21歳のわたし ー真夏の蜃気楼ー

深町珠

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めぐの夢

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おばあちゃんは、なにも言わない。
叱ったりはしないから
おばあちゃんに喜んで貰おうと、めぐは
思う。


なので、きょう、お寝坊した事も

めぐ自身が、失敗したと思ってたので


かえって、叱られたりすると
鬱陶しく感じたりするから



そんな、めぐの気持ちを
よくわかってるおばあちゃんは
なにも、言わない。



好きで失敗する子はいないから。




心と心が通っているふたりなので

そんなことも、ふつう。







めぐは、ふと夢の中の出来事を
思い出した。



クラスメートにも、路面電車の
運転を夢見る子や、

郵便局で働きたい、と
願う子。




めぐが、図書館で働きたいと
思ったように

そんな、クラスメートたちは

ハイスクールを卒業してから

どうしてるんだろう?


そんな事も、気になったり。




なので、ちょっと、クラスメートたちの卒業の後の


時間へ、旅行してみたいと


ほんの少しの時間、思った。





「夏休みだもん、少しくらいいいよね」と、



まずは、路面電車の運転をしたいと
願っていたクラスメート、リサの

3年後に、タイムスリップ!





リサは、スタイルが良くて、オシャレな子。

細面で、長いブラウンの髪を無造作に左右にまとめている子。


活発で、バスケットボールとか、サッカーが
得意。


それだけに、路面電車の運転手さんは

お似合いかな?


なんて、めぐも思ってた。






学校の図書室から、外階段で
屋上に上ると


時々、リサは風に吹かれていて。




ふたりで、お話をした。




「めぐはいいよね、もう、夢、半分叶ってるもの」と


リサは、図書館司書になる夢を持ってる
めぐを、ちょっと羨んだ。



「それは、電車はアルバイトじゃのれないもの」と

めぐは、しかたないよ、と言う表情で。





そうだね、と

ふたりで、にこにこ。笑いあった。




そんな、楽しい思い出。





その事をイメージしながら、めぐは
リサの3年後に飛んでみた。



飛んでみた、と言っても
今度は、時間を単純に3年進めるだけなので
それほど難しくはない。

ただの、タイムスリップ。




3年後の自分に、出会わないようにすれば
いいだけだ。


同じ時空に、ふたつの自分が居ると
ちょっと、その先の未来がおかしな事になるから(笑)。








ひゅぅ、と
めぐが、3年後の地上に
舞い降りたところは


路面電車の、車庫だった。


ちょっと、薄暗いガレージのようなところに

路面電車が一杯。


新しいのやら、旧いのやら。

黄色いヘルメットに、グレィのメカニックスーツの人々が
電車の周りで、整備をしている。



レールの間に、地下室が掘ってあって
そこから、車体の下を整備できるような設備、ピットと言うが
文字通り、溝である。


その中に、見覚えのある顔が、ヘルメットをかぶって。

青年たちに混ざって、電車の点検をしていた。

それは、リサの三年後の姿。




「かーっこいい!」と、めぐは
声を上げそうになったけれど。


電車車庫の屋根、そこは屋上緑地になっていて
そこから、屋根下を
めぐは、のぞいていたのだった。



身を乗り出しすぎて、落っこちそうになって(w)

あわてて、手を振って戻る。





めぐは、そのまま
声を掛けられずにいた。

あんまり、真剣なので。


それなので、夜を待った。



深夜、もうLissaが眠った頃に

彼女の夢にお邪魔する事にした。



「だいいち、いまのわたしがLissaに
会っても」Lissaは混乱してしまうだろうし。


夢で逢ったら、夢だから
べつに、Lissaも困らない。





夢の中で、昔のクラスメートに逢った、
なんて言うお話は


ひょっとして、こういう感じで
過去からの旅人さんが来た事を





だと思っているのかもしれない(笑)なんて。







そんな訳で、めぐは
Lissaの夢にご挨拶。



夢の中でも、Lissaは

路面電車の運転手さんだった。



めぐは、そこに
ぽん、と出ていって。




「りーさぁ」と、ハイスクールの
時のまま。



と言うか、めぐはそのまま18歳だ(笑)。




リサは、びっくりしていたけど

それを夢だと思っているので(笑)。

すぐに笑顔になった。でも、真面目な顔になって



「めぐ、あたし.....頑張ってる。
でも、大変。くじけそう。」


リサは、そう言って

気丈な彼女らしく、崩れはせずに

立ったまま、落涙した。


めぐは、訳も聞けずに

リサを抱擁した。



「がんばってるんだね、リサ」めぐは
気持ちがわかる。






リサは「うん、でも、大変だよ。
あんなに辛いなんて。」それは、そうかも。




「そうだよね。電車の下で汚れて。
あんな事までするなんて。」と。





めぐは言った。




「めぐ、見てたんだ。あんなにまでしなくてもー。って思うでしょ?ふつー



でも、大事なんだ。あれ。
タイヤが取れたら大変だし。」と

リサは真面目顔で言う。




電車のタイヤは、鉄。
鉄の車輪の外側に、ばーむくーへんみたいに
熱で焼き付けてあって。


なので、ブレーキの熱で
緩んだら大変なのだ、とか。



それで点検。


訳はわかった。



「電気の勉強もしないと、免許取れない」と
リサは、そんなふうに言う。



ちょっと女の子には難しい、強電や
インバータの構造。


それも、試験に出るのだそうだ。




「がんばって、としか言えないけど」と

めぐは、リサを抱擁しながら、言った。






うん、ありがと。頑張るよ。と
リサは気丈な声に戻って。



ふと、気づく。
めぐは、おばあちゃんにされたように
リサを抱きしめていた。

それが、いちばん落ち着くから。

そんな風に、優しさは
受け継がれていくのだろう....。



めぐとリサは、しばらく話した。


ハイスクールを出て、すぐに路面電車、市の交通局の
試験を受けたリサは

最初、車掌さんになった。


慣れないお客さん対応、一日立っているので
足が疲れてしまうこと、とか。

そのあと、運転手さんになる前に
免許を取らないといけないので

いま、見習いで練習。

しながら、電車の仕組みを勉強してること、とか。




「大変なんだね、運転手さんって。」と、めぐは言う。
図書館の方がずっと楽だ、と思ったりもした。


「そう。だって人を乗せるんだもん。」とリサはさっぱりとした
口調で。



路面電車はレールに乗っているし、いつもワンマン運転だから
何があっても自分で対応。
そのために、いろいろ勉強するのだとか。


道路を走るときは、自動車がぶつかってくる事、も
あるらしい。


「そんなに危ないの。」と、めぐは驚く。

どうして、そんな仕事をするのだろう?などとも思う。


でも、リサには彼女なりの意思があるのだろう。





「とにかくがんばる。また、会いに来て?」と、リサはにっこり。

その笑顔は、ハイスクールの頃、屋上で見せた表情そのまま、だった。

めぐも、同じに微笑み返す。


いつでも、会えばあの頃に戻れる。


友達っていいものだ。




その、夢のほんの一瞬の間
めぐは、駅前郵便局の深夜ロビーの椅子に
いた。

もしかしたら、リサと一緒のお友達、
郵便局に勤めたいと言った、Naomiに
会えるかな?なんて思って。

日本人みたいな名前だけど、聖書にある
喜び、と言う意味だと教えられたのは

たしか、ハイスクールに入ったばかりの頃で


しっかりとした性格、真っすぐの黒髪と
エボニー・アイは

でも、東洋人のような雰囲気もあった。

すらっと背が高いので、そのあたりは東洋っぽくないけれど。



そんなナオミは、郵便局に勤めたい、と
言っていて。



公共の仕事、それに意欲があると言う
おもしろい子だった。


やっぱり、ハイスクールを出てすぐに
郵便局に入ったのだろうか?



そんな事を思い出しながら、めぐは
リサの夢から戻ってきた。


夢には時間の概念がないので、ほんの一瞬。

3次元的なこちらの時間では。





郵便局のロビーは、がらんと広く
でも、ひとの温もりがしているので
なんとなく、好ましかった。


インクの匂いがするあたりも、図書館に
似ていて。

でも、ちょっと違うところは
少し埃っぽいところだったり。


でも、暖かくて

深夜に、ひとりでいるには
割と、好ましい場所だった。




秋のはじまりとはいえ

ちょっと、深夜になると涼しかった。



めぐは、郵便局の中を
伺いながら

少し、うとうととした。



24時間空いている窓口なので、朝まで
ここにいても、別に
大丈夫なような
気もした。




そんな、安堵感もあって
めぐは、少し眠ってしまった。




まどろみの中で、誰かがめぐを
呼んでいる声を聞く。


それは、よく言われるように
霧の中の笛のような、そういうものであったらしい。

らしい、と言うのは
めぐ自身が覚えていなかったから(笑)。




揺り起こされて、めぐが見たのは


郵便局の、緑色の制服で


あたりはもう明るく。





壁の丸い、数字がかわいらしい時計を見ると

7時、を示していた。




「・7時!」


大変、学校行かないと。


と、めぐが飛び起きて。


「あ、夏休みだった」と

ほっとしているめぐを見て、

くすくす笑ってる長身の、長い髪。

黒い瞳の彼女は、ナオミだった。



「びっくりしたー、めぐ!ぜんぜん変わらない。」と


緑の制服の彼女は、めぐが会いたいと思っていたナオミ。



まあ、変わらないと言うか(笑)
そのままだから当然だ。



めぐも、21歳の彼女に再会したような気持ちになった(笑)。




「どうしたの?こんなとこで。夜遊び?」なんて
ナオミは、意味ありげに視線(笑)



そんな訳ないよね。と、ナオミは笑い


「図書館、頑張ってるのね」と。



そういうところを見ると、めぐは21歳に
なっても
図書館にいるらしい(笑)と

めぐは思った。




21歳のあたしは、Megさんみたいに
ステキになってるのかなぁ
なんて、めぐは
思った。


いまは、想像もできないけれど。


naomiは、緑の制服を着ているところを見ると
まだ7時だと言うのに
出勤?

すごいなぁ、と


めぐは思う。


その視線に気づき、
ナオミは「ああ、早出があるの。
終わるのも早いの。


郵便局って、24時間営業でしょ?だから。」と

ナオミはからから、と
爽やかに笑った。



そして「リサね、ほら、路面電車に行った。

結構悩んでるみたいね。
仕事大変だって。




めぐは、さっき会ったよ、と言いそうになって(笑)それは、夢の世界の

話。


あわてて口をふさいで。



「なにやってるの?おかしなめぐ。」と



ナオミは、楽しそうに笑う。




「ほんとに大変らしいんだー、リサ。

電車って、ほら勤務時間長いし

出勤時間もまちまち。



始発電車運転する時は早い、終電の時は遅い。

そんなので、眠れなくて参っちゃうらしいの。


」と、ナオミは心配そうに言う。

見た目クールだけど、優しい子。

だから、めぐも、リサも

いい友達。




めぐは思う。「眠るだけなら、魔法で
なんとかできそうだけど」と。



もちろん、リサには言えないから

夢の中から、魔法掛ける事になるんだけど。



眠るのも、やっぱり
心の中、眠りに関わる神経内分泌が
制御している。




メラトニンとか。
それが、睡眠のリズムを作っているので

つまり、心の中で
時間旅行をしてもらえばいいのだ。




人間の概日リズム(cycle-day-rhythm)
は、25時間周期で

その周期に沿って、神経内分泌化学物質が
睡眠と覚醒を司っている。


つまり、25時間周期だから
どんな人も、毎日ズレているのだ。


それを、視床下部、つまり
目からの光情報が校正している。




おもしろいシステムである。


魚などは、この器官が直接光を浴びるように出来ていたりする。

同じ器官が人間にあり、同じ制御を
行っている事は


進化生物学者たちが、比較進化論の
正しさを裏付けるものだ、などと述べていたりする。









もちろん、めぐが
そんな事を思っている訳ではないが(笑)。









「ナオミさ、やっぱり朝早いんじゃない?」と

めぐが言うと、彼女は


「早いったって定刻だもの。でも、遅番の後
早出、とか

寝にくいわね。」と言うので

めぐは、ナオミにも魔法が必要かな、
なんて思ったりした。



先に、魔法を掛けてみようか。




そう思ってると、ナオミは「あ、そうだ。」と


言って踵を返す。


「後でお茶しよ?あ、お腹空いてるでしょ。
食事しよ?」と、ナオミは

ヒールのない靴で静かに、しかし素早く歩いて行った。




ついといで、と。

リーダータイプの彼女である。




すたすた、と
ぺたんこの靴で歩いていくNaomiは

どこか、闘士のように勇ましいと
めぐは思ったりもした。


星占いで言うと、見た目の印象とかが
火のサイン、例えば獅子座の人は
ひと目を引くタイプ。

でも、こころの中はやさしくて。
闘士じゃない。
そういうとこは、太陽の位置が決めるから

かに座の子は、家庭的。

だったりもするんだけど。


と、めぐは

図書館に置いて来た星占いプログラムの事を思い出したりした。


そういう相性を探すのは、実は大変だったりするので


相性占いも、コンピュータに組もうかな?


なんて、Naomiの後ろについていて、そう思う。



「こっち」と、彼女は
パスワードを入れて、職員通路にめぐを招いた。


「いいの??」と、めぐは躊躇う。




「だいじょうぶ、郵便のあるところには入れないから。」と、Naomi。



階段を昇って、左手のところに食堂。

朝から、おいしそうな匂い。



「24時間営業だから...あ、お風呂もあるよ、入ってく?」と
Naomiは楽しそうだ。



そういえば、夕べはここで寝てしまったから...と、それも気になるめぐだっ

たけど(笑)



一旦、家に戻ればいいか、と
思っていた。



ここは3年後の世界なんだし。





クリーム色の壁は、少し埃っぽいんだけど
24時間営業では、大掃除する暇もない。




忙しそうに、人々が働いている場所。




そんな、みんながいて。
郵便がちゃんと、配達されて。


すごいなぁ、と

めぐは感心した。






食堂の扉は硝子で、よくあるように
半分開いたままになっている。


人々が常に行き来してるので、閉まる暇がないのだ。



リノリウムの床はベージュ、明るい光が差し込む窓際に


制服の人たちが、並んでご飯を食べていたりする。


テーブル席やテラスもあって。結構豪華だ。



お料理の匂いだけで、すこし
おなかが空いてきた。


「いいの?仕事。」と、めぐはNaomiを気にする。



「いいのよ。本当は9時からなんだもの。準備してるだけ。」と
Naomiは言う。

「9時から?」と、めぐは驚く。

それなら図書館と同じくらいなのに、7時に出てくるなんて。


「そー。郵便って、ほら、世のため人のための仕事だから。
たすけあいなの。

まあ、3時には終わるんだけど。窓口は。」とNaomiは笑う。

「それより、ごはんたべたら?」と、重なっているトレイ、軽合金のそれを

ふたつ取り
ひとつをめぐに手渡す。

おいしそうなアラカルト。

ビーンズの炒め物、煮物。

ミニッツステーキ、フランスパン・プディング。

スパゲティ、マカロニ。

スープ。


山盛りクロワッサン。


イギリスパン。

いろいろ。


チーズ、ベーコン。


フルーツ、いろいろ。



「すごーい。」と、めぐは目を丸くして。

シンプルだけど、おいしそう。



Naomiは「あたしはカフェ。家で食べてきたもの」と言って


でも、ミルクを温めたものを取った。


クールな見た目、でも、ミルク。
そんなところがかわいらしいNaomi。


見た目がどう、なんて
そういえば本人は、鏡で見るだけだもの。



「あったかいヌードルとかもあるの。」と、Naomiは

キッチンのカウンターにあるメニュウを見た。


ミネストローネとか。

ベーコン・ビーンズ。


チャイニーズ・ヌードル。


お蕎麦(w)


合衆国っぽい、この国らしい。

いろんな料理が並んでいて、見ているだけでも
楽しい。



人気があるのは、ハンバーガーとか、フライドチキン。

パテ。

フィッシュ・アンド・チップス。


そういう、カジュアルなの。





やっぱり働く人は、忙しいらしい。


配達の制服を着た人たちは
短い袖の、若草色のポロシャツに、スラックス。

日焼けした笑顔で、めいめいに。





ともだち
ふたりは、ガラス扉を開いて
緑地になっているテラスに出た。


木陰になっている、白いテーブルへ。


朝だけど、そろそろ夏休みっぽい暑さを感じる
お日様の光が、さんさん。



「眠れるようになったら、リサは
元気になるかなぁ。」と

めぐは言う。


ナオミは「きっとそうよ。健康だったら
悩んだりしないわ。


たくさん食べて、寝て。

そうすれば、悩みなんてないよ。」と


ナオミは、ファッションモデルのようなルックスとは

違って、おおらかな気持ち。





ちなみに、そうした思考の傾向は
星占いだと水星の位置で決まるのだけれども



めぐが
それを思っている訳ではない(笑)。





めぐは、思う。
それなら、あたしにも、なんとかなるかな?



友達の、力になってあげたい。


めぐは、一生懸命だ。


それも、友達への愛、友愛だ。






めぐは、クロワッサンとミルクティーで

、でも、いっぱい食べて。




そうしていると、テラスのそばを

日焼けした郵便配達の青年たちが、陽気に
「お嬢さん、配達する?」なんて

わらいながら。



ナオミは、にこにこしながら手を振る。



そういう、軽快な感じるは
めぐも悪い気はしない。


どことなく、ルーフィの話し方を思い出す。




ひょんなことから、ルーフィを思い出して

めぐは、ちょっと夢から戻ってきたような気持ちになって。




ナオミは「どうかした?あいつら、軽いからね」と、めぐを気遣う。




めぐは、空想から現実に戻って「なんてもない。ナオミ、知り合い?」と

さっきの彼の事を聞く。



ナオミは、かぶりをふり


「ううん、前、研修で配達したから。郵便局ってみんな、あんななの。

いい奴よ、あいつら。

元気だし。」と

ナオミは、意外な事を言った。



ナオミたち、学校を卒業して
試験を受けて入社した人も

最初は、配達とか、区分け、とかから

体験するのだそう。



それで、現場の苦労を知ってから
管理職へと進んで行くようになっているから

郵便局には、変な大人はいない。


そういう事なんだそうだ。


「へぇ。大学出ててもそうなの?」と

めぐが言う。




ナオミはうなづく。



「だからいいのよ、郵便局は。

高学歴でも、自転車で郵便配達を
2年かな。


郵便を配って、給料を貰ってるって

判るし、

郵便を、みんなが待っていて

「ありがとう」って言われると
嬉しい。


そういう気持ちを覚えれば、辛い事なんかないわ」と

ナオミは言った。



めぐは想像する。

白いヘルメットをかぶって、バイクで
配達するナオミ。

想像すると不釣り合いだけれども(笑)。


でも、郵便を待っている人がいて、「ありがとう」と言われると嬉しい。


その気持ちは、判る気がする。




「あたしも郵便配達しようかなー」と

めぐは言う。




無理よ、とナオミは笑う。



そんなことないって、とめぐは
言い返す(笑)。



ナオミも笑った「うそうそ。誰でもなれるわよ」




めぐは、アルバイトしてみようかなぁ、なんて(笑)。
思ったり。



Lissa , Naomi and meg
郵便配達の青年たちは
陽気で明るく、真っ黒に日焼けして

たしかに、あんな人たちだったら


それほど嫌でもないな、と
めぐは、思ったりもした。


女子高だったから、あんまり
男の子って好きじゃなかったけど



それは、ああいう陽気さがなかったからかな、なんて。



スポーツマンみたいな、さっぱりした
感じは


ここの郵便局だけなのかなあ、あんて

めぐはぼんやり思ったりもした。







それで、ごはんたべながら

めぐは、リサの事を
話した。



「眠れないって、そんなに辛いのかな」と。


Naomiは、うんうん、と唸って


「そりゃそうよ。だって、電車だもん。

レールの上走るんだし。

自動車と違って、ぶつかって来ても
避けられないし。


」と



Naomiは、あたりまえだけど
確実な事を言った。



「郵便局だってね、バイクぶつけたり
自動車壊したりってあるけど。

電車は大きいし。」




神経を使うから、寝られないのかな?

なんて。



そんなにまでして、なぜ
リサは路面電車に乗りたいのだろう?

めぐは、Naomiに聞く。



と、「んー、なんか、おじいちゃんが
電車の運転手さんだったんだって。


路面電車じゃなくて、国鉄の。


それで、ちっちゃい頃に。



おじいちゃんは、リサを
国鉄に入れ、大きくなったら。



なんて言ったらしいのね。



リサん家は、男の子いないから。



でも、リサは反抗期だったのかなー。


嫌だって言ったらしいのね。(笑)。





おじいちゃんは、とっても悲しい顔をして、
定年になったら、すぐ死んじゃったんだって。


」Naomiは、真面目な顔で
そんな事を言った。




「じゃあ、リサは、おじいちゃんへの
謝罪の気持ちで.....。」と

めぐが言うと、Naomiは

[シャザイってなーに、あ、難しい事言うーぅ。

文学少女!」って

おもしろい事を言うから、めぐも吹き出して。


真面目な話してたのに、明るくなった雰囲気。



なので
友達は楽しい。


ひとりで考えてたら、落ち込むかもしれないもの。



なんて、めぐは思った。






「でも、そういうのって贖罪、って言うのかな」なんて

Naomiも言うと、めぐは

「食材?」なんて返したので


どーしたの、文学少女。と

Naomiは笑い「でも、そういうのって
思い出でも、パワーになるのね。
使命感って言うか。」と

真面目な顔をするので、めぐも一瞬真面目になって、でも「氏名館か

しら」なんて

ネームランドみたいな事を連想して

ひとりでくすくす。


でも、Naomiには、訳わからないけど
なんとなく、彼女も釣られて笑った。








笑いながら、めぐは思う。



その、おじいちゃんの気持ちを。

たぶん、悲しい気持ちで
天国に行ったんじゃないと思う。




その気持ちを、リサに伝えてあげられたら。


リサが、思い詰めて
電車に打ち込む、その
肩の力がすこし抜けるんじゃないか、って。




そんな風に、めぐは思った。



hotspring in postoffice
そっか。

めぐは閃いた。

あたしの魔法でも、役にたつことってあるんだ。


夢におじゃまして、気持ちの
エステ(笑)をしてあげれば。







などと。
医学的にもそれはおそらく正しいだろう事は
これまで述べた通り。


ジグムント・フロイドなどは
夢で、心が読めると
言ったくらいで(まあ、異論も多いが)。






「あ、めぐ、お風呂入ってく?」とNaomiはにこにこ。



ここのお風呂、温泉なの。とNaomiは
楽しそうに言った。



「温泉かー、いいなぁ。」と
めぐも、おばあちゃんと一緒に入った
おうちの温泉とか、幼い頃の事を
思い出したり。



シャボン玉作って
遊んだり。



おばあちゃんの背中を流したり。



三つくらいだったかな。


お風呂、楽しい。





「Naomiも入る?」と、めぐは言うけど


「まさか、仕事だもん。終わったらね。」と



夕べ、お風呂に入れなかっためぐを、気遣かった。



それで、郵便局カフェ(笑)から



郵便局温泉を、めぐに案内した。


屋上に露天風呂、地下に大浴場、とか

リゾートみたいなんだけど(笑)。のどかなこの国らしい。


郵便貯金クラブ、と言う
おもしろいクラブに入ると

ここが使えるらしい。




古ーいエレベーターは、ギアの音がして。

ベルの音も、本当に鐘が鳴るのだけれども


そういう、古めかしい感じを

どこか、めぐは
好ましく思っていた。


おじいちゃんみたい、そんなイメージもあって。




「そっか。リサにとっての電車って
おじいちゃんなんだ。」とめぐは思う。


リサが、おじいちゃんを悲しませたと

思ってしまっているので

その、電車、は

おじいちゃん、いなくなってしまったおじいちゃんの
イメージなんだ。




それで。試験に落ちたくないって
思うんだ。





めぐは、なんとなく思ったりした。

そういう気持ちって、わかる。





「じゃ、後でね」と
Naomiは、仕事に向かう。


屋上露天風呂の入口で、めぐと別れて。



メールする、って言ってたけど





「3年後のあたしに届くだけね(笑)」と

めぐは、時間旅行してる事をすこし忘れてた。


3年後のあたしが、同じメールアドレスだったら


変だけど。





屋上露天風呂は、なーんとなく管製と
言う感じの

無骨なイメージだけれども。


そこがかえって、好ましいと


めぐは思う。






脱衣所に、コインランドリーがあったりして

「郵便局に住めるね」と、めぐは思ったり。



お風呂と、食堂。

あとは寝るところか(笑)。


めぐは、着てるものを全部脱いで、洗濯機に入れて。


その間、露天風呂に入っている事にした。



屋上露天風呂、と言っても
リゾートじゃないから、周りはビルだらけ。
なので、囲いしてあって
景色は良く見えない。



でも、空は見えるから



地下よりはいいかも。


Naomiの話だと、郵便局で働く人は

結構、汚れ仕事なので

お風呂に入れるようにしてあった、と
言う話だ。



それを、お客様にも
使って頂いて、と言う
そういう話らしい。


「優雅ね」と
めぐは思う。


簡素な、ふつうの露天風呂だけど
安心できる雰囲気があったりして。



岩風呂とかって、けっこう
足が痛かったりする事があって。


ふつうのお風呂の方がいい、って
めぐは思ったりした事もあったりして。



「いいなぁ、なんとなく。」めぐは安堵した。

露天風呂には誰もいない。


のーんびり、ゆったり。

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バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

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