薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…

19.迷宮を踏破しました。

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「確認が終わりました。特に罠や仕掛けがある様子は見られません。宝物殿ゴールと考えて、まず間違いないかと思います。」
「て事は……」
「……マジで迷宮ダンジョン踏破したのか、俺ら。」

 中継地点とか、次の階層に行くための仕掛け部屋なんて事もなかった。

「……あっけねぇ……」
「「確かに。」」

 迷宮ダンジョンを脱出するより先に踏破してしまった。驚くほど実感が湧かない。

「まぁ、私の想定よりは時間がかかったけどな。」
「そうですか?僕は数日掛かると覚悟してましたよ?」
「……そんなに掛かるものなのか?」
「えぇ、階層数にもよりますが、未開拓の迷宮ダンジョンだとそれくらいですね。」

 とは言っても、それは目的がだったらの話だ。私たちの目的はなのだから、ここまで時間を掛けるつもりは毛頭なかった。

「そんなことより……これって、金か?」

 眼前には、目測で数十メートルはあろうかという大きさの黄金色の巨塊があった。

「わかりません。少なくとも、見た感じこれ以外は特に何もありません。」
「てなると、これがって事か?」
「そうなるな。」

 だとすれば、あまりにも滑稽だな。のために犯罪紛いなあれこれをするなんて……あまりにも滑稽だ。馬鹿馬鹿しくて笑えない。

「それじゃ、こいつを持ってさっさと帰ろうぜ。」
「さて……大人しく帰してくれますかね?」
「無理だろうな。テルマ、連中が欲してるのはあくまで権利書だ。こんなものを持って行った所で交渉の材料にはならないぞ。」
「問題ない。交渉するつもりはないからな。」
「えっと……ではどうやって?」
「こいつで、あいつら全員殴れば丸く収まるだろ?」
「…………はい?」
「テルマ、お前は何を言ってるんだ。」
「そ、そうですよテルマさん!いくら何でも……」
「お前1人で武器を持った大人3人を相手するのは無理だ。やるんだったら、私がやる。」
「なるほど、この中でアウェーは僕1人だけですか。ええ、わかりました。どうぞ続けてください。」

 半ばヤケクソ気味のオルブを尻目に話を続ける。

「そもそも、そんな事をすればお前が相当な恨みを買わないか?」
「今更だな?何も問題はない。屋敷から追い出されるくらいには元から恨まれてるし、貴族間のいざこざについては俺の場合、一身上の都合で相殺されるからよ。お前が匿ってくれりゃ、それで何も問題はない。」
「そうか……まぁ、百歩譲って談話室の連中をどうにか出来てもそこからが問題だな。談話室を出た瞬間から玄関をくぐるまでに遺産目当ての連中から妨害を受ける可能性が高い。」
「いや、俺なら確実に談話室前で待ち受けているな。」
「……確かに、それも考えられるな。」
「え?何故ですか?」
「俺たちが迷宮ダンジョンに潜ってから時間が経ち過ぎてる。その間、連中が談話室でずっと待ち構えてるなら、誰も入れない様にしている筈だ。」
「……なるほど。談話室が長時間使用中なら中で何かあると訝しむ方が自然ですね。」
「おまけに談話室に入る前に突っかかって来た奴がいたからな。そいつだけは絶対待ち構えているだろうよ。」
「私が威圧しながら強行突破出来れば1番楽なんだが……」
「そんな事したら、ヘルデス家の人間を全て敵に回す事になるな。個人ならともかく、組織相手にそれはまずい。そうなると面子を傷付けられたとの間でどろっどろのイタチごっこ報復の横行が始まっちまう。」
「だよな。」

 そんな事になれば、トドメを刺一族郎党皆殺すまで終わらない。貴族とはそういう生き物だ。

「……いっそ、迷宮ダンジョンに誘い込んで全員口封じしちゃいます?」
「悪く無い手だ。屋敷には大勢の人間が居るが、所詮は烏合の衆だ。財産を餌に迷宮ダンジョンへ誘い込み確実に1人ずつ……」
「えっと…すみません。冗談のつもりだったんですが……」
「そうなのか?貴族の間じゃ結構あるぞ?一族郎党の皆殺し。」
「聞かなかった事にします。僕は何も聞いていません。えぇ、僕は何も聞いてませんからねぇっ?」

 懐かしい……私もかつてはこんなリアクションをした頃もあったっけな。

 てか、私の思考……日に日に王都の貴族達に近づいてるみたいで何か嫌だな。

「懸命な判断だ。悪いな。変なことばっか教えちまって。」
「……いえ、むしろ知ってた方がにうまく対処できるかもしれません。」
「そうか。達観してるな。」
「まだまだですよ。正直、この状況があまりにも面倒くさ過ぎて誰かに丸投げできないかと思ってしまいます。」
「「!」」
「すみません、こんな現実逃避……あの、2人とも?」
「それ……良いな。」
「あぁ、凄く良いアイデアだ。てか、何でこんな簡単な事に気付かなかったんだろうな。」
「え?え?どういう事ですか?」

 そうだよな。別に私達でどうこうする必要はないんだ。貴族のいざこざをに丸投げしてしまえば良い。

「テルマ、オルブ。私に考えがあるんだが……」
「乗った。」
「聞かせてください。」
「……決断早いな。」
「多分、俺より煮詰まった考えに至ってるだろうからな。」
「僕も、アレクさんの考えならば乗ります。お任せ致します。」
「………」

 本当に順応性高いな。
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