悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ

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カーティア、動けなくなる。

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ぱくぱくと口を動かし二の句が継げないでいるヴィクターに、表情を変えないながらカーティアの方を心配げに見るアルドの姿を見てカーティアは無意識に口を開いた。
「・・・アルドの言う通り、私はシャルロットさんを傷つけたりはしていません。何か行き違いがあったのかもしれませんから、もう一度彼女に聞いてみてくださいな」
カーティアはできるだけ柔らかく言ったつもりだった。しかしヴィクターは顔をひどく歪め手のひらをカーティアに向ける。
「俺は騙されないぞ!シャルロットの言うとおりだ!人を騙して好き勝手に使って見せる根っからの悪役だと!これ以上シャルロットを傷つけようとするな!」
ヴィクターの手のひらから何かが飛び出した。おそらく土属性の攻撃。そう分かりながらカーティアはその場を動けなかった。自分に向けられたむき出しの敵意。前世でも今世でも受けたことのない自分を傷つけようとする強い意志に、カーティアは動くことが出来なかった。
「危ない!」
悲鳴のようなティオフィラの叫び声と。
「・・・下がって」
目の前に飛び出してきたアルドの背中。

ばしゃん!と大きな音とともに目の前に降りかかってきた水滴に呆然としていたカーティアは我に返った。目の前に立つアルドは自分たちの前に水で大きな壁を作りヴィクターの攻撃を防いだのだ。ふーと息を吐いたアルドがカーティアに振り返る。
「・・・怪我は」
カーティアは怪我をしていない。しかしアルドは何か破片でも飛んだのか頬に傷がついていた。
「・・・私は、大丈夫。アルド、あなた・・・」
身体に力が入らなくなりカーティアは思わず座り込んだ。近寄って来たアルドに肩を抱かれる。
「救護テントに行こう。・・・セスト、この場を任せてもいいか」
「もちろん。フィー、君もメラーニ嬢たちに着いてってくれ」
「・・・あ、うん」
いつの間に来ていたのか、テオフィラの婚約者、セストがいまだに何かを叫んでいるヴィクターを拘束し地面に押さえつけている。アルドに支えられて立ち上がったカーティアに手が震えているのかぎゅっと握りこんだままのテオフィラが駆け寄った。安心させるように笑いかけたセストにつられたようにわずかにほほ笑み返したテオフィラがカーティアとアルドの背を押した。
「・・・セストに任せれば問題ないよ。大丈夫、ティア」
「・・・えぇ、そうね。わかっているわ。大丈夫。少し驚いただけで」
どこか目の焦点のあっていないカーティアに支えるアルドの手の力が強まる。
しかし、カーティアは現実逃避のように別のことを考えていた。

本当にアルドがこのまま自分との婚約を破棄するのかどうか。
せっかく集めた修道院のパンフレットの束を処分する必要があるのかどうか。カーティアはぼんやりと考えていた。
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