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出会い編
第7話
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皆の嫌悪感が丸出しだったので、私は彼をあまり人がいない隅の席に案内する。
こんなイケメンを不細工な冒険者野郎達の前に出すのも嫌だ。
獲物はいきなりの私の行動に不審がっていたようだが、私が注文はどうするのか聞くと直ぐにメニュー表の一番上にあったA定食を頼んだ。
オドオドしてる姿も可愛い。
ニヤニヤした気持ちが溢れるのを止められない。
前世の時にも見つからなかった私のどタイプのイケメン。
そんな彼が今現在、私の目の前にいる。
こんなにも素晴らしいことはないだろう。
ニヤニヤした気持ちが溢れるのも仕方がないと思う。
にやける顔を必死に我慢しながら、注文料理を料理人さんに伝言する。スキップしそうな勢いだ。
彼の顔が見れないのが残念だけど、仲良くなったら見せてもらおうかな。と思う。
嫌がるかな、と心配にもなるが。
ローブの下に隠れた素晴らしいお顔。
今まであれほど美しいものを見た事がない。
「おやおや。恋でもしたのかい?」
おばちゃんがニコニコとそう言う。
ピタリと言い当てられ、もっと顔が緩んでしまった。
さすがおばあちゃん。分かっているなあ。
私の心境をいち早く察知するおばあちゃんに拍手を送ろう。
私はおばあちゃんが言い当てたことを肯定した後、またルンルンと獲物の元まで戻った。
*****
おばちゃんの優しい心遣いのおかげで、休憩に入ることになった。
私は賄いを獲物の席まで運び、彼の前の席に座る。
ヒュッと彼が息を飲んだのがわかる。
だがそんなこと関係ない。
彼の意見は、聞かない。
前世で独身だったのも、今世のこの男と出会うためだったに違いない。
私は目の前の男と一緒にご飯を食べたい。
いや、一緒に食べさせて頂きたい。
これは願望だが、強引にでもしなければ目の前の男をゲットできない。
何時間でも眺めていられる彼と一緒とか、面食いの私からしたら最高すぎる。
自分勝手なのを自覚しながらニコニコと彼に一方的に話しかける。
今日はどんな依頼をこなしていたんですか、とか
今日はいい天気ですね、とか
本当に私ばかりが話し続けた。
彼は、あまり喋らなかった。
いろんな人から嫌悪されてるのだ。
私みたいなのがいきなり来たら疑うのも当たり前だ。
そう思いながらも止めることは出来ない。
彼は私に気を遣っているのか自分の為に用意された定食にあまり手をつけていなかった。
「早く食べてください。あ、毒とか入ってないですよ。それに、ここの料理長の料理はすごく美味しいんです。」
私がニコニコしながらそう言えば、やっぱり気を遣っているのか、次は料理を口の中に綺麗にかき込んだ。
顔が見えないように私に気を遣う所も滅茶苦茶可愛いと思う。
ああ。骨ばった指も手もなんて綺麗なんだろう。
彼がひたすら食べている間、私はうっとりと彼を見続けた。
自分は変態にでもなってしまったのかもしれない。元々変態だったのが覚醒してしまったのかもしれないが。
顔はローブで見えないがご飯を口へひたすらかき込む彼をひたすら眺め続ける。
もちろん自分のご飯は進んでいないが。
彼にとっては居心地の悪いであろう時間。
私にとっては最高の時間。
あっという間に彼は定食を食べ終えてしまった。
彼とまだ離れたくない。
もっと仲良くなりたい。
そう強く思った私は、「また来てください」という意味を込めて彼にうるうる光線を発射しておいた。
彼は多分それに気づいてはいないと思うが。
内心、それをする自分に寒気が走った。
でも彼を手に入れる為なら安い安い。
この獲物を手に入れられるのなら、こんなこと沢山してやる。
効果がなくても、ね。
彼が帰った後も私はウキウキとした足取りで仕事を再開させた。
こんなイケメンを不細工な冒険者野郎達の前に出すのも嫌だ。
獲物はいきなりの私の行動に不審がっていたようだが、私が注文はどうするのか聞くと直ぐにメニュー表の一番上にあったA定食を頼んだ。
オドオドしてる姿も可愛い。
ニヤニヤした気持ちが溢れるのを止められない。
前世の時にも見つからなかった私のどタイプのイケメン。
そんな彼が今現在、私の目の前にいる。
こんなにも素晴らしいことはないだろう。
ニヤニヤした気持ちが溢れるのも仕方がないと思う。
にやける顔を必死に我慢しながら、注文料理を料理人さんに伝言する。スキップしそうな勢いだ。
彼の顔が見れないのが残念だけど、仲良くなったら見せてもらおうかな。と思う。
嫌がるかな、と心配にもなるが。
ローブの下に隠れた素晴らしいお顔。
今まであれほど美しいものを見た事がない。
「おやおや。恋でもしたのかい?」
おばちゃんがニコニコとそう言う。
ピタリと言い当てられ、もっと顔が緩んでしまった。
さすがおばあちゃん。分かっているなあ。
私の心境をいち早く察知するおばあちゃんに拍手を送ろう。
私はおばあちゃんが言い当てたことを肯定した後、またルンルンと獲物の元まで戻った。
*****
おばちゃんの優しい心遣いのおかげで、休憩に入ることになった。
私は賄いを獲物の席まで運び、彼の前の席に座る。
ヒュッと彼が息を飲んだのがわかる。
だがそんなこと関係ない。
彼の意見は、聞かない。
前世で独身だったのも、今世のこの男と出会うためだったに違いない。
私は目の前の男と一緒にご飯を食べたい。
いや、一緒に食べさせて頂きたい。
これは願望だが、強引にでもしなければ目の前の男をゲットできない。
何時間でも眺めていられる彼と一緒とか、面食いの私からしたら最高すぎる。
自分勝手なのを自覚しながらニコニコと彼に一方的に話しかける。
今日はどんな依頼をこなしていたんですか、とか
今日はいい天気ですね、とか
本当に私ばかりが話し続けた。
彼は、あまり喋らなかった。
いろんな人から嫌悪されてるのだ。
私みたいなのがいきなり来たら疑うのも当たり前だ。
そう思いながらも止めることは出来ない。
彼は私に気を遣っているのか自分の為に用意された定食にあまり手をつけていなかった。
「早く食べてください。あ、毒とか入ってないですよ。それに、ここの料理長の料理はすごく美味しいんです。」
私がニコニコしながらそう言えば、やっぱり気を遣っているのか、次は料理を口の中に綺麗にかき込んだ。
顔が見えないように私に気を遣う所も滅茶苦茶可愛いと思う。
ああ。骨ばった指も手もなんて綺麗なんだろう。
彼がひたすら食べている間、私はうっとりと彼を見続けた。
自分は変態にでもなってしまったのかもしれない。元々変態だったのが覚醒してしまったのかもしれないが。
顔はローブで見えないがご飯を口へひたすらかき込む彼をひたすら眺め続ける。
もちろん自分のご飯は進んでいないが。
彼にとっては居心地の悪いであろう時間。
私にとっては最高の時間。
あっという間に彼は定食を食べ終えてしまった。
彼とまだ離れたくない。
もっと仲良くなりたい。
そう強く思った私は、「また来てください」という意味を込めて彼にうるうる光線を発射しておいた。
彼は多分それに気づいてはいないと思うが。
内心、それをする自分に寒気が走った。
でも彼を手に入れる為なら安い安い。
この獲物を手に入れられるのなら、こんなこと沢山してやる。
効果がなくても、ね。
彼が帰った後も私はウキウキとした足取りで仕事を再開させた。
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