薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…

18.扉の前で立ち往生します。

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「待たせたな、アレク。」
「お待たせ致しました、アレクさん。」
「いいや、丁度良いタイミングだ。」

 丁度、瓦礫を撤去し終えたタイミングで2人が降りてきた。

「降りて来て早々に悪いが、オルブに聞きたい事がある。」
「なんでしょう?」
「これ、(クィッ)お前には何に見える?」

 扉を指して問う。

「………やっぱり、そのことですか。」

 まぁそりゃ、こんだけ目立ってるもんな。

「忌憚なく言って、この迷宮ダンジョンにおける宝物殿ゴールでしょうね。」
「……やっぱりそうか。」

 いかにもって感じだもんな。けど、なんか腑に落ちないな。

「まぁ、倒壊したすぐ下が宝物殿ゴールなんて事、これまでありませんでしたがね。」

 やっぱり、そういうもんだよな。あまりに都合が良すぎるもんな。

「それにしても、抜け道を見つけるより先に迷宮ダンジョンを踏破してしまうとはな。」

 全くだ。

「そんじゃ、まぁ早速入ってみるか。」
「先に調べますね。罠があるかもなので。」
「………」
「ん?どうしたアレク?」
「どうかされましたか?アレクさん?」
「…………あのさ。私が言うのは、すっごくアレかもしれないけどさ……」
「アレ?」
「……何でしょうか?」
「2人とも……順応性高くない?」
「は?順応性?」
「……と、言いますと?」
「何というか……修羅場に慣れて来てない?」

 もうちょい食いかかって来ても良いと思うんだけどな。テルマはともかく、さっきまではあんなに質問責めにして来たオルブまで何か受け入れちゃってるし。

「別にそんなつもりはない。ただ、あれこれ気にするのが面倒になっただけだ。そういうものだって割り切った方がずっと楽だからな。」
「同じくです。」
「……そうか。」
「つーか、数十匹のメタルリザード鋼蜥蜴だけで蹴散らす様な奴とこの先も行動するなら、この程度で一々驚いてなんていられねぇな。」
「同じくです。」
「……なんかごめん。」

 健全な青少年達の価値観を歪めてしまったかもしれない。

「……特に、罠が仕掛けられてる様子もありませんし、何より鍵穴も見当たりません。」
「何か問題なのか?」
「大問題です。基本的にこう言う部屋には必ず鍵が掛かっています。そうでなければ、大抵は開けるための仕掛けがあるんです。」
「鍵穴が無いから後者って訳か。」
「しかし、この扉には何の仕掛けも見受けられません。仕掛けがあるなら解けば良いですが、仕掛けが見つけられなければどうする事も出来ません。」
「なるほど。確かに、それは大問題だな。」
「………」

 そうなると、もう引き返すしかないか?けど、今の状況を伝えても口封じになるのは目に見えている。せめて、宝物の類を持ち帰れば多少は違ってくるかもしれないが……

「しのごの言っても仕方ねぇ。せめて他の抜け道を探してみようぜ?」
「えぇ、探しましょう。」
「待った。それは辞めておいた方が良い。」
「……だよな。」
「アレクさんが蹴散らしたからってこの階層にはメタルリザード鋼蜥蜴が蔓延ってますもんね。」

 それもある。だが、それだけじゃない。

 さっき調べたときの音の反響から予測してこの回廊は環状になっている。丁度、この扉の向こうに待ち構えているであろう部屋をぐるりと囲む様にあるのだろう。
 たまたまこの辺りが崩落していただけで、ほかに抜け道となる様な崩落は感じられなかった。

「(トスッ)八方塞がりだな」

 扉にもたれかかってつぶやく。

 全く、どうしたもんかな。

「(ギィィィィッ)……へ?」
「ちょっ…!アレクさん!?」
「(シュバッ…スタッ)……」

 罠を起動させてしまった?いや、さっきオルブはこの扉には罠も仕掛けもないって……

《ギィィィィ……》
「………は?」

 扉が……開いてる?

「えっ?!扉……なんで……?」

 オルブが動揺するのも仕方ない。さっき自分で開け方がわからないと言ったのだから。

 何故扉は開いた?さっきもたれた時に仕掛けが起動した?……いや、そんな感触ではなかった。

「………なぁ、もしかして最初から鍵が掛かって無かっただけなんじゃねぇの?」
「「………あ…」」

 何故そんな単純な事に気付かなかったんだ私は。

「「………」」

 今は顔色を窺うのは辞めておこう。お互いの為にも。

「んじゃまぁ、取り敢えず入ってみるか。」
「……あぁ。」
「……そうですね。」

 若干の居心地の悪さを感じつつも、扉の奥へ入ってみることにした。
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