無尽蔵の魔力で世界を救います～現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい～

2章 魔術対抗試験編

魔術対抗試験終了

　古代魔法【  圧縮プレッシャー⠀】
　最も古い魔法が故に単純な詠唱。
　だからこそ絶大な威力を誇る。
　螺旋魔法や重力魔法、圧縮魔法などが現在はあるらしいが、そのような魔法の始まりであり、全てからここから派生していった。
　この圧縮だけではなく、炎ファイア、風ウィンド、重力グラビティなど単一した名前を持っているものが古代魔法には多い。
　全てはそこから今の魔法が生まれたのだった。
　これも全てアウロラの魔力から得た知識であるが。

　ケビンはその一撃に対して言葉を発する暇もなく、魔法名の通り身体全体が圧縮され、回転なども加えながら跡形もなく消え去っていった。

　(よくやった、春陽 )
　我を忘れていたとはいえ、人を殺めてしまった。
　俺がやらなければいけなかったとはいえ、心地の良いものではなかったないな。
　(春陽よ、悪いが古代魔法は今の人間が使って良い魔法ではない。 お前がまさか我の魔力から古代魔法の知識を得て使えるとは思いもしなかったものでな )
　たしかにあの威力を人間が使えると思うと、危険そのものである。
　(だからな春陽、古代魔法に関しての記憶のみ消させてもらうぞ )
　え、それってどういう……？
　(つまりケビン・ファイアウィスパーを倒したという事実のみ残り、使った古代魔法の記憶だけを消すということだ )
　なるほどな。
　俺はアウロラに助けてもらった身なのだから贅沢は言わない。
　もちろん賛成である。
　(ありがとう、お前ならそう言ってくれると思った。 では消すぞ )

　シュンッッ───

　視界が真っ白になった。
　眩しすぎて目を開きたくても開けない、そんな状況だ。
　そして記憶はそこで終わった。

　◇

「春陽！ 気がついたの！？ 」
　ん……俺は眠っていたのか。
　聞き慣れた声が聞こえてくる。

「春陽さん！ 大丈夫ですか？  」
「主様ぁぁぁぁ 」
「春陽！！！！ 」

　どうやら聞きなれた声は一人ではなかったようだ。

「……みんな？ ここは？ 」

「ここは学長室！ もう丸一日寝てたんだよ！春陽が起きないからもうボクどうしようかと思ったよぉぉ。うわぁぁぁん！   」
　セレスティアはその小さな身体で俺の右肩に擦り寄って、泣き崩れていた。

「よかったよぉぉ！ 主様ぁぁぁ 」
　エレナは泣きながら寝ている俺の左肩にダイブしてきた。

「グウェェェッ！！！ 」
　病み上がりなんだからもうちょい優しくしてくれ。
　周りに居たカイルやミア、アリアンサがセレスティアとエレナの泣いている姿を見て引き気味に笑っていた。

　ん……待てよ？病み上がり？
　俺はそもそも怪我をしたのか？
　えっとヴォルガンを倒して、その後にケビンを……。
　だけど、ケビンをどう倒した？
　そして彼はその後どうなったのだろうか。

「春陽さん、試験の時助けてくれたんですよね？  セリアさんとライラちゃんから聞きました！ 」
　ミアが指差す方向には、セリアとライラが少し離れたところで壁に背を預けて立っていた。

「2人とも！ 無事だったのか！ 」
　よかった。
　ライラは相当な怪我をしていたし、セリアも気が動転し、気絶していたため無事な姿を見て安心した。

「転校生！ ワシも助けられたようだな、ありがとう！ 」
「あの……私も……情けない姿を見せたようで……ごめんなさい。 それと助けてくれてありがとう 」

　無事でよかった。
　みんなを守れてよかった。
　しかしどう倒したのかは全く覚えていない。
　が、今はそれより皆無事なことを喜ぼう。

『あー、あー、春陽くん、セレスティア聞こえるかい？ 』

　次から次に忙しいな、これはアーカシス様か？
　もちろんこの部屋にはいない。
　おそらく領域から声を飛ばしていると思われる。
　以前、アーカシス様の領域内からアリアンサの声が聞こえたため、逆もまた然りであろう。

「ああ、聞こえるよ、アーカシス様 」
　俺は目の前にいない相手に対して、そう返事した。

『次の君たちの目的地が決まったよ！ 詳しく話すから領域にきて！ 』
　どうやら次に俺たちが行くべき場所が決まったようだ。