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出会い編
第8話
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あの日以来、彼はまだギルドに訪れていない。
ウキウキしていた私の気持ちはそれに伴いずーんと重くなっていた。
なんで来ないのだろう。
まだ依頼をこなしてるのだろうか。
早く会いたい。
そんなことばかり考えてしまう。
おばちゃんにも何回か相談した。
おばちゃんは美醜に偏見などはなく、誰でも対等に扱う系の人だ。
だから、私があの人を好きだといえば「おおそうなのかい。」とニコニコしながらうんうんと嬉しそうに頷いてくれた。
おばちゃんは第2の母のような存在なのである。
朝から始まった食堂での仕事をせっせと行う。
途中、出入口に彼がいないか見てしまうし、不細工な冒険者に話しかけられても上の空になってしまう。
私は彼に会いたいという気持ちを悶々と胸に抱きながら、今日も仕事をせっせとこなした。
*****
皆が静まり返る。
この合図で彼がギルドに来たのがわかる。
あの日彼と初めて会った時から10日後。
またあの日のような静まり返った空間が突然できた。
私は注文内容の伝言を料理長さんに伝えていたところだった。
やった!
私はすぐに彼に駆け寄りたいのを我慢し、運び終えていない料理を素早く運んでいった。
「ありがとうなあ嬢ちゃん」と顔が引き攣りながらも言ってくれる豚鼻の不細工な冒険者に軽く会釈をする。
ふわふわと高揚した気持ちが抑えられない。
自分でさえこんなにも彼に夢中になるなんて思ってもみなかった。
私は依頼をこなしたことで報酬を得た彼の元へ駆け寄った。
「お客様!お食事はなさいますか?」
*****
「前は伝えるのを忘れていましたけど、私はセレーナと言うんです。」
彼を前と同じ席に案内し、彼と一緒に食事をする。
先日は自分の名前を名乗り忘れていたことをさっき思い出したので食事を始めた所で名乗った。
相変わらず彼はローブでしっかり顔を隠している。
彼の姿が見えなくなったからか、ギルド内は少しづつ騒がしくなってきたような気がする。
他の人からはこの席はあまり見えないので、他人が彼を見て嫌な気持ち(私は全然嫌じゃない)にはならないだろう。
自分がぐいぐい系の肉食系女子だったかもしれないということに自分でも驚きだが、獲物に迫るのも悪くない。
私は、彼と食事ができること(強制だが)に幸せを感じていた。
昨日はこれがあって···とか、彼にたわいもない話をする。一方的に、だが。
すると突然、彼が初めて私に話しかけてきた。
「俺が···怖くないのか?」
「うん。」
たった一言それだけだったけれど、彼から話し掛けてくれてテンションマックスだ。
彼の問いにもちろん私は即答した。
怖いわけがない。
怖かったら一緒に食事なんてしない。
なんて当たり前なことを聞くのだろうと笑いそうになったが、彼はこの世界では嫌悪されてしまう容姿を持っている。
こんな自分に何故小娘が構って来るのだろう?とか疑問に思っているのだろう。
怖くないと即答したことで、彼はそうかと安心したように息を吐いた。
あれ?と思う。
少し脈アリかもしれない。
私は彼の反応によって荒くなってきた鼻息をなんとか沈めながら、無邪気に彼に聞いた。
「お名前なんて言うんですか?」
相手を落とすのに大事なのは迫るよりもまず名前を呼ぶ事だと思う。恋愛経験ゼロだが。
名前・大事・絶対
下手くそな逆ナンみたいだが、気にしないで欲しい。
なんだかんだ私も必死なのだから。
それに異性にアタックするのも、前世も今世も初めてなのだ。
私がコテンと首をかしげながら聞けば、ぐっと何かを詰まらせるような素振りを見せた後、彼はすぐに教えてくれた。
はあ。
名前までかっこいい。
ウキウキしていた私の気持ちはそれに伴いずーんと重くなっていた。
なんで来ないのだろう。
まだ依頼をこなしてるのだろうか。
早く会いたい。
そんなことばかり考えてしまう。
おばちゃんにも何回か相談した。
おばちゃんは美醜に偏見などはなく、誰でも対等に扱う系の人だ。
だから、私があの人を好きだといえば「おおそうなのかい。」とニコニコしながらうんうんと嬉しそうに頷いてくれた。
おばちゃんは第2の母のような存在なのである。
朝から始まった食堂での仕事をせっせと行う。
途中、出入口に彼がいないか見てしまうし、不細工な冒険者に話しかけられても上の空になってしまう。
私は彼に会いたいという気持ちを悶々と胸に抱きながら、今日も仕事をせっせとこなした。
*****
皆が静まり返る。
この合図で彼がギルドに来たのがわかる。
あの日彼と初めて会った時から10日後。
またあの日のような静まり返った空間が突然できた。
私は注文内容の伝言を料理長さんに伝えていたところだった。
やった!
私はすぐに彼に駆け寄りたいのを我慢し、運び終えていない料理を素早く運んでいった。
「ありがとうなあ嬢ちゃん」と顔が引き攣りながらも言ってくれる豚鼻の不細工な冒険者に軽く会釈をする。
ふわふわと高揚した気持ちが抑えられない。
自分でさえこんなにも彼に夢中になるなんて思ってもみなかった。
私は依頼をこなしたことで報酬を得た彼の元へ駆け寄った。
「お客様!お食事はなさいますか?」
*****
「前は伝えるのを忘れていましたけど、私はセレーナと言うんです。」
彼を前と同じ席に案内し、彼と一緒に食事をする。
先日は自分の名前を名乗り忘れていたことをさっき思い出したので食事を始めた所で名乗った。
相変わらず彼はローブでしっかり顔を隠している。
彼の姿が見えなくなったからか、ギルド内は少しづつ騒がしくなってきたような気がする。
他の人からはこの席はあまり見えないので、他人が彼を見て嫌な気持ち(私は全然嫌じゃない)にはならないだろう。
自分がぐいぐい系の肉食系女子だったかもしれないということに自分でも驚きだが、獲物に迫るのも悪くない。
私は、彼と食事ができること(強制だが)に幸せを感じていた。
昨日はこれがあって···とか、彼にたわいもない話をする。一方的に、だが。
すると突然、彼が初めて私に話しかけてきた。
「俺が···怖くないのか?」
「うん。」
たった一言それだけだったけれど、彼から話し掛けてくれてテンションマックスだ。
彼の問いにもちろん私は即答した。
怖いわけがない。
怖かったら一緒に食事なんてしない。
なんて当たり前なことを聞くのだろうと笑いそうになったが、彼はこの世界では嫌悪されてしまう容姿を持っている。
こんな自分に何故小娘が構って来るのだろう?とか疑問に思っているのだろう。
怖くないと即答したことで、彼はそうかと安心したように息を吐いた。
あれ?と思う。
少し脈アリかもしれない。
私は彼の反応によって荒くなってきた鼻息をなんとか沈めながら、無邪気に彼に聞いた。
「お名前なんて言うんですか?」
相手を落とすのに大事なのは迫るよりもまず名前を呼ぶ事だと思う。恋愛経験ゼロだが。
名前・大事・絶対
下手くそな逆ナンみたいだが、気にしないで欲しい。
なんだかんだ私も必死なのだから。
それに異性にアタックするのも、前世も今世も初めてなのだ。
私がコテンと首をかしげながら聞けば、ぐっと何かを詰まらせるような素振りを見せた後、彼はすぐに教えてくれた。
はあ。
名前までかっこいい。
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