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幕間
番外編 アルメデウス王との修業の日々
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二ヵ月間という約束で取り付けたアルメデウス王との修行は、5日目を迎えていた。
俺は気後れしてしまうほど豪華な部屋で、毎日目を覚ます。
実は修業の二ヵ月の間、王様のご厚意で王城に住まわせて頂くことになったのだ。
あの日以来、アルメデウス王にはとても懇意にして頂いている。金貨5000枚という破格の報酬だけでもありがたいことなのに、ここまでしていただけるなんて恐縮だ。
朝起きると、まだ5時前だというのに待ち構えていたかのようなタイミングで豪華な朝食が部屋へ運ばれてくる。
俺はそれに舌鼓を打ち、歯を磨き顔を洗って訓練場へ向かう。それが朝の日課だ。
今日も相変わらず絶品な朝食を頂き、俺は訓練場へと向かう。
訓練は早朝、朝、昼、晩の4部練で行われている。
早朝5時から8時までは、精神統一の座禅の時間だ。俺はこの機にマナのオーラ変換の習得を目指している。
それには王も賛成してくれた。大気中のマナを取り込む俺の技、身体からあふれ出し全身を覆うほどの膨大なマナをただそのままにしておくのは、目の前に金脈があるのにそれの価値に気付かず石炭を掘っているようなもの。
宝の持ち腐れだ。王はそういった。
オーラへの変換は膨大なマナを必要とするが、相応のマナがあればオーラへの変換はできるんだそうだ。しかし、マナの総量は個々の資質により上限が決まっているもので、修行で増やすことは難しいらしい。
オーラ変換は選ばれし者だけが行使できる武技なのだ。
変換には大変な集中が必要らしいんだけど、俺にはその集中力が足りないということで、早朝に精神統一の時間を設けられた。
――訓練場の扉の前へと今日も来てしまった……
毎朝、ここに来るたびに踵を返したくなる。今日も地獄の一日が始まるのかと……
扉を開けると、すでに王が汗を光らせながら基本に忠実な剣の素振りをしていた。
「おはようリント君、今日も座禅からだ」
座禅を組むと、王が後ろに立ち俺のマナの流れを注視する。
集中を欠いてマナが乱れようものなら、「首を曲げい!!」と王の怒声が飛び、剣の腹で首と肩の間を叩かれる。
叩かれるなんて可愛い例えだ。普通に鎖骨が折れるし肩の骨も何度も砕けた……
不死とはいえ痛覚は普通だ。それに戦いの最中でもないので、アドレナリンも出ていない状況での粉砕骨折は涙なしでは語れない骨折り物語だ。
恐怖の座禅が終わると、次は朝の修業、王との地獄のスパーリングが行われる。
スパーリングは剣と徒手の両方が行われるが、揺らぎとの同調は禁止されているため、ほぼ生身で王と戦うことになる。
俺には実践の経験値が足りないという王の判断の下、朝のスパーリングは場数を踏むためとにかくアルメデウス王と実戦を繰り返す。
この世界に来て、俺の身体能力は地球にいたころの10倍ほどにはなっているものの、アルメデウス王には毎日コテンパンにされている。
そりゃあ、マナの揺らぎを取り込んでも敵わないんだから素のままでかなうはずがない。
基礎能力の向上のためらしいが、たまったもんじゃない……
覚えているだけでも、この5日間で7回は死んでいると思う。
でも、致死のダメージを受けて回復するたびに、俺の中で何かが変わっていく感覚を感じ取れるようになった。王もそれに気づいているようだ。
死から立ち直るたびに、一戦一戦、王と戦えている時間が長くなってきている。
「ははははは!!!! まだまだ隙が多いぞ!! 相手の一部分を見るな!相手の全身をぼんやりと視界に捉えろ!!」
王はやたらと楽しそうだ。
ほら、あれだ。ハンドルを握ると人格が変わる奴がいるだろ?それと同じだ。アルメデウス王は戦いとなると人格が変わる……
数十年、王という立場で抑圧されてきた戦いへの鬱憤を俺が一身に受けているってわけだ。
死なないもんだから、体のいいサンドバッグだ……
でも、確実に強くなっている実感があるから俺は耐えられている。短期間で強くならないといけないんだ、30回でも50回でも死んでやる覚悟だ。
昼食を取り、休憩を取ったら午後からは魔法のお時間。
ここが唯一の俺の癒しの時間だ。
講師は王立宮廷魔導士で、第三階級魔導士のエルメリアさん。国によっては一人しかいないといわれるアークメイジという称号を持つ大魔導師だ。
年は30手前くらいのスレンダー美女だ。左の目の下にある泣きぼくろがとても魅力的で、不思議と彼女の知的な雰囲気を助長させている。
第三階級魔導士になる条件は、複数属性を操り、オリジナルの固有派生魔法を習得しているかどうかだそう。
魔導師階級には第七階から第一階まであり、第一階級とまでなると魔法を超えた"現象"すらも操ることができるという。
俺は火、水、聖の順で適性がある。
この訓練期間で、俺は火と水の強化を重点的に行っている。
聖属性はエキスパートのセレイナがいるし、治癒はヒールを使わなくてもできるからだ。
彼女の講義では、実戦だけではなくて魔法となにか、という座学も行っている。
原理からきちんと学習しないと意味がないらしい。
俺は学生に戻ったような気分で講義を受けている。大学の講義は退屈なものだったが、これは知的好奇心を掻き立てられ、何時間でも受けていたいと思える。
やはり俺の適性はウィザードに違いない。
講義が終わると、一日の最後は再び王とのスパーリングだ。
夜のスパーリングは、ただの実戦だけではなくて技術指導も加えて行われる。
王は、技は見て盗め派ではなく、ちゃんと理論立てて一つ一つ教えてくれるので非常にありがたい。
攻撃、防御の基本動作から叩きこまれ、一つを習うと、それを身体が無意識に動くまで実戦を繰り返す。
俺の回復力と、王の強靭なスタミナがあればこそできる鬼のような反復練習だ。
地味だけどこれが一番成長を感じ取れる。基礎はどの分野でも大事なんだと思い知らされる。
と、まあこんな感じの日々を現在俺は送っている。
読んで字のごとく死ぬほどきつい血反吐を吐く毎日だけど、今の俺には、辛さよりもみんなの『主』としての責任感の方が勝っているためとても充実しているし、成長も実感できている。
強くなってきている自分に、ワクワクしてきているんだ。
そして――――
「あ、あの…… リントさん、今日もお疲れさまでした! これ、お夜食で食べてください、私が作ったんですよ! 」
「あ、ありがとうございます。王女殿下」
訓練が終わると、エレアノール様が差し入れを持ってきてくれる。夜も遅いというのに。
今日は、サンドウィッチと数種のフルーツの盛り合わせだ。
非常にありがたいのだが、なぜ俺にこんなことをしてくれるのかがわからない。
いや、俺もいい大人だ。好意を持ってくれているのはわかる。俺はアニメによくある超鈍感な主人公ではない。
あんな可愛い王女様に好意を持ってもらえるなんて震えるほどうれしいけど、なぜ?という疑問の方がどうしても勝ってしまう。
これまで会ったこともなかったし、この世界にはいない東洋顔でお世辞にも俺はイケメンというほどではない……
甚だ謎である……
まあ考えてても仕方がない。明日も早いし、汗を流したら王女様の手作りサンドウィッチでも食べて寝るとしよう。
2ヵ月という短い時間で、俺は可能な限り強くならないといけないんだから。
俺は気後れしてしまうほど豪華な部屋で、毎日目を覚ます。
実は修業の二ヵ月の間、王様のご厚意で王城に住まわせて頂くことになったのだ。
あの日以来、アルメデウス王にはとても懇意にして頂いている。金貨5000枚という破格の報酬だけでもありがたいことなのに、ここまでしていただけるなんて恐縮だ。
朝起きると、まだ5時前だというのに待ち構えていたかのようなタイミングで豪華な朝食が部屋へ運ばれてくる。
俺はそれに舌鼓を打ち、歯を磨き顔を洗って訓練場へ向かう。それが朝の日課だ。
今日も相変わらず絶品な朝食を頂き、俺は訓練場へと向かう。
訓練は早朝、朝、昼、晩の4部練で行われている。
早朝5時から8時までは、精神統一の座禅の時間だ。俺はこの機にマナのオーラ変換の習得を目指している。
それには王も賛成してくれた。大気中のマナを取り込む俺の技、身体からあふれ出し全身を覆うほどの膨大なマナをただそのままにしておくのは、目の前に金脈があるのにそれの価値に気付かず石炭を掘っているようなもの。
宝の持ち腐れだ。王はそういった。
オーラへの変換は膨大なマナを必要とするが、相応のマナがあればオーラへの変換はできるんだそうだ。しかし、マナの総量は個々の資質により上限が決まっているもので、修行で増やすことは難しいらしい。
オーラ変換は選ばれし者だけが行使できる武技なのだ。
変換には大変な集中が必要らしいんだけど、俺にはその集中力が足りないということで、早朝に精神統一の時間を設けられた。
――訓練場の扉の前へと今日も来てしまった……
毎朝、ここに来るたびに踵を返したくなる。今日も地獄の一日が始まるのかと……
扉を開けると、すでに王が汗を光らせながら基本に忠実な剣の素振りをしていた。
「おはようリント君、今日も座禅からだ」
座禅を組むと、王が後ろに立ち俺のマナの流れを注視する。
集中を欠いてマナが乱れようものなら、「首を曲げい!!」と王の怒声が飛び、剣の腹で首と肩の間を叩かれる。
叩かれるなんて可愛い例えだ。普通に鎖骨が折れるし肩の骨も何度も砕けた……
不死とはいえ痛覚は普通だ。それに戦いの最中でもないので、アドレナリンも出ていない状況での粉砕骨折は涙なしでは語れない骨折り物語だ。
恐怖の座禅が終わると、次は朝の修業、王との地獄のスパーリングが行われる。
スパーリングは剣と徒手の両方が行われるが、揺らぎとの同調は禁止されているため、ほぼ生身で王と戦うことになる。
俺には実践の経験値が足りないという王の判断の下、朝のスパーリングは場数を踏むためとにかくアルメデウス王と実戦を繰り返す。
この世界に来て、俺の身体能力は地球にいたころの10倍ほどにはなっているものの、アルメデウス王には毎日コテンパンにされている。
そりゃあ、マナの揺らぎを取り込んでも敵わないんだから素のままでかなうはずがない。
基礎能力の向上のためらしいが、たまったもんじゃない……
覚えているだけでも、この5日間で7回は死んでいると思う。
でも、致死のダメージを受けて回復するたびに、俺の中で何かが変わっていく感覚を感じ取れるようになった。王もそれに気づいているようだ。
死から立ち直るたびに、一戦一戦、王と戦えている時間が長くなってきている。
「ははははは!!!! まだまだ隙が多いぞ!! 相手の一部分を見るな!相手の全身をぼんやりと視界に捉えろ!!」
王はやたらと楽しそうだ。
ほら、あれだ。ハンドルを握ると人格が変わる奴がいるだろ?それと同じだ。アルメデウス王は戦いとなると人格が変わる……
数十年、王という立場で抑圧されてきた戦いへの鬱憤を俺が一身に受けているってわけだ。
死なないもんだから、体のいいサンドバッグだ……
でも、確実に強くなっている実感があるから俺は耐えられている。短期間で強くならないといけないんだ、30回でも50回でも死んでやる覚悟だ。
昼食を取り、休憩を取ったら午後からは魔法のお時間。
ここが唯一の俺の癒しの時間だ。
講師は王立宮廷魔導士で、第三階級魔導士のエルメリアさん。国によっては一人しかいないといわれるアークメイジという称号を持つ大魔導師だ。
年は30手前くらいのスレンダー美女だ。左の目の下にある泣きぼくろがとても魅力的で、不思議と彼女の知的な雰囲気を助長させている。
第三階級魔導士になる条件は、複数属性を操り、オリジナルの固有派生魔法を習得しているかどうかだそう。
魔導師階級には第七階から第一階まであり、第一階級とまでなると魔法を超えた"現象"すらも操ることができるという。
俺は火、水、聖の順で適性がある。
この訓練期間で、俺は火と水の強化を重点的に行っている。
聖属性はエキスパートのセレイナがいるし、治癒はヒールを使わなくてもできるからだ。
彼女の講義では、実戦だけではなくて魔法となにか、という座学も行っている。
原理からきちんと学習しないと意味がないらしい。
俺は学生に戻ったような気分で講義を受けている。大学の講義は退屈なものだったが、これは知的好奇心を掻き立てられ、何時間でも受けていたいと思える。
やはり俺の適性はウィザードに違いない。
講義が終わると、一日の最後は再び王とのスパーリングだ。
夜のスパーリングは、ただの実戦だけではなくて技術指導も加えて行われる。
王は、技は見て盗め派ではなく、ちゃんと理論立てて一つ一つ教えてくれるので非常にありがたい。
攻撃、防御の基本動作から叩きこまれ、一つを習うと、それを身体が無意識に動くまで実戦を繰り返す。
俺の回復力と、王の強靭なスタミナがあればこそできる鬼のような反復練習だ。
地味だけどこれが一番成長を感じ取れる。基礎はどの分野でも大事なんだと思い知らされる。
と、まあこんな感じの日々を現在俺は送っている。
読んで字のごとく死ぬほどきつい血反吐を吐く毎日だけど、今の俺には、辛さよりもみんなの『主』としての責任感の方が勝っているためとても充実しているし、成長も実感できている。
強くなってきている自分に、ワクワクしてきているんだ。
そして――――
「あ、あの…… リントさん、今日もお疲れさまでした! これ、お夜食で食べてください、私が作ったんですよ! 」
「あ、ありがとうございます。王女殿下」
訓練が終わると、エレアノール様が差し入れを持ってきてくれる。夜も遅いというのに。
今日は、サンドウィッチと数種のフルーツの盛り合わせだ。
非常にありがたいのだが、なぜ俺にこんなことをしてくれるのかがわからない。
いや、俺もいい大人だ。好意を持ってくれているのはわかる。俺はアニメによくある超鈍感な主人公ではない。
あんな可愛い王女様に好意を持ってもらえるなんて震えるほどうれしいけど、なぜ?という疑問の方がどうしても勝ってしまう。
これまで会ったこともなかったし、この世界にはいない東洋顔でお世辞にも俺はイケメンというほどではない……
甚だ謎である……
まあ考えてても仕方がない。明日も早いし、汗を流したら王女様の手作りサンドウィッチでも食べて寝るとしよう。
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