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第四話 走り出した先の出会い
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悔しいことに、三食の美味しいご飯も、綺麗で真新しい衣服も、隅々までシワひとつないシーツも、暇つぶしに最適の雑誌から学問書まで揃った読書室まであっては、「しばらく外に出歩いてはならない」と言われている気分です。
そのくせ、話をする相手もいないのですから、ちょっとむしゃくしゃしてきます。
私は大人しく与えられた部屋に篭もり、読書室で日中を過ごしていました。
私がラポール伯爵家にやってきて二日経った昼すぎのこと。
昼食の子羊のランプステーキにうっかり舌鼓を打ったあと、窓にサンシェードを下ろして、読書室のロッキングチェアでだらけていました。
読書室の小部屋はさして広くないものの、それでも私の実家のベッドしか置けない部屋よりはマシでしょう。
本棚に囲まれ、王都で人気の文芸雑誌を見つけてホクホクしていた私は、突然のラポール伯爵の来訪を知らせるノックに飛び上がるほど驚きました。
慌てて身だしなみを整え、座り直した私は「どうぞ」と作った声で応答します。
年配の執事長に付き添われて、杖を突きながらやってきたラポール伯爵は、ご機嫌なご様子でした。
「読書かね?」
「……他にできることもありませんので」
「そうか。話でもどうだ、暇だろう」
断れることでもありません。
私は立ち上がって席を譲ろうとしましたが、ラポール伯爵に制止されてまた腰を下ろしました。
執事長が隣の部屋から持ってきたスツールに座ったラポール伯爵は、執事長が出ていって扉を閉めてから、話しはじめます。
それは唐突な話題でした。
「君の兄の戦死については、前から私も聞いていた」
「……!」
伏せがちにしていた私の目は、無意識のうちにラポール伯爵を睨んでいました。
それでも特段変わった様子もなく、ラポール伯爵は話を続けます。
「自慢の息子を失った君の父上は、さぞ落胆したことだろう。察するに余りある」
「そうですね」
「世間では前の戦争で負けた原因が貴族たちに戦争を任せたからだ、などと言われているが、銃剣さえも着剣できない有様の市民兵がよく言うものだ。大人しく後方に徹していればよかったものの、命令されることを嫌ってでしゃばった末に貴族出身の士官の足を引っ張ったことは忘れ、互いに責任のなすりつけ合いをしているかのように新聞は書くがね」
つらつらと湧き出すように、ラポール伯爵は語っていました。
私はそれどころではなく、口をつぐみます。誰かが悪いとか、誰かのせいだとか、そんな話を聞きたくはないのです。
やっと押し黙る私に気付いたのか、ラポール伯爵は話題を打ち切りました。
「おっと、失礼。淑女の興味のある話題にしよう」
「伯爵閣下、もう下がってもよろしいでしょうか。気分が優れませんので」
返事は聞きません。私は立ち上がり、伯爵を見ないようにして、逃げ出しました。
読書室からも、自分の部屋からも飛び出して、さらにはこの建物以外ならどこでもいいと勢いづいて駆け出し、湖の島々を繋ぐ橋を渡ります。
ここは湖というより内海に近く、波が岸辺に打ち付けていました。荒天を考えれば、移動手段としては船よりも橋のほうが便利なのでしょう。橋も入り組んだ地形も見渡せなくならないよう、高い木々はほとんどありません。
なので、すぐ近くの建物に辿り着くのは容易です。ちょっと長い石橋を渡って、開けた場所へ行きます。
私は何だか、走りたい気分でした。
人生、何もかもが上手く行かないことだってあります。
私は運がいいほうでもないし、勉強が特別できるわけでもなく、田舎者らしく体、特に足が頑丈くらいしか取り柄がありません。
それでも、これまでの不遇を思えば——母の病死も、家の没落も、父の落ち込みも、ましてや若き兄の戦死や私の契約結婚も—— 「もうやっていられるか」とぶちまけたくなるのです。
貴族でなければよかったのか、あるいは私はそういう星の下に生まれたのか。
何を憎めばいいのか、何を直せばいいのか、それさえも分からないのです。
むしゃくしゃして走り出した、なんて淑女としてあり得ない行動に出たのは、そんな理由でした。
結果、湖畔の建物に沿って作られた花畑に行き当たったのです。
花壇というには境も何もなく、野原というには薄青のワスレナグサが一面に咲き誇っています。誰かが管理しなくてはこうは美しく咲きません。
そんなことから誰かの存在を感じ取った私は、周囲を見渡しました。こうなったら庭師でも誰でもいいので、さっきの不愉快さを忘れるような話をしてほしくて、可哀想な犠牲者を探し出そうとしていたのです。
すると、しゃがんでいる人影を見つけました。私は息を整え、ゆっくりと近づきます。
だんだんはっきりしてきた姿は、奇妙なものでした。
(あら? 女性? こんなところに、あれは騎士団の制服かしら)
そこにいたのは、背中で長い栗色の髪を一つに束ねた、裾の長い青のジャケットと白のズボン、それに乗馬靴の人物です。春の柔らかな日差しを浴びた栗毛は黄金のように輝き、波打ちます。
あまりの髪の美しさに、私は見惚れてしまいました。白金髪なんて名ばかりでほとんど白髪に近い私の髪に比べて、なんて真っ直ぐでつややかな、それでいてサラサラと風になびく軽さをしているのでしょう。束ねきれず余った襟髪さえも光り輝くのですから、きっと——彼女はとても、髪を大事にしているに違いありません。
たまらず、私はようやく彼女の背後に近づき、話しかけます。
「ねえ、あなた。ごきげんよう。私、アルビナと申します」
振り向いた彼女の、一瞬だけ警戒した固い表情が、私を捉えた瞬間に綻びます。
中性的な雰囲気の彼女は、模範的な敬礼をして朗らかで柔和な笑みで迎えてくれました。
「ごきげんよう、奥様。いかがなさいましたか?」
「いいえ、お若いのに立派な騎士様がいらっしゃると思って、ついお声をかけてしまいました。それに、長い髪がとっても素敵だわ」
「光栄です。旦那様にもお褒めいただいたことがございます」
「だって遠目にもすごく美しいと思ったもの。そうだわ、どんなお手入れをしているの? ぜひ聞かせてちょうだい! 私もそんなふうに、まっすぐでツヤのある髪になりたいわ!」
私の突然で強引な頼みにも、彼女は「ええ、かまいませんよ」と嫌な顔ひとつせず、ちょっと変わったハスキーな低音の声で快く答えてくれました。
時を忘れ、伯爵を振り切ってきた無礼も忘れて、私は彼女としばし話し込みました。
彼女の上品で穏やかな話しぶりは、まるで少し年上のお姉様とサロンでおしゃべりしていると錯覚するほどです。
あいにくと私は故郷でも同年代の友人がおらず、大人か弟としか親しくする機会がなかったせいもあって、こうして彼女とお話しできただけでも嬉しくてしょうがなかったのです。
「そういえば、あなたの名前は何というのかしら」
「本名は呼びづらいので、どうぞフィーとお呼びください」
「分かったわ、フィー! あなたのような同年代で同性の友達ができてよかった!」
私は本心から、彼女と出会って名前を知ることができてよかった、と神に感謝しました。
ところが、遠くから私を呼ぶ声がします。私は振り向き、やってくる年配の執事長に気を取られて、フィーが何か言っているのを聞き逃したのです。
「それは——」
「奥様、こちらにおいででしたか。旦那様の命で、必要なものを部屋に運び入れました」
「……必要なもの? 何かしら」
「ご確認のため、どうぞお立ち合いください」
「ええ。では、またね、フィー」
先ほど伯爵相手にしでかした自覚もありますから、私は年配の執事長に気を遣い、すぐさま屋敷に戻ることにしました。
ここにいるかぎり、フィーとはまた会えるのです。なら、一時の別れを惜しむ必要はありません。
希少な同年代の同性の友人を見つけてホクホクしながら、私は彼女に教わった髪の手入れを早速実践しようと浮かれた矢先——屋敷で現実に叩きのめされるのでした。
読書室に積まれた、大量の書籍。それも、全部が分厚い学術書で、向こうが見えないほど高い壁を築いていたのですから。
そのくせ、話をする相手もいないのですから、ちょっとむしゃくしゃしてきます。
私は大人しく与えられた部屋に篭もり、読書室で日中を過ごしていました。
私がラポール伯爵家にやってきて二日経った昼すぎのこと。
昼食の子羊のランプステーキにうっかり舌鼓を打ったあと、窓にサンシェードを下ろして、読書室のロッキングチェアでだらけていました。
読書室の小部屋はさして広くないものの、それでも私の実家のベッドしか置けない部屋よりはマシでしょう。
本棚に囲まれ、王都で人気の文芸雑誌を見つけてホクホクしていた私は、突然のラポール伯爵の来訪を知らせるノックに飛び上がるほど驚きました。
慌てて身だしなみを整え、座り直した私は「どうぞ」と作った声で応答します。
年配の執事長に付き添われて、杖を突きながらやってきたラポール伯爵は、ご機嫌なご様子でした。
「読書かね?」
「……他にできることもありませんので」
「そうか。話でもどうだ、暇だろう」
断れることでもありません。
私は立ち上がって席を譲ろうとしましたが、ラポール伯爵に制止されてまた腰を下ろしました。
執事長が隣の部屋から持ってきたスツールに座ったラポール伯爵は、執事長が出ていって扉を閉めてから、話しはじめます。
それは唐突な話題でした。
「君の兄の戦死については、前から私も聞いていた」
「……!」
伏せがちにしていた私の目は、無意識のうちにラポール伯爵を睨んでいました。
それでも特段変わった様子もなく、ラポール伯爵は話を続けます。
「自慢の息子を失った君の父上は、さぞ落胆したことだろう。察するに余りある」
「そうですね」
「世間では前の戦争で負けた原因が貴族たちに戦争を任せたからだ、などと言われているが、銃剣さえも着剣できない有様の市民兵がよく言うものだ。大人しく後方に徹していればよかったものの、命令されることを嫌ってでしゃばった末に貴族出身の士官の足を引っ張ったことは忘れ、互いに責任のなすりつけ合いをしているかのように新聞は書くがね」
つらつらと湧き出すように、ラポール伯爵は語っていました。
私はそれどころではなく、口をつぐみます。誰かが悪いとか、誰かのせいだとか、そんな話を聞きたくはないのです。
やっと押し黙る私に気付いたのか、ラポール伯爵は話題を打ち切りました。
「おっと、失礼。淑女の興味のある話題にしよう」
「伯爵閣下、もう下がってもよろしいでしょうか。気分が優れませんので」
返事は聞きません。私は立ち上がり、伯爵を見ないようにして、逃げ出しました。
読書室からも、自分の部屋からも飛び出して、さらにはこの建物以外ならどこでもいいと勢いづいて駆け出し、湖の島々を繋ぐ橋を渡ります。
ここは湖というより内海に近く、波が岸辺に打ち付けていました。荒天を考えれば、移動手段としては船よりも橋のほうが便利なのでしょう。橋も入り組んだ地形も見渡せなくならないよう、高い木々はほとんどありません。
なので、すぐ近くの建物に辿り着くのは容易です。ちょっと長い石橋を渡って、開けた場所へ行きます。
私は何だか、走りたい気分でした。
人生、何もかもが上手く行かないことだってあります。
私は運がいいほうでもないし、勉強が特別できるわけでもなく、田舎者らしく体、特に足が頑丈くらいしか取り柄がありません。
それでも、これまでの不遇を思えば——母の病死も、家の没落も、父の落ち込みも、ましてや若き兄の戦死や私の契約結婚も—— 「もうやっていられるか」とぶちまけたくなるのです。
貴族でなければよかったのか、あるいは私はそういう星の下に生まれたのか。
何を憎めばいいのか、何を直せばいいのか、それさえも分からないのです。
むしゃくしゃして走り出した、なんて淑女としてあり得ない行動に出たのは、そんな理由でした。
結果、湖畔の建物に沿って作られた花畑に行き当たったのです。
花壇というには境も何もなく、野原というには薄青のワスレナグサが一面に咲き誇っています。誰かが管理しなくてはこうは美しく咲きません。
そんなことから誰かの存在を感じ取った私は、周囲を見渡しました。こうなったら庭師でも誰でもいいので、さっきの不愉快さを忘れるような話をしてほしくて、可哀想な犠牲者を探し出そうとしていたのです。
すると、しゃがんでいる人影を見つけました。私は息を整え、ゆっくりと近づきます。
だんだんはっきりしてきた姿は、奇妙なものでした。
(あら? 女性? こんなところに、あれは騎士団の制服かしら)
そこにいたのは、背中で長い栗色の髪を一つに束ねた、裾の長い青のジャケットと白のズボン、それに乗馬靴の人物です。春の柔らかな日差しを浴びた栗毛は黄金のように輝き、波打ちます。
あまりの髪の美しさに、私は見惚れてしまいました。白金髪なんて名ばかりでほとんど白髪に近い私の髪に比べて、なんて真っ直ぐでつややかな、それでいてサラサラと風になびく軽さをしているのでしょう。束ねきれず余った襟髪さえも光り輝くのですから、きっと——彼女はとても、髪を大事にしているに違いありません。
たまらず、私はようやく彼女の背後に近づき、話しかけます。
「ねえ、あなた。ごきげんよう。私、アルビナと申します」
振り向いた彼女の、一瞬だけ警戒した固い表情が、私を捉えた瞬間に綻びます。
中性的な雰囲気の彼女は、模範的な敬礼をして朗らかで柔和な笑みで迎えてくれました。
「ごきげんよう、奥様。いかがなさいましたか?」
「いいえ、お若いのに立派な騎士様がいらっしゃると思って、ついお声をかけてしまいました。それに、長い髪がとっても素敵だわ」
「光栄です。旦那様にもお褒めいただいたことがございます」
「だって遠目にもすごく美しいと思ったもの。そうだわ、どんなお手入れをしているの? ぜひ聞かせてちょうだい! 私もそんなふうに、まっすぐでツヤのある髪になりたいわ!」
私の突然で強引な頼みにも、彼女は「ええ、かまいませんよ」と嫌な顔ひとつせず、ちょっと変わったハスキーな低音の声で快く答えてくれました。
時を忘れ、伯爵を振り切ってきた無礼も忘れて、私は彼女としばし話し込みました。
彼女の上品で穏やかな話しぶりは、まるで少し年上のお姉様とサロンでおしゃべりしていると錯覚するほどです。
あいにくと私は故郷でも同年代の友人がおらず、大人か弟としか親しくする機会がなかったせいもあって、こうして彼女とお話しできただけでも嬉しくてしょうがなかったのです。
「そういえば、あなたの名前は何というのかしら」
「本名は呼びづらいので、どうぞフィーとお呼びください」
「分かったわ、フィー! あなたのような同年代で同性の友達ができてよかった!」
私は本心から、彼女と出会って名前を知ることができてよかった、と神に感謝しました。
ところが、遠くから私を呼ぶ声がします。私は振り向き、やってくる年配の執事長に気を取られて、フィーが何か言っているのを聞き逃したのです。
「それは——」
「奥様、こちらにおいででしたか。旦那様の命で、必要なものを部屋に運び入れました」
「……必要なもの? 何かしら」
「ご確認のため、どうぞお立ち合いください」
「ええ。では、またね、フィー」
先ほど伯爵相手にしでかした自覚もありますから、私は年配の執事長に気を遣い、すぐさま屋敷に戻ることにしました。
ここにいるかぎり、フィーとはまた会えるのです。なら、一時の別れを惜しむ必要はありません。
希少な同年代の同性の友人を見つけてホクホクしながら、私は彼女に教わった髪の手入れを早速実践しようと浮かれた矢先——屋敷で現実に叩きのめされるのでした。
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