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2章-1節.授業を荒らして停学処分を受けた私は……
8.成り行きで怪鳥を倒します。
しおりを挟む“「キシェアァァァッ!!(ドスッドスッドスッドスッ)」”
「(タタッタタッタタッタタッ)ゼェ…ゼェ……ゼェ…」
獣道に沿って走る少年の後を怪鳥が追いかけて行く。互いの距離はまだ大分開いているが、その先は……
「(ザッ)……っ!………(ハァッ…ハァッ…ハァッ……)」
岩と断崖絶壁で出来た天然の袋小路だ。もう逃げ道がない。
そう、恐らくこの獣道は怪鳥が用意した罠だ。
”「キェアッ!(ニヤァッ)ギェアァァァァッッ!!(ドスッドスッドスッドスッ)」"
「………(ザッ!)」
己の罠に獲物が掛かった事を確信した怪鳥はその脚を加速させる。このままいけば、少年も無事では済まされないだろう。
その事を悟ったのか、少年の目付きが変わった。
「(チャキッ)かかって来やがれ!!」
ナイフを手に身構える。どうやら、応戦する様だ。
"「(ドスッドスッドスッドスッドスッドスッ)」"
怪鳥はそのまま少年を目掛けて突っ込んでいく。
「こ…のっ!(ヒュッ)!!」
“「(グサッ)ギャッ…」“
少年の投げた剣が鳥の目に刺さる。だが、
“「ギェェェェェッ!!!(ドドドドドドドドッ!!)」“
「なっ!?」
怪鳥は怯んで勢いを緩めるどころか、さらに勢いを増して突っ込んで行く。火に油を注いでしまった様だ。
「ならっ!(ヒュヒュヒュッ!!)」
"「(ビシビシビシッ!!)ギェアァァァァァァァッ!!
いくつも石を投げつけ、全てをナイフの柄に当てて確実に深く打ち込んでいく。
恐ろしいほどの投擲精度だ。荒れ狂う海鳥の目に、ナイフが付け根まで刺さった。
"「ギェアァァァァァァァッ!!(ドドドドドドドッ!!!)」"
「は!?」
だが、致命傷にはならなかった様だ。ナイフの刃渡りが足りなかったんだな。
"「ギェァァァァァァァッ!!(ドドドドドドドドッ!!!)」"
「っ!!(ギュッ)………」
打つ手なしの状況に、覚悟を決めてしまった様だ。
「(シュタッ)」
間に合った。怪鳥より先回りして少年に背を向ける様にして立つ。
「!?はっ!?おい馬鹿!!何してる!?」
尚も怪鳥の勢いは変わらない。
“「ギエアアァァァッ(ブゥンッ)!!!!」”
突進の勢いを乗せた靭脚が振り下ろされる。それを…
「(ガシッ……グッ!)」
手で掴み、上半身を半固定した状態で怪鳥の脚からの衝撃を手・腰・膝を介して足の裏から地面へ一度逃す。
「っ!(ズムッ)」
〈ズンッバキッ!メキメキメキッ!〉
「うぉっ!?(どてっ)」
地面には亀裂が生じ、衝撃波で少年は尻もちをついた。
“「ギェッ!?」”
怪鳥も、何が起こったかわからない様子だ。驚いている間に、すかさず技をかける。
「(グググッ…ブゥン!!)」
“「ギェアッ!?」“
「なっ………!?」
地面からの押し返しを腕で右回しの円運動に変え、怪鳥の脚をハンマーの柄に見立ててその巨躰をぶん回す。
「いち!(グルンッ)」
“「ギェギェアァァァッ!?(ヒュッ)」“
ナイフの刃渡りが届かないのなら…
「にーのっ!!(ブォンッ) 」
“「ギエェェェェェェェェェェェェェッ!!」”
もっと深く打ち込んで…
「(グィッ)さんっ!」
“「ギェッ……」“
柄まで打ち込んでやる!
〈ドッゴォォォォォォォォンッ!!〉
その日、森全体に轟音が轟いた。
結論から言うと、技自体は決まった。
〈パラッ…パラパラッ……〉
だが……想定通りにはいかなかった。
〈ヒュー……サクッ〉
さっきまで目に刺さっていた筈のナイフが怪鳥に刺さった。さっき振り回した時に、抜けて高く飛び上がったんだろう。それが今になって落ちて来た様だ。
かくいう怪鳥の方は……
"「(ピクッ…ピクピクッ……)」"
勢い余って、王都の地殻にめり込んでいた。
「………っ………っっ……」
「…………」
やばいな。完全にやり過ぎた。
「(ピクッ…ピクピクッ……ピクッ)」
「……(スタスタスタ)」
崖に頸をめり込ませた怪鳥は、動きの自由を奪われ痙攣していた。とりあえず……
「よっ(ゴキュッ)…と。」
“「!!(ビクビクッ…ビクッビクッ………)」"
居た堪れなくなった私は、怪鳥の首を捻り折る。半端なことして余計に苦しめてしまった。
しかし、こうして技を省みると、衝撃を返しきれてない事がわかるな。このタフネスありきであの衝撃だから、逆算すると返せて2割ってとこか?10割を返せる公爵や8割で返せるハクラに比べると、私ってまだまだ修行が足りないな。気を付けよ。
“「………(クタァ…)」"
「………フゥ。(スタスタスタ)」
「(ビクッ)!?」
ようやく怪鳥が動かなくなったのを確認して、少年に歩み寄る。
「(スッ)大丈夫か?立てるか?」
「!?……あ…ああ、立てる。」
そうして少年に手を伸ばして……ん?あれ?もしかして……
「(ガシッ)助かったよ…ありがとう。」
「(グイッ)良いって事よ。」
……やっぱりそうだ。間違いない。
「本当に、何処も怪我してないよな?一人で歩けるか?」
「…あぁ、問題なく歩ける。」
まぁ、本人は隠しているつもりみたいだし、敢えて聞くまでもないか。
「そうか。じゃ、気をつけて帰ってくれ。」
そう言って、私はその場を後に…
「待ってくれ。」
「…………」
そうすんなりと退散って訳にはいかないか。
「……何かな?」
「何かお礼がしたい。俺に出来る事で、何かないか?」
またこのパターンか。王都で流行っているのか?
「じゃあ、今の事を秘密にしてもらえるか?色々面倒だから。」
「もちろん。だが、お礼としては聞けない。俺の為に危険を冒してくれた命の恩人の秘密を守るのは当然の事だからな。他にないか?」
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「じゃあ、この鳥の肉を貰っても良いか?」
「何言ってんだ。この鳥はお前の獲物だ。お前にはこの鳥の所有権がある。その願いも聞けないな。」
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問題は、この場をどう切り抜けるかだな。権利について主張しているなら、義務を代わってもらうとか……あっ、そうだ。
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「えっ?」
「所有する権利と同時に、解体の義務もあるだろ?一緒に手伝ってくれないか?」
これでダメなら、もう逃げるしか無いな。
「……わかった。」
とりあえず、了承して貰えた様だ。
そうして、二人で解体を始めた。
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