薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-3節. ヘルデス家の争族を切り抜けた私は…

22.露骨に戸惑います。

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 樹海に降りた私たちは今……

《わたくしは……あなた方が主と仰るお方から遣わされた者です。この度はお話があって伺ったのですが、対話して頂けますか?》

 樹海の主の使者だと名乗るリスと遭遇していた。

「あ……あぁ、うん。」

 流石に戸惑うよなぁ。私は慣れてるけど。

 それより、さっきのの発言が気になる。

「……訪ねたいことがある。良いだろうか?」

《構いません。どうぞ。》

 直ぐに落ち着きを取り戻したな。流石というべきか。

「必要ないっていうのは交渉の話か?」

 ヴラド ……やはり気付いていたか。

 彼の言ったには2つの解釈がある。

 一つは、私による通訳が必要ないって意味。

 そして、もう一つは……交渉の余地などないという意味。

 主を怒らせた以上、後者だと考えるのが自然だ。

「……きっと、顔も見たくないほど人間に対して憤っているのかもしれない。」

《はい?》

 だとすれば、主が倒せる存在でない以上、恐らくここが分水嶺になるだろう。

「それで尚……それで尚、恥知らずと嘲ってお願いを聞いてほしい。あんたの主と話をさせてくれないか?」
「………」

 ヴラド は今、王都を……いや、人類を代表して樹海の主と対談をしようとしてる。大した奴だ。

 ならば、いざという時は私も私の役目を全うすることにしよう。

《あぁ、なるほど。》

「「……?」」

《これは失礼致しました。誤解を招いてしまった様ですね。》

「…誤解?」
「それはどういう…」

《先に申し上げますと、あのお方は怒ってなどいません。どうかご安心ください。》

「「へ?」」

 どういうこと……?

「けど、アイツらは森の主を怒らせたと……」

《それは、彼らがをこの樹海の主だと勘違いしたからです。》

「勘違い……?」

《えぇ、彼らが怒らせたと仰るかの物怪モノノケは、あのお方とは全くの別存在でございます。》

「………マジかぁ。」

 なるほど。ヴラド の発言に嘘はなかったが、誰かの勘違いをヴラド が信じてしまったなら私にも判別のしようがない。

《最近、森に現れた存在なのですが……我々としても手前勝手なヤツの振る舞いには困っているのですよ。ヤツはもはや獣とすら呼べない物怪モノノケです。早急に対処せねば、被害はいや増すばかりでございましょう。》

「じゃあ、話ってまさか……」

《えぇ、そうです。を討伐していただきたく馳せ参じました。そちらの…イト強キ御仁に。》

「………はい?」

 まさかだけど、私の事を言ってるのか?

「良かったなアレク。名指しの討伐依頼だぞ?」
「えっ……と……あの、リスさん?何故私なんですか?」

《何故も何も、あなた以上の適任など居ないでしょう?》

「私、今さっき冒険者ギルドで全ステータスが平均の10分の1以下って言われたんですよ。私が適任って事は流石に……」

《人間の指標ものさしなど、この樹海では何の目安にもなりません。わたくしが、この目で見て適任と判断したのがあなたなんです。》

「私の何を見て判断したんですか。」

《以前の巨鳥クラバスバードの討伐と今朝の断崖絶壁登りヘルクライム……そして、今しがたの断崖絶壁降りフリーフォールです。そのどれもが、実に美しい振る舞いでした。》

 あ……全部見られてたのね。だったらもう弁明は無駄だな。

「わかりました。その依頼クエストを承ります。」

《ありがとうございます。それでは、の居場所までご案内致しますよ。》

「ありがたいな。けど、ちょっと待ってくれるか?」

《え?えぇ、構いませんが……》

「ヴラド 、そういうわけだから……」
「俺も行くぜ。」
「いやいや、お前を背負いながら戦うとかごめん被る……」
「もう自分で歩ける。足手纏いにはならねぇよ。」
「………わかった。(ストッ)」

 そこまでいうのなら、同伴してもらおう。

「待たせたな。宜しく頼むわ。」

《えぇ、それでは案内致します。》

“「(テッテッテッテッ)」“

「よし、行くぞアレク!(タタタタッ)」

 問題なく走れてるみたいだ。

 それにしても……ヴラド って着痩せするタイプだったんだなぁ……

「……(サスサス)………(シーン)」

 そんな物思いに耽る……が、驚くほど心が凪。

 何で、ヴラド だとドキドキしないんだろう。

「どうした?アレク?」
「いや、何でもない。」

 そんな疑問をグッと飲み込んで先へと進む事にした。
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