薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-3節. ヘルデス家の争族を切り抜けた私は…

34.高らかに宣言します。

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「(ガチャッ…バタン)」

 やっとの事で寝室に着いた。

「………(パチッ)」

 改めて服を確認する。うん、私の服だ。

 幸い、さっきの服はの方ではなかった様だ。洗濯するだろうし、特に言う必要はないな。今後は気をつけよう。

 けど、その前に……

「天井裏のお嬢さん。私はこれから寝ようと思ってる。寝込みを襲うって事なら好きにすれば良い。けど、私は寝相が悪い。命の保証までは出来ないから相応に覚悟してから来てくれ。良いかな?」
「……(カパッ)いつから気付いてた?」

 天井から、黒装束の少女が現れた。

「この部屋に入る前からだよ。火事場から後をつけてたのは知ってた。途中で巻いたと思ったんだが、詰めが甘かったみたいだな。」
「(ストッ)そんなに前から気付かれていたとはな。気配を消すのには慣れているつもりだったが……慢心だったか。」
「確かに息を殺すのは中々だった。だが、心音が隠し切れていない。もう少し抑えられていれば気付かなかったかもしれないな。」
「全くだ。もし出来ていればそんなくだらない冗談を言われて苛立つ事も無かっただろう。」

 冗談では無いのだが?止めろとは言ってない。抑えろって言ったんだよ。

「苛立つか……じゃあ取り敢えず、今から殺り合うか?」
「いや、遠慮しておく。勝てる見込みビジョンが浮かばないからな。」
 
 賢明な判断だ。今の私では、加減を見誤って血のシミに変えるかもしれないからな。

「因みに……君は私の強さをどう評する?」
「え?」
「忌憚の無い所を教えて欲しい。」

 まぁ、状況から考えて巨岩を素手で砕く……くらいの評価はあって欲しいな。

「……率直に言って……かなと……」

 想定以上だった。流石に王都内最強は言い過ぎだろ。

 だが、丁度良い。彼女にお願いしてみるかな。

「では、今日の所はお引き取り願おう。」
「………何だと?」
「どんな情報を掴んだかは知らないが、手土産としては充分な筈だ。今日は色々あって眠いし、帰ってくれ。」
「それが、どういう事かわかっているのか?密偵を生かして返せば……」
「他の皆まで、危険に巻き込むって?この屋敷に侵入を許した時点で目星はつけられてるだろうし、君を始末しても他の密偵を差し向けられるだけだ。言ってしまえば、侵入された時点で諜報戦で私は負けてるんだよ。」

 まぁ、あれだけ出入りしてれば当然後をつけられるよな。

 だが、想定の範囲内だ。

「……なるほど。私を追跡して元から根絶やしにするつもりか。」
「それはまだ早い。私としては、あくまで牽制出来れば良い。そして、君を生かして帰すのは君が優秀な密偵だからだ。」
「……奇妙なことを言うんだな。寧ろ、逆じゃないか?」
「いいや、そうでもない。優秀な密偵は、情報をのべつなく話したりしない。必要に応じて取捨選択して話すものだ。あまり多いと、諜報先との内通を疑われるだろうからな。君は、今回の件を全ては報告出来ない。雇い主がまともでないなら、尚の事だ。」
「……知った様なことを言うんだな。」
「あくまでも持論だ。癪に障ったなら謝る。」
「いいや、正直図星だ。」

 嘘はついてない。万が一も想定してたが、杞憂だったか。 

 じゃあ、念押ししておくか。

「まぁ、それでも報告するって言うなら伝言を頼む。」
「伝言?」
「もし我々に手を出そうと言うのなら……簡単に死ねると思わないで貰いたい。そう伝えて欲しい。」
「……(ゴクリ)」
「一応言うと、これは脅しではなく宣言と捉えて欲しい。良いかな?」
「(トンッ)了解した。宣言は決して忘れない。そして、私は何も見なかった。これが私の宣言だ!」

 そこまでしなくて良いんだけど……まぁ良いか。

「(ガチャッ)では、失礼した!(シュバッ)」

 そう言って、密偵は窓から去って行った。

「(ボフッ)……はぁ……」

 ほんっと……長い1日だったな。

 けど、これでやっと……ん?

「(スンスン)………」

 と同じ匂いがする。しかも布団が綺麗だ。カンナが洗濯してくれたのか?

 て事は、これはカンナが持ち込んだ香水……いや、洗剤か何かの香りか。良い感性センスだな。

 自分の服につけるくらいだ。相当お気に入りなんだろう。それを、わざわざ私の布団に使ってくれるなんて……もったいないけど、嬉しくもある。

 それにしても、何の香りだろう?シトラスの様だけど……少し違うな。少なくとも、魔の森では嗅いだ事が無い。王都のオリジナルブレンドか。

 今度聞いてみるかな。

 そうして、私の長い1日は幕を下ろした。


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