R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~

イット

文字の大きさ
14 / 42
第一章 ヴォルフ・ガーナイン王国編

第14話 肉弾相打

しおりを挟む
「敵陣が崩れたわよっ!!!!ぼさっとしてないで攻めなさい!!!!私たちが勝利をつかむのよ!!!!」

 メイの一言で静寂は切り裂かれ、戦場はまた動き出した。
 あまりの衝撃に乱れた魔族軍たちは、すぐに建て直せるはずもなく、逆に勢いを増した国境師団たちの猛攻に背を向け逃げ出す者まで現れていた。

「な、なんなんだ!あの女は!?」

 翼の生えた女魔族が、セレイナを見て大量の汗をかき、ワナワナと震えている。

「あんな化け物がいるなんて聞いてないわ!引き時ね。ここで死ぬなんてごめんよ」

「待ちなさいっ!!」

 飛び去ろうとした時、メイの怒号が下から飛んできた。メイはハンマーを横に持ち構えている。

「アースシェイカー!!」


「でりゃあああああああああああっ!!!!」


 メイは巨大ハンマーを野球のスイングのように振り抜いた。

「な、なに? キャッッ!!!!」

 女魔族は凄まじい風圧のあと、衝撃波のようなもので吹き飛ばされ、岩の壁に激突した。

「うっ…… くっ!!」

「ふぅ。やっと降りてきたわね。翼人?ハーピーかしら?珍しいわね」

 メイはハンマーを肩に担いで歩み寄る。

「……ハッッ!!!!」

 女魔族は翼を羽ばたき、無数の硬化した羽をメイに向かって投げつけた。
 羽はガードしたメイの腕に突き刺さる! しかし、何事もなかったかのように羽の束は地面へと落ちた。メイの腕は無傷だった。

「ば、バカな!!岩をも砕く鋼鉄の羽だぞ!!」
「まあ落ち着きなさいよ。名前、教えてちょうだい」
「べ、ベルダティヒ……」
「そ、ベルダティヒね。良い名前だわ。逃げられても面倒だし、死んでもらうわね」

「な、舐めるなぁ――――!!!!!!」

 魔将ベルダティヒは、翼自体を鋼鉄の刃へと変え、鬼の形相でメイへと襲い掛かる。
 フー。と息を吐くと、メイの身体を金色の光の膜が覆いはじめた。体内のマナを、身体を強化するオーラへと変化する"称号持ち"たちの戦闘形態だ。

 ベルダティヒの猛攻! だが、その攻撃は武器どころか素手ですべて防がれている。
 足の鋭い鉤爪かぎづめでメイを蹴りつけるも、逆に足を掴まれ、岩の壁が崩れるほど激しく叩きつけられるベルダティヒ。

「グハッッ!!!!」

 ベルダティヒはその場に崩れ落ちた。

「まあ、こんなものかしらね。この子を使うまでもなかったわね」
 メイはハンマーを見ながら言った。

「ば、化け者め……本当に、人間かお前」
「あら、鳥の怪物にそんな事言われるなんて心外だわね」

 メイは「さようなら、ベルダティヒ。名前は覚えておくわ」とハンマーを天高く構えた。
「そ、そんな……こんな所で、私が、人間……なんかに……」

 ハンマーは轟音とともに無慈悲に振り下ろされた。



 一方、国境の砦前。
 矢を撃ち終えたセレイナの身体がまた白金に輝きだす。両手を組み、祈りの所作を行ったセレイナは囁く。


「ホーリー・サンクチュアリ」


 すると、セレイナを中心にして、広範囲にドーム状の光の結界が展開された。

「怪我人を結界の中に運んでください」

 その言葉に、動ける者たちが結界の中へと怪我人を運んできた。

「おお……なんて暖かい…… こ、これは!」

 兵士が驚く。大勢の怪我人たちの傷が癒されていく。兵士たちには、まさに神の奇跡に見えていることだろう。
 この結界は、味方と認識した者たちの怪我を癒し、闇、魔の属性を弱体化させる聖域。


 ――そのセレイナの大活躍を見ていた俺は、驚きとともに誇らしさも感じていた。
 でも、彼女を守ると見栄を切った手前、このままではちょっと格好がつかない。

 俺は戦場へと足早に向かい周囲を確認した。
 よし、ここの空間にも揺らぎが見える。あの魔法が使えるはずだ!

 俺はあの時のことを思い出しながら集中する。すると、炎の玉が俺を囲むように無数に出現した。

「よし!成功した!!」

 俺は敵陣へと照準を定め叫ぶ。

「いけえええええええぇぇっ!!!!」

 炎の玉は、一斉に弾丸のように射出され、敵陣を襲う!
 敵陣の兵士たちは、次々と炎の弾丸に吹き飛ばされていく。まさに炎の弾幕だ。

 俺は「第二陣!」と、間髪入れずに、また無数の炎の塊を空中に出現させる。

 その姿にウィザード部隊は驚き、一人の女性が言葉を発した。
「空中に魔法を発現させるなんて見たことない……それにあの数は異常だわ。ファイアバレットは数発でも魔力を結構使っちゃうのに」
 隣の男も口を開く。
「……ああ、それに詠唱どころか魔法術式の展開もなしでなんて。彼は誰なんだ!?」

 それを見ていたメイはヒュウッと口笛を鳴らした。
「やるじゃない。もしかしてあの子ウィザードだったの? 本当に飽きない子だわ。マジメにグッド・ルッキング・ガイ・に入ってくれないかしら」

 戦いは一気に攻勢に進んだ。しかし国境付近にまで迫られていた敵の軍勢は後退し始め、勝利間近と感じられたその時、国境師団の兵士たちが次々と斬られ、倒れていく。

「このままおめおめと引き下がれるか!! 戻ってもシュバールツ様に消されてしまう!」

 怪しい剣を携えた魔族の男が剣を構える。顔から下半分はマスクのようなもので覆われていて見えない。
 魔族の男は兵士たちに襲い掛かり、斬り伏せていく。

「待ちたまえ」
「……誰だ貴様!!」

 そこにはエディアノイの姿があった。姿勢を正し、レイピアを顔の前にかまえている。
 とても気品と威厳のある出で立ちだ。


「私と君で、一騎打ちと洒落込もうじゃないか」

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...