拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶

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9「チュートリアルの後」

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「あー…疲れたっ」

部屋に戻るや否や、ボフンッと勢い良くベッドに背中から倒れ込む。今日は濃い一日チュートリアルだった。

だが、その甲斐あってこれから気を付けるべき人物たち──つまり攻略対象たちの目星はついた。

まずは三年生で、生徒会長である燈堂とうどう恭介きょうすけ先輩と風紀委員長である野分のわき正宗まさむね先輩。
次に、パーティー会場の入り口でコサージュを手渡してくれた二年生の浪川なみかわたくみ先輩。
最後は同級生である、入試次席合格者だった浅黄あさぎ里津りつと黒猫の刺繍入りハンカチに名前が書いてあった不良のような恰好をしていた紫麻しま秋臣あきおみ

恐らく、この五人がそうだろう。

「問題はどうやってこの五人とのイベントを回避するか、だよなぁ…」

うーん…

「…どうすべ」

うん。何の打開策も思い浮かばなくて思わず訛ってしまったが、気を取り直して今持っている情報を整理してみよう。そうすれば何か名案が思い浮かぶかもしれない。…現実逃避では決してないので、そこのところ誤解しないように。

さて、そもそもなのだが、普通この手の恋愛シミュレーションゲームはチュートリアルを終えれば攻略対象を一人選んで、攻略を進めていくという流れが定番だ。

しかし、このゲーム『運命のあなたと…』はそうではない。

つまり、どういう事かというと、このゲームは攻略対象全員を同時攻略する事が可能なのだ。

…え?まだ意味が分からないって?

安心してくれ。俺もよく分かっていないので、以下、前世の姉が言っていた事をそのまま伝えよう。

このゲームは、チュートリアルが終わると学園生活が始まる。
全何話あったのかは忘れたが、一話ごとに行動回数が決められており、プレイヤー主人公は校舎、図書館、運動場、部室棟、食堂、保健室のいずれかのステージを選択して移動する事ができる。
そして選んだステージに関係する攻略対象が現れ、イベントが発生するのだ。ちなみに、この各種イベントでどれだけ好感度を上げられるかで、攻略対象たちが持っている魔力属性に応じてプレイヤーの得意魔力属性が決まり、最終的にエンディングを迎える相手が決まるのだ。

例えば、水属性の魔力を持つ攻略対象の好感度が最終的に一番高かったのならば、得意な魔法は水魔法という事になり、エンディングは水属性の攻略対象と迎えるという事になる。

また、この時、攻略対象たちの好感度もとい得意魔力属性のパラメーターを全員等しい値にするという同時攻略を成す事が出来たのならば、攻略対象たち全員と結ばれる『ハーレムエンド』なるルートが解放されるらしい。

従って、BなL展開にならないように全てのイベントを回避するには攻略対象たちと関わらない、という事が必須事項だった訳なのだが…

「もう会っちゃったんだよなぁ…」

そう。今日のチュートリアルで全員と関わってしまった以上、その必須事項はもう無くなったも同然という事になってしまったのである。

…これがゲームの強制力という奴だろうか。だとすれば、どうすればそれから逃れられる?考えろ。考えるんだ。

思い出せ。何か、何かないか。BなL展開を回避する方法は───…

───『いや主人公受けも攻めも良いんだけど、あたし的には燈堂×野分も良いと思う訳よ。分かる?』

「…ッ!!」

唐突に、脳裏に姉が言っていた言葉が思い出される。

そうだ。思い出した。確か、姉はあの時…

───『このゲームってさ、皆イケメンじゃん?勿論主人公受けも攻めも王道で良いと思うけど、あえて攻略対象同士で妄想するのが良いっていうか腐女子としては放っておけないっていうか勿体ないっていうかたぎるっていうか?主人公を取り合っている内にお互いの事を知っていく過程で意識し始めちゃって、くっついちゃうっていうのもアリっていうか?でも、その事で(以下略)』

とか何とか色々長々と訳の分からない事を延々と語っていたような気がするが……兎に角!重要なのは、

「攻略対象同士をくっつける、だ!」

そうか。そうだよ、その手が有った!

上手いこと攻略対象同士でカップルを成立させれば、俺は平穏な学園生活を送れるかもしれない!

そうと決まれば、早速そのための対策を考えなければ!



ふはははっ。待ってろよ、俺の平穏な学園ライフ!!
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