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第四部第四章 模擬戦
二話
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二戦目の敵は誰かは分からないまま、ミアの元へと歩く。
ミアがいるところは、多分魔王城だ。どうして魔王城にいるかというと、勝敗が分かっている戦いを見てもどうも思わないかららしい。
確かに勝敗が分かっているのに観戦したいと思う者は少ないだろうけど、これだけ観客がいる。
だからミアにも応援してほしかったな。そう思いながら村を出ると、そこにはミアが立っていた。服装は相変わらず金のドレスだ。
片手には可愛いポーチも持っている。全くミアらしい。
いや今はそんなことは関係ない。今はただただ喜ぼう。ミアが待っていたというだけで幸せの境地に俺は立った。
後ろからは色々な戦闘の音が聞こえた。鍔迫り合いだったり魔力操作の音など。でも今は胸の高鳴りの方が大きな音を立てている。すごく大きい音で、彼女への想いが破裂しているようだ。
だから彼女をいざ直視すると、冷たい態度を取ってしまう。
「プランス、これからどこ行く?」
彼女の声を聞いた時少しだけ気が和らいだ。戦闘中に聞いていたら、彼女の声のせいで負けてしまうことだろう。
安心したらダメだからね。
「どこでも? ミアが行きたいところとかあるの?」
ミアは微笑みながら、「ない」とだけ言い残した。後ろから聞こえる鍔迫り合いの音。とても神秘的に感じてきた。
そして俺は「そうか」と返して、歩き出した。ミアの手は掴まない。理由は恥ずかしいからという子供じみたことだ。ミアが手を繋いできたら手を掴むけど、今は少し恥ずかしい。
「プランスは、また死なないよね?」
ミアは悲しい表情をした。どうしてそんな表情をしているのか、それは俺が今までいなくなっていたからだ。
なんだかんだで死んでしまうことも多かった。まあほとんどは、前魔王に殺されることがほとんどだった。だけど、俺は魔王を殺した。
なんとかというべきなのだろうけど、俺は一人で殺した。
作戦はもちろん立てて、魔王を殺したけれど、ほとんど予想外の動きだったから作戦もくそもなかったと思う。まあ奇襲で大ダメージを与えたけれど。
「当たり前だ。死ぬかどうか誰も分からない」
「そうなのね・・・・・。でも今度は助けてあげない! 生き返れせないもん!」
ミアは不安をかき消すように、怒ったようにした。だけど、わかる。
内心怖がっているような感じだ。長年一緒にいるからわかる。
「それはやめてくれよ?」
「知らなーい! 戦闘好きは墓に入ってよね!」
ミアは怒っている。俺がわざわざ死にに行く奴だと思っているのだろう。
「知らなーい!」とミアが言った後、俺は笑みを浮かべながら、彼女の顔をじっと見つめた。怒っている表情の裏に、どこか悲しみや不安が垣間見える。長い付き合いだし、彼女が何を考えているかは大体わかるつもりだ。
「ミア、そんなに心配しなくてもいいんだ。俺は簡単には死なない。これまで何度も危機を乗り越えてきただろう?」
「でも、いつもその度にヒヤヒヤさせるんだから!もう何回も言ってるけど、本当に無茶しすぎなのよ。前回だって、ほぼ死にかけたじゃない。あの時は本当に・・・・・本当に心臓が止まりそうだったんだから!」
彼女の声が震えた。過去の戦闘で、俺が危うく命を落としそうになった時のことを思い出しているのだろう。確かに、あの時は本当にギリギリだった。前魔王との戦いで、俺は作戦通りに動いたつもりだったが、予想外の展開に追い込まれ、あわや死ぬところだった。
「・・・・・そうだったな。でも、あれから成長したんだ。もう無茶はしないさ。俺にはお前がいるんだから」
「そんなこと言っても、また無茶するに決まってる。知ってるんだからね、プランスのそういうところ」ミアはそう言いながら、腕を組んで視線をそらす。だが、彼女の頬は少し赤らんでいる。
「ま、そうかもしれないな。でも、ミアが俺を支えてくれる限り、俺は何度だって立ち上がれる。だから、もう心配するな。今度の戦いも、ちゃんと勝って戻ってくる」
俺はそう言いながら、彼女の金のドレスに目をやった。どんな時でもミアは優雅で、美しい。彼女が俺の隣にいてくれるだけで、戦いに向かう勇気が湧いてくる。
「ふん、勝手に言ってれば?」彼女は軽く鼻を鳴らしながらも、目を逸らすことはなく、俺を真っ直ぐ見つめている。
俺はふと、昔のことを思い出した。最初にミアと出会った時のことだ。あの頃はまだ俺も若く、ただ力を求めて戦い続けていた。勝つことだけが全てで、仲間を持つことも、誰かに支えられることも考えていなかった。
だが、ミアと出会い、彼女と共に戦いを経験するうちに、俺は変わっていった。仲間との絆、信頼の大切さを知り、自分一人ではどうにもならないことがあることを理解した。そして、ミアが俺のそばにいてくれることが、どれだけ心強いかも。
「プランス、覚えてる? あの時、初めて一緒に戦った時のこと」
「もちろん覚えてるさ。あの時、俺はお前を助けるどころか、逆に助けられてばかりだった」
「そうだったね。でも、今のプランスはあの頃とは違う。強くなったし、もっと周りを見られるようになった。だからこそ、もっと慎重になってほしいの」
ミアは真剣な表情でそう言った。彼女がこんなに真剣になることはあまりない。それだけ、俺のことを本気で心配しているのだろう。
「分かってる。今回は無茶はしない。だから、ミアも安心してくれ」
「・・・・・信じるわよ。でも、もしまた無茶して死にかけたら、本当に許さないからね」
ミアはそう言い残して、小さく笑った。その笑顔を見て、俺も少し安心した。どんなに強がっても、ミアは俺を支えてくれる存在だ。そして、彼女のためにも、俺は無茶をしないよう心に誓った。
「さて、そろそろ行こうか。次の戦いが待っている」
俺はそう言って、歩き出した。後ろからはまだ戦闘の音が響いているが、今はそれほど気にならない。ミアがそばにいてくれる限り、どんな戦いも乗り越えられる気がする。
ミアも無言で俺の後についてくる。彼女の足音が俺の背中に響き、どこか安心感を覚える。戦いに向かう緊張感はあるが、今はそれ以上に、彼女と共にいられる喜びが胸を満たしていた。
やがて、戦場に近づいていくと、前方に次の敵が現れた。鎧をまとった巨大な魔族が、剣を構えて俺たちを待ち構えている。
「これが二戦目の相手か・・・・・」
ミアがいるところは、多分魔王城だ。どうして魔王城にいるかというと、勝敗が分かっている戦いを見てもどうも思わないかららしい。
確かに勝敗が分かっているのに観戦したいと思う者は少ないだろうけど、これだけ観客がいる。
だからミアにも応援してほしかったな。そう思いながら村を出ると、そこにはミアが立っていた。服装は相変わらず金のドレスだ。
片手には可愛いポーチも持っている。全くミアらしい。
いや今はそんなことは関係ない。今はただただ喜ぼう。ミアが待っていたというだけで幸せの境地に俺は立った。
後ろからは色々な戦闘の音が聞こえた。鍔迫り合いだったり魔力操作の音など。でも今は胸の高鳴りの方が大きな音を立てている。すごく大きい音で、彼女への想いが破裂しているようだ。
だから彼女をいざ直視すると、冷たい態度を取ってしまう。
「プランス、これからどこ行く?」
彼女の声を聞いた時少しだけ気が和らいだ。戦闘中に聞いていたら、彼女の声のせいで負けてしまうことだろう。
安心したらダメだからね。
「どこでも? ミアが行きたいところとかあるの?」
ミアは微笑みながら、「ない」とだけ言い残した。後ろから聞こえる鍔迫り合いの音。とても神秘的に感じてきた。
そして俺は「そうか」と返して、歩き出した。ミアの手は掴まない。理由は恥ずかしいからという子供じみたことだ。ミアが手を繋いできたら手を掴むけど、今は少し恥ずかしい。
「プランスは、また死なないよね?」
ミアは悲しい表情をした。どうしてそんな表情をしているのか、それは俺が今までいなくなっていたからだ。
なんだかんだで死んでしまうことも多かった。まあほとんどは、前魔王に殺されることがほとんどだった。だけど、俺は魔王を殺した。
なんとかというべきなのだろうけど、俺は一人で殺した。
作戦はもちろん立てて、魔王を殺したけれど、ほとんど予想外の動きだったから作戦もくそもなかったと思う。まあ奇襲で大ダメージを与えたけれど。
「当たり前だ。死ぬかどうか誰も分からない」
「そうなのね・・・・・。でも今度は助けてあげない! 生き返れせないもん!」
ミアは不安をかき消すように、怒ったようにした。だけど、わかる。
内心怖がっているような感じだ。長年一緒にいるからわかる。
「それはやめてくれよ?」
「知らなーい! 戦闘好きは墓に入ってよね!」
ミアは怒っている。俺がわざわざ死にに行く奴だと思っているのだろう。
「知らなーい!」とミアが言った後、俺は笑みを浮かべながら、彼女の顔をじっと見つめた。怒っている表情の裏に、どこか悲しみや不安が垣間見える。長い付き合いだし、彼女が何を考えているかは大体わかるつもりだ。
「ミア、そんなに心配しなくてもいいんだ。俺は簡単には死なない。これまで何度も危機を乗り越えてきただろう?」
「でも、いつもその度にヒヤヒヤさせるんだから!もう何回も言ってるけど、本当に無茶しすぎなのよ。前回だって、ほぼ死にかけたじゃない。あの時は本当に・・・・・本当に心臓が止まりそうだったんだから!」
彼女の声が震えた。過去の戦闘で、俺が危うく命を落としそうになった時のことを思い出しているのだろう。確かに、あの時は本当にギリギリだった。前魔王との戦いで、俺は作戦通りに動いたつもりだったが、予想外の展開に追い込まれ、あわや死ぬところだった。
「・・・・・そうだったな。でも、あれから成長したんだ。もう無茶はしないさ。俺にはお前がいるんだから」
「そんなこと言っても、また無茶するに決まってる。知ってるんだからね、プランスのそういうところ」ミアはそう言いながら、腕を組んで視線をそらす。だが、彼女の頬は少し赤らんでいる。
「ま、そうかもしれないな。でも、ミアが俺を支えてくれる限り、俺は何度だって立ち上がれる。だから、もう心配するな。今度の戦いも、ちゃんと勝って戻ってくる」
俺はそう言いながら、彼女の金のドレスに目をやった。どんな時でもミアは優雅で、美しい。彼女が俺の隣にいてくれるだけで、戦いに向かう勇気が湧いてくる。
「ふん、勝手に言ってれば?」彼女は軽く鼻を鳴らしながらも、目を逸らすことはなく、俺を真っ直ぐ見つめている。
俺はふと、昔のことを思い出した。最初にミアと出会った時のことだ。あの頃はまだ俺も若く、ただ力を求めて戦い続けていた。勝つことだけが全てで、仲間を持つことも、誰かに支えられることも考えていなかった。
だが、ミアと出会い、彼女と共に戦いを経験するうちに、俺は変わっていった。仲間との絆、信頼の大切さを知り、自分一人ではどうにもならないことがあることを理解した。そして、ミアが俺のそばにいてくれることが、どれだけ心強いかも。
「プランス、覚えてる? あの時、初めて一緒に戦った時のこと」
「もちろん覚えてるさ。あの時、俺はお前を助けるどころか、逆に助けられてばかりだった」
「そうだったね。でも、今のプランスはあの頃とは違う。強くなったし、もっと周りを見られるようになった。だからこそ、もっと慎重になってほしいの」
ミアは真剣な表情でそう言った。彼女がこんなに真剣になることはあまりない。それだけ、俺のことを本気で心配しているのだろう。
「分かってる。今回は無茶はしない。だから、ミアも安心してくれ」
「・・・・・信じるわよ。でも、もしまた無茶して死にかけたら、本当に許さないからね」
ミアはそう言い残して、小さく笑った。その笑顔を見て、俺も少し安心した。どんなに強がっても、ミアは俺を支えてくれる存在だ。そして、彼女のためにも、俺は無茶をしないよう心に誓った。
「さて、そろそろ行こうか。次の戦いが待っている」
俺はそう言って、歩き出した。後ろからはまだ戦闘の音が響いているが、今はそれほど気にならない。ミアがそばにいてくれる限り、どんな戦いも乗り越えられる気がする。
ミアも無言で俺の後についてくる。彼女の足音が俺の背中に響き、どこか安心感を覚える。戦いに向かう緊張感はあるが、今はそれ以上に、彼女と共にいられる喜びが胸を満たしていた。
やがて、戦場に近づいていくと、前方に次の敵が現れた。鎧をまとった巨大な魔族が、剣を構えて俺たちを待ち構えている。
「これが二戦目の相手か・・・・・」
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