【R-18】踊り子なのに世界を救えと命令されて? ~勇者として魔王を逝(イ)かせる旅に出ます~

湊零

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第二章『えっ! 踊り子なのに魔物と戦うんですか!?』

第38話 会心の一撃

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 ヒミカは、幻影に命じてスライムの残滓を舐り続ける。
 自分は何もしていなのに、ピンと乳首は尖り、ヴァギナは濡れっぱなしだ。 

「ねぇねぇ、スライムくん。もうヘタレちゃったの? もっと頑張って。スライムくんだってもっと強くなりたいでしょお?」
 
 足先でだらんと垂れた触手をぐりぐりしながら、味覚さえ感じられそうな甘ったるい声で囁く。

「あっ」
 
 ぱちゅんっ。
 水が跳ねる音と同時、少年体型のスライムが四散していく。
 再生して身体が戻ることはなく、体表面の汚れを弾く機能も損なわれているようだ。

「あらら。賢者モードまで学習しちゃったの?」

 正直まだムラムラするけど、ようやく終わった。
 ヒミカは肩で息をしながら安堵する。
 蕩けきった顔をしながらも、いよいよ、指先の一本さえまともに動かせなくなっていたのだ。

『──おつかれ』

 悲し気な表情の幻影が、スライムと同じように霧散する。
 【芳香幻夢アロマミスト】は、魔力消費が激しい。
 恥ずかしい話、精液を摂取できれば魔力を回復できたのだが、スライムに生殖機能はなく、お漏らしのように枯渇する一方だったのだ。

「ふぅ。間一髪だったわね」
 
 身体も意識も弛緩した、その瞬間だった。
 
 首から顎までしか残っていないスライム。
 最後の力を振り絞り。砕け散ろうとする身を再度かき集める。
 修復した口の部分から勢いよく触手を放ち、ヒミカの首に巻きついた。

「が、……あっ!?」

 死の間際、スライムは思い出した。

 ゴブリンと並ぶ最弱であろうと、己は他の生物を喰らう魔物であることを。
 同時に、一度知った性の悦びを忘れることはできなかった。
 あの女を殺した後は、身体が再生するまでじっくりと嬲り続けてやる。

「かはっ……ぐぎぎ……こふっ」
 
 だが、スライムは忘れていた。
 
 勇者を守る騎士の存在を。
 ヒミカの首元すれすれの位置を剣が掠め、弾力のある触手が真っ二つになる会心の一撃。
 そのまま縫い留めるように木の幹へ突き刺さると、触手も本体も完全に動かなくなった。

「ユー、マ?」

 ゆらりと立ち上がった騎士は、乱暴に剣を抜く。
 シビレダケの効果は消えているらしい。
 ヒミカには到底持ち上げられない騎士の盾を振りかぶり、スライムだったを何度も何度も執拗に殴りつけた。

「ユーマ!」

「はぁっ……はぁっ……はっ!? 勇者様、お怪我はありませんか?」

「私は平気よ。それより、ユーマの方は大丈夫なの? 様子が変だったけど」

「僕は平気です。ただ、村長に毒を盛られたとはいえ、ゴブリン相手にこのザマです。勇者様を危ない目に遭わせてしまい、申し訳ありませんでした」

 俯くユーマだったが、彼の周りにはゴブリンの死体が積み上がっていた。
 頭を殴打されたもの、剣で心臓を貫かれたもの、血まみれのもの……凄惨な状況だった。

「ううん、ちゃんと守ってくれたじゃない。ありがとう」

「勇者様……」

「あの、じろじろ見られると恥ずかしいんだけど」

「ご、ごめんなさい!」

 ヒミカとユーマ、お互い下半身に籠った熱を感じつつ、気まずそうに背中を向ける。

 静まり返った森はうっすらと白み始めていた。

「魔物と戦うのって、こんなに大変なのね……」

 苦戦はしたが、その分レベルアップしたのは間違いない。

 ★

 アグリナ街ギルド、普段は入れない受付嬢事務室。

「この度は、私達ギルドが大変ご迷惑をおかけしました!」

 ヒミカ達が帰還して三日後。

 報酬が支払われず、やっぱり雑草を食べるか……というくらいまでげっそりしていたヒミカとユーマ達。
 部屋に案内された途端、クエストを手配してくれたムースという若い受付嬢と、眼鏡をかけた高身長な受付嬢二人が頭を床につけそうな勢いで下げた。

「うぅ、ババロアせんぱぁい、ごめんなさいですわ~」

「ムース、謝るのは彼女達だろう!」

「ごめんなさいです~」

「申し訳ない。ムースは今年配属されたばかりの新人で……いや、監督すべき立場だったのは私だ。改めて謝罪する」」

 ババロアという受付嬢はムースにとっての先輩で、自分にも他人にも厳しそうな人らしい。ちなみに、かなりの高身長でスタイルが良く、きりっとした佇まいは男性と見間違える程格好いい。

「あの、一体何がどういうことなんですか」

「ヒミカと言ったな。報告を受けて、【遊撃隊レンジャー】を手配してサブルブ村を調査させた。村には確かに、スライムとゴブリンの死体があった。それと木に縛られていた村長の遺体もな」

「えっ!?」
 
 突然の依頼主の死。
 驚きが隠せない。

「もしかして、僕が頭を盾で思いっきり殴りつけて、下半身丸出しのまま木に縛り付けたから?」

「結構容赦ないな……。だが、君達のせいではない」

 ババロアが口笛を吹くと、飼いならされたブンショバトが嘴に加えたレポート用紙を机の上に置いた。
 用紙の中央には黒い球状の身体に羽が生えた、奇妙な生物の絵が描いてある。
 びっしりと書き込まれた文字が添えられてることから、どうやら生物の解析情報らしい。

「コウモリ? に似てるけど」

「村長の背中に張り付いていたんだ。念のためセントエルディア魔術解析部隊にて調査したところ驚くべきことが分かった。検出された構成要素が、先代魔王と類似している部分が多くあったそうだ」

「何よそれ、どういうこと?」

「これはコウモリではない。ヴィーヴィルと呼ばれる魔王の眷属だ」
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