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2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…
22.一芝居打ちます。
しおりを挟む「それは、本当か?」
「……えぇ、連中は金塊には一切手を…」
「そっちじゃねぇ。要するに連中は今、お前らの通って来た道から本や書類を運び出した……いや、運び出そうとしてるんだな?」
「……はい………そう…です。」
「(ゲシッゲシゲシッ)おまえっ!!アイクを離せっ!!」
「うるせぇっ!(ガッ)」
「んあっ!?(ゴッ)……ぐっ……はっ……」
「ダンカッ……!!」
「っ……!!(タタタッ)ダン…カッ!」
大人の放った蹴りによって、壁に叩きつけられた。
「(パッ)………旦那、どうやら相当不味い事になったみたいですぜ?」
「っ…ゲホッ…ゴホゴホッ……!!」
「あいつら、俺らの狙いに初めから気付いてたってことじゃないですか。」
「どうします?このままだと全部持ってかれますぜ?」
「………いいや、何ら問題はない。全てを無事に取り返せる。」
「………どういう事です?」
「まず大前提として、連中は我々との接触を避けている。まぁ…厳密に言えば、我々というよりは、貴族とのいざこざだろうな。でなければ、この暖炉から堂々と現れて強行突破するだろうからな。」
「……確かに。」
「そして、私の予想が正しければ、蔵書されている本や書類の量は子供3人で一度に運びきれる量ではない。何しろあのマサールが書き残した設計図や契約書なんだからな。おまけにそこの少年達が言うには、酷く道が悪いそうじゃ無いか。ならば、何往復もして少しずつ運び出すのが定石だ。」
「そんな定石に従いますかねぇ?俺なら多少無理してでも一度にまとめて全部運び出しますが?」
「それは考えにくいな。連中は書物の価値を把握している。書物が傷む様な真似はしない筈だ。そうでなければ、腹いせにその場で焚書していただろう?」
「……確かに。」
「連中は我々の思惑を正しく把握しているから、交渉の材料にするために書物を傷ませない様にして持ち出そうとしてるんだろう。」
「交渉?」
「我々が彼らに恐怖を抱いている様に、彼らも我々に対するある種の恐怖があると言える。必ず交渉を持ち出す筈だ。」
「なるほど。そこで全て取り返せると……」
「違う。もしそのつもりなら、暖炉から戻って来る方が手っ取り早い。そもそも、我々には書物を返された後に約束を守る保証が無いから交渉になり得ない。」
「あぁ……確かにそうですねぇ。俺なら絶対取引しませんね。」
「じゃあ、一体誰との交渉ですか?」
「私達以外の貴族だ。さしずめ、回収した書物を売りつける事で代わりに政治的干渉から守って貰おうとかそんな所だろうな。この場合、彼らの政治的身柄を保証する事が書物の所在を守る事になるからこれは交渉になり得る。」
「けど、そもそも連中にそんなコネクションがありますかねぇ?」
「テルマが居るだろうが。」
「……あぁ、なるほど。」
「腐ってもなんとやらって奴だな。」
「けど、旦那の言う通りならどうやって取り返すんです?既に幾つかは持ち出されている途中ってことじゃないですか?」
「問題無い。少しでも持っていれば、全て取り返せるのだよ。」
「……て、言うと?」
「こちらが連中の事を盗人として通報すれば良い。我々からヘルデス家の遺産である本を盗んだ盗人だとね。闇の人間なら尚のこと効くだろう?」
「……なるほど。」
「その発想はなかったですね。」
「目から鱗とは、この事だ。」
「早速降りるべきだ。あくまでこの方法はこちらが本来の所有者という体裁あってのものだ。連中に全て持って行かれては、探索によって偶然手に入れた。という言い訳で逃げられかねないからな。」
「てなると……」
「おいカルボッ!ダンカは……?」
「……処置…間に合った。」
「そうか……(ふぅ)」
「けど……絶対安静。」
「……アイ…ク……」
「ダンカ、無理はするな。」
「ご…めん……」
「気にするな。今は寝てろ。わかったな。」
「……わかっ…た。」
「あのガキ共はどうします?」
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