婚約者にざまぁしない話(ざまぁ有り)

しぎ

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トビアス・テオレル

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ガブリエーレが静かにローザの前に歩み出る。
「高位貴族の篭絡、上位の令嬢に対する冤罪。あなたに国を崩す意図がなかったとしてもこれは立派な罪となります。
腐っても王族、高位貴族の彼らに対する処分とは比べ物にならないほど重い処分が下ると思いますわ。
助かった。なんて馬鹿げたこと、まさか思っていませんわよね?」
ガブリエーレの灰色の瞳が冷たくローザを見つめた。ローザの喉がひくりと鳴る。

「なんでもないの、そんなこと考えてない。ちょっといい思いしたかっただけじゃん。ちやほやされて幸せになったっていいじゃん」
ローザがぶつぶつと呟く。

ふと、ガブリエーレがため息を吐いた。
「私もアラン王子達のことを言えませんね。わざわざ一人ずつ話を聞いてあげて。最初から彼女を連れだしていればこのような手間もなかったでしょうに。」
ガブリエーレがそっと手をあげる。
ローザを拘束し会場から連れ出そうと周囲の人間が動き出したその時、

「いやだ!こんなの違うじゃん!リセット!ニューゲーム!こんなのヒロインじゃない!」
ローザが絶叫した。高音の絶叫に一瞬周囲が後ずさる。立ち上がりなりふり構わず駆けだした。パーティー会場の外に逃げ出そうとする。

「・・・いい加減にしろ!」
後ろを向いたローザの背中にひゅんという音とともに何かがぶつかった。
ぎゃん!と叫び声をあげてローザがうずくまる。そのそばにはマイクが落ちていた。

ガブリエーレはそっと背後を振り返る。ぜーぜーと息を荒くしながら司会の男がローザを睨みつけていた。
「トビアスくん・・・」
ガブリエーレは思わず、といったように司会の男の名前を呼んだ。

「何度も何度も叫んでパーティの邪魔しやがって。セッティングに何日かけたと思ってる。俺二日ぐらい寝てないんだぞ・・・!」
ぶつぶつと呟き続けるトビアスはずんずん歩いてパーティー会場を横断しローザの肩をつかみ動けなくした。
そしてガブリエーレの方を振り返る。

「副会長、これとアラン王子の方、俺が運んでおくんで、残りの司会、副会長がやってください。あなたがまとめたパーティです。こんなことでおじゃんになるの、ほんとばかばかしすぎる・・・。
他の方たちも俺に任せてくれていいんで、パーティ楽しんでください。それでは」

ローザを拘束し、アランを連れて会場を後にしようとするトビアスを周囲はあっけにとられながら見ていたが、ガブリエーレが微笑んでいった。

「できるだけすぐに戻ってきてくれないかな。パートナーがいないんだ。君が務めてくれると助かるんだけど」
トビアスが静かに頭を下げ、飛ぶような速さで会場を後にした。

残ったのは断罪されるはずだった3人の令嬢と2人の令息。
サンティナはコリンと腕を組み、その耳元に「後で彼女と何をしたか全部聞かせてもらうわよ」とドスのきいた口調で囁いた。
エメラインはザカライアと離れていた数年間を埋めるように寄り添っている。
友人たちの幸せそうな姿を見ながらガブリエーレは落ちていたマイクを手に取りパーティー会場を見渡した。

「問題がいくつかありましたがそれもすべて関係のないことですわ。それでは皆様卒業生の方々に乾杯!」
ガブリエーレのあげた音頭に会場中が乾杯を唱和した。
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