悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ

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カーティア、知る。

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カーティアは顔を真っ赤にしたまま口をはくはくと動かした。口から何も言葉が出てこない。アルドの視線はカーティアをじっと見つめていた。愛おしいものを見つめるかのように。
「・・・だ、だって」
無理やり絞り出した言葉はかすれていてまるで子供の駄々のような口調になってしまう。
「・・・あなたは、私のことを好きじゃないと思っていたの」
アルドは少し目を伏せて苦笑した。
「少しは君自身のことを考えてみるといい」


幼いある日、アルドは自分の婚約者となる少女に出会った。二つ年上で自分よりも爵位の高い令嬢は夢を見るような目をしてこちらをぼんやりと見ていた。
その夢見がちな瞳が興味なさげにこちらを一瞥し、抱え込んでいた本に目を落とすまでを、アルドは見つめていた。
初恋を自覚しながら、その相手が自分に全く興味がないことを知ってしまった。
婚約者の少女ーカーティアは自分の婚約者だとわかっていながら欠片もアルドに興味を示さなかった。彼女にとって重要なのは本だけだった。自分を見ない相手を振り向かせるための方法を幼いアルドは知らなかった。
だから、離れたところから見るだけにした。少しでも彼女と会話する糸口のために自分も本を読み始めた。
図書委員になったことで図書館の閉館時間まで本に没頭し続ける彼女を馬車まで送る理由付けもできた。
アルドは知っている。本に夢中になって前のめりに目を輝かせるカーティアが一番美しいことを。アルドに興味のないカーティアが一応婚約者として自分を認識しているのは自分が本を読むことを止めさせたりしないからだということを。彼女から本を取り上げて婚約者として振舞えばカーティアは自分を見るかもしれない。でもそれはアルドが求めるカーティアの姿ではないのだ。

「本にしか夢中じゃない、俺のことなんか気にも留めていないそんな君が好きなんだ」
苦く笑うアルドにカーティアは地面に突っ伏して額を地面に押し付けたい衝動と必死に戦っていた。

「ご、ごめんなさい。私、全く気が付かなくて・・・」
アルドも自分に興味がないのだとばかり思っていたのだ。
私はなんて酷い令嬢だったのだろう。カーティアは唇をかみしめる。

「アルド、確かに私本にしか興味がないしあなたのこともほとんど知らないわ。だから。これからあなたのことを知ってもいい?何にもならないかもしれないけど、でも、私の婚約者はあなたがいいの」
カーティアは必死にアルドの手をつかんで握りこんだ。その手の厚さも温度も初めて知ることばかりだ。
「ごめんなさい、アルド。私をあなたの婚約者にしてくれる?」
アルドは婚約解消を求めるだろう、なんてとんでもない。きっとまだアルドとカーティアは始まってすらいなかったのだ。
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