悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ

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カーティア、泣きそうになる。

手際よく自分の頬を手当てしたアルドが目の前に立ったことで、ぼんやりとしていたカーティアはふっと意識を戻した。救護テントに設置されている簡易椅子に座っていたカーティアに手を貸して立たせ全身をさっと一通り見分する。傷一つないことを再度確認してアルドは息を吐いた。
「無事で良かった」
本心から言っているのであろうアルドにカーティアはきゅ、と唇を噛んだ。カーティアが無事なのは、傷一つないのはアルドが身を挺して庇ってくれたからだ。自分が怪我をしたのにアルドはカーティアが怪我しなかったことを喜んでいる。喉がギュッと締まって、言いたいことが1つも言葉にならなくてカーティアは少しだけ泣きそうになった。
「・・・今入っても大丈夫?」
「大丈夫。というかすぐに入って来て。私が気まずい」
テントの外からするセストの声にテオフィラが返事をしてテントを内側から開けてセストを招き入れる。
「アルドは、よし、大丈夫そうだな。メラーニ嬢も・・・メラーニ嬢は何でちょっと泣きそうなんだ?」
「いいから。・・・それであの後どうなったの」
テオフィラの質問にセストは真面目な顔になる。
「とりあえずヴィクターは学園に強制送還、その後のことは学園に戻ってからの話し合いで決まる。まぁ長期の停学か退学、それに加えてメラーニ嬢への賠償といったところかな」
高位貴族のそれも令嬢に攻撃を向けたのだ。カーティアが傷つかなかったとはいえかなり重い罰になるだろう。
「・・・ただ、それだけで話は終わると思う。シャルロットの罪を問うってことは多分、出来ないだろうな」
ヴィクターがカーティアに敵意を向けたのはシャルロットがそう仕向けたからだ。シャルロットにも責任があると言える。ただセストが渋い顔をするようにシャルロットの罪はおそらく問われない。シャルロットは何か勘違いをしていたと、それで話が終わるだろう。
シャルロットが王家の血を引いているからだ。

国王が学生時分、まだ王妃と婚姻を結ぶ前。国王と子爵令嬢の淡い初恋の末にシャルロットは生を受けた、と「白銀の騎士と癒しの姫君」ではかなりぼやかした表現で描写されている。カーティアたちにとっては、王家は認知していないとはいえ国王の学生時代散々に揉めたらしく、一部の人間はシャルロットが国王の子であると知っている。
シャルロットは「癒しの姫君」の通り、本当に姫君なのだ。
今の所シャルロットがカーティアに向けた無礼が全て問題として扱われていない辺り、王家は国王の血を引く娘を守護する気でいるようだ。
「白銀の騎士」のラストシーンではダレンと手を取り合ったシャルロットが兄である王太子と顔を合わせ、こっそりと兄妹仲良くしようと笑いあう。
この世界でもシャルロットは姫君として幸せになるのだろうか。カーティアは口を噤み僅かに俯いた。
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