前の敵を察知して逃げ出すような存在であるはずがない。それに、ここまでの旅路で感じた違和感が、その言葉を信じるのをためらわせていた。
「・・・・・そうかもしれんが、油断は禁物や。ユドシエルはわいらをどう出迎えるか分からん。何を考えているのか、まだ掴めんのや」
シルバーは冷静な表情に戻り、注意深く辺りを見渡していた。その鋭い目が、森の隙間を一つ一つ確認するように動いている。私もまた、周囲を警戒し始めたが、相変わらずユドシエルの気配は感じられない。
「ミア、アン、気を抜かんといてや。大魔法使い相手や、どんなトリックが隠されとるか分からん」
アンもまた、緊張感を顔に表しつつ、剣に手をかけて身構えた。彼女の沈黙は、これまでの旅路で見せた軽口とは違う、真剣なものだった。ユドシエルという名前が、彼女の中で大きな存在感を持っているのが分かる。
「気配がないってことは、何か仕掛けてくるつもりなのかしら?」
私の言葉にシルバーはうなずいた。
「そうかもしれん。ユドシエルは魔力を隠して相手を油断させ、その隙を突くような戦術を好むと聞いたことがある。わいらが進むべき道を閉ざし、出口を見つけるのは容易じゃないはずや」
その瞬間、遠くから微かな風が吹き抜け、草木がざわめいた。まるで森自体が囁いているかのようだった。どこからか不吉な笑い声が響き渡り、鳥肌が立つ。辺りは急に不気味な静けさに包まれ、何かが始まるのを感じさせた。
「来る・・・・・」
アンが小さな声でつぶやいた瞬間、地面が微かに揺れた。その振動は徐々に大きくなり、足元の土がゆっくりと割れ始める。大地が裂け、そこから白い光が溢れ出し、眩しさに思わず目を覆った。
「ミア、アン、気をつけろ!」
シルバーの警告が響き渡ったが、既に光は私たちを包み込み、何も見えなくなっていた。次の瞬間、耳元で何かがささやくような音が聞こえ、私の視界は真っ暗になった。
何が起きているのか、何も分からない。ただ、一つだけ確かなのは、この状況がユドシエルの手によるものだということだった。
そしてどれだけ経った事だろう? シルバーの悲鳴と共に聞き覚えのない叫ぶ声が聞こえて、眼を覚ました。
まだ意識を朦朧として、あたりが揺らいで見える。
何が起きたのだ? 頬を叩いて意識をはっきりさせると、思い出してきた。
「起きたか、ミア・・・アンを連れて逃げてくれ」
大魔法使いユドシエルと見られる女性シルバーは鍔迫り合いをしていた。
シルバーが剣を持っているとは思っていなかったから、魔力勝負にすると考えていたけど、私たちを守りながら戦っているにだから、魔力で私とアンに危害が加えられると思ったのだろうけど、私は自分から戦場に立ってシルバーに加勢する。
「その眼、ここは引く・・・・・」
大魔法使いユドシエルはなぜか私の眼を睨め付けると剣を鞘にしまうと引くと言って、シルバーにお辞儀をしたら、霧を自分で作り出しどこかへと行ってしまった。
何故私の眼を見て逃げてしまったのだ?
私は石畳に座り、大魔法使いユドシエルが消えていった方を見つめ考える。
それでも理由は全く分からないそれは私が悪いのか?
もしかしたらルカの手下で私に暴力を振るったり自由にしなかったらルカが死んでしまうからなのか?
それでも一千年以上生きた魔法使いだ。誰かの下に着くか?
私ならプライドが許さないから許せない。
「どうしたのだ? やはりミアが・・・そうなのやでな」
シルバーが不思議そうな顔をして私を見る。
やっぱりプランスじゃないなと悲しい一面と安堵した一面が合わさった。
それは、シルバーがプランスじゃないという少しの悲しみと、シルバーなのにプランスと勘違いして恋しなくてよかったという安堵感である。
「何があったの・・・?」
アンが起き上がった。石畳から私も立ち上がり、アンの方に駆け寄る。
アンはまだ意識がはっきりしてないのか、目ばしょぼしょぼしていて、まだ眠いような顔をしている。
でも生きているからよかった。またプランスのように死んでもらったら困っちゃう。
そう思って、抱きしめると彼女は微笑むことが嬉しかった。遠ざけられるのは嫌だから。
「大丈夫・・・・。今大魔法使いユドシエルを追い張ったらったところ」
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でも意識が朦朧しているのかフラフラしている。
おそらく大魔法使いユドシエルの術がアンの弱点だったのだろう。
大魔法使いユドシエルの術は精神攻撃だったと思う。いやもしかして物理的? そんなような気がしたり、精神魔法だったか?
そんなことを考えていると、シルバーが「もう大丈夫か? 次の村まで行けそうやないか?」と声をかけてきた。するとアンが「大魔法使いユドシエル様はいなくなったのですね? ならもう出発できます」といつも通りの体制で言った。
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