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ディニス編
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その後の会議の内容はまるで頭に入って来なかった。何より、ウェスを馬鹿にする言葉が多くて聞く気になれなかった。
そして、会議が終わると私はいち早くウェスの部屋へと向かった。もう治療は受けただろうか…先程のことで泣いてはいないだろうか…
部屋に向かう道中、彼のことで頭が一杯で、誰かに呼び止められたのも気にせず突き進む。
そして、部屋の前に辿り着いた私はドアに手を翳しそっと中の気配を探る。魔力を探知すればウェスがベッドに横たわっているのが分かった。
彼がまだこの部屋にいることにホッとしながら、気づかれないよう静かにドアを開ける。だが、その光景に驚いた。
やけに魔力が弱々しいと思ったら、彼は治療もせずにそのままの状態で眠っていたらしい。ベッドは赤く染まっている。どう考えても寝て治るような傷ではないというのに…
「誰もこの子を心配してくれないのか…」
その事が悲しくて私はウェスを起こさないようそっと頭を撫でた。
そして彼の傷の治療を始める。所々は聖女の神聖力が込められていて、私でも完全に元通りに治す事ができなかった。
その治らない傷の一つが顔の傷だった。ウェスの可愛い顔に一生残る傷がついてしまった…
その罪悪感と申し訳なさで胸が締め付けられる。
「ウェス、無理をさせてすまなかった…お前が城を去っても、私はお前のことを愛しているからな…」
せめて、この治療で私がこの子を心の底では愛しているのだと気付いてくれたら…そんな都合の良いことを考えながら私は大きな傷のできた額にそっとキスをした。
しばらくウェスの顔を眺めていたが、彼が「んん…」と声を上げたのを見て、そろそろ起きそうだと思い部屋を後にする。
部屋の外ではソロンが壁に寄りかかって立っていた。
「ディニス様、酷いじゃないですか。呼び止めたのに無視だなんて」
「ああ、お前か…何の用だ。それより、今までどこにいた?」
ソロンにはレヴォンと同じ任務を与えたはずだ。それが今頃戻ってくるとはどういうことだ。
そう思って彼を睨みつける。
すると、ソロンは怯んだ様子もなく飄々と口を開いた。
「申し訳ございません。実は、言われた通りウェスを監視していたところ人間達に見つかってしまいまして。先程まで交戦をしておりました」
「お前がそんなミスを?」
「ええ、侮りすぎたようです。結果、任務を放棄する形となり申し訳ございません」
その言い分に違和感はあるが、ソロンには今まで散々助けられた。
「はぁ、分かった。ウェスはレヴォンが無事…とはいかなかったが連れ帰ってくれた」
「左様でしたか。それはよかったです」
「それで、改めて何の用だ?」
「ディニス様はウェスから爵位を剥奪されたのですよね?」
「…そうだが」
さも自分の言った事が正しかったという顔をするソロンに腹が立つ。
「では、城から見送る役目は私がやりましょう。先程は任務を遂行できませんでしたから」
「ああ…そうだな、他に頼める者もいない。だが、今日は休ませてやってくれ。酷い怪我だったからな、精神的にも疲労が溜まっているはずだ」
「かしこまりました。では…」
そう言って去ろうとするソロンを私は咄嗟に引き止めた。
「待て」
「まだ何か?」
「ああ…ソロン、お前に頼がある。見送りだけではなく、ウェスが市井に降ってからも生活を支えてやってくれないか?」
私の言葉にソロンは怪訝そうな顔をする。
「市井であればウェスだって自力で生活できるでしょう」
「だが心配なのだ。それにあの子が元気でやっているかを知りたい」
「はぁ…随分なのめり込みようですね」
「ウェスは何と言われようと私の子だからな」
「…まだそんなことを言うのですか」
そして、ソロンは感情の読めない顔で少し考えるようなそぶりを見せた後、口を開いた。
「分かりました。その役目、仰せつかりましょう」
「すまない。恩に着る」
そうして後のことをソロンに託した。
その決断を後悔することになるとは知らずに…
そして、会議が終わると私はいち早くウェスの部屋へと向かった。もう治療は受けただろうか…先程のことで泣いてはいないだろうか…
部屋に向かう道中、彼のことで頭が一杯で、誰かに呼び止められたのも気にせず突き進む。
そして、部屋の前に辿り着いた私はドアに手を翳しそっと中の気配を探る。魔力を探知すればウェスがベッドに横たわっているのが分かった。
彼がまだこの部屋にいることにホッとしながら、気づかれないよう静かにドアを開ける。だが、その光景に驚いた。
やけに魔力が弱々しいと思ったら、彼は治療もせずにそのままの状態で眠っていたらしい。ベッドは赤く染まっている。どう考えても寝て治るような傷ではないというのに…
「誰もこの子を心配してくれないのか…」
その事が悲しくて私はウェスを起こさないようそっと頭を撫でた。
そして彼の傷の治療を始める。所々は聖女の神聖力が込められていて、私でも完全に元通りに治す事ができなかった。
その治らない傷の一つが顔の傷だった。ウェスの可愛い顔に一生残る傷がついてしまった…
その罪悪感と申し訳なさで胸が締め付けられる。
「ウェス、無理をさせてすまなかった…お前が城を去っても、私はお前のことを愛しているからな…」
せめて、この治療で私がこの子を心の底では愛しているのだと気付いてくれたら…そんな都合の良いことを考えながら私は大きな傷のできた額にそっとキスをした。
しばらくウェスの顔を眺めていたが、彼が「んん…」と声を上げたのを見て、そろそろ起きそうだと思い部屋を後にする。
部屋の外ではソロンが壁に寄りかかって立っていた。
「ディニス様、酷いじゃないですか。呼び止めたのに無視だなんて」
「ああ、お前か…何の用だ。それより、今までどこにいた?」
ソロンにはレヴォンと同じ任務を与えたはずだ。それが今頃戻ってくるとはどういうことだ。
そう思って彼を睨みつける。
すると、ソロンは怯んだ様子もなく飄々と口を開いた。
「申し訳ございません。実は、言われた通りウェスを監視していたところ人間達に見つかってしまいまして。先程まで交戦をしておりました」
「お前がそんなミスを?」
「ええ、侮りすぎたようです。結果、任務を放棄する形となり申し訳ございません」
その言い分に違和感はあるが、ソロンには今まで散々助けられた。
「はぁ、分かった。ウェスはレヴォンが無事…とはいかなかったが連れ帰ってくれた」
「左様でしたか。それはよかったです」
「それで、改めて何の用だ?」
「ディニス様はウェスから爵位を剥奪されたのですよね?」
「…そうだが」
さも自分の言った事が正しかったという顔をするソロンに腹が立つ。
「では、城から見送る役目は私がやりましょう。先程は任務を遂行できませんでしたから」
「ああ…そうだな、他に頼める者もいない。だが、今日は休ませてやってくれ。酷い怪我だったからな、精神的にも疲労が溜まっているはずだ」
「かしこまりました。では…」
そう言って去ろうとするソロンを私は咄嗟に引き止めた。
「待て」
「まだ何か?」
「ああ…ソロン、お前に頼がある。見送りだけではなく、ウェスが市井に降ってからも生活を支えてやってくれないか?」
私の言葉にソロンは怪訝そうな顔をする。
「市井であればウェスだって自力で生活できるでしょう」
「だが心配なのだ。それにあの子が元気でやっているかを知りたい」
「はぁ…随分なのめり込みようですね」
「ウェスは何と言われようと私の子だからな」
「…まだそんなことを言うのですか」
そして、ソロンは感情の読めない顔で少し考えるようなそぶりを見せた後、口を開いた。
「分かりました。その役目、仰せつかりましょう」
「すまない。恩に着る」
そうして後のことをソロンに託した。
その決断を後悔することになるとは知らずに…
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