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ふたたび
しおりを挟む寝台のベッドは、シャボンの香りがして
快適だった。
どこでも寝られる、割とノーブルな
めぐだったけど
さっきの事が、ちょっと気になって
寝付けなかったから
「困ったなぁ」とは思いながらも
友達の弟が魔法使いさんかどうか、なんて
誰に聞いたらいいんだろう(笑)。
とか、思いながら
「とりあえず、神様に聞いてみようか」と
お友達感覚のめぐ、だったりする。
いつもメールしてるし、頼まれ事してるし。
to kamisama@god.com
from meg@megunokuni.com
こんばんは。まだ10時だから起きてますか?
めぐです。
あのね、お友達のリサの弟でミシェル、っているの。
その子がね、魔法でメッセージ送って来たの。
心に語りかけるの。
リサは、魔法使いじゃないみたいだけど。
魔法って、いきなり使えるから
リサも魔法使いさんなのかなぁ。
よくわかんないの。
と、まあ
めぐもふつうの18才なので(笑)混乱。
とりあえず、メールを神様は受け取って。
サンライズエクスプレスは、そろそろ倉敷あたり。
「なんじゃぁ、こりゃぁ(笑)」神様は、でも
かわいいメールに和んだ。
「リサって誰だぁ」とか、ひとりごとを
言っても
Aクラスルームは個室だから、誰の迷惑にもならない(笑)けど。
「じゃが、魔法使いって簡単に成れるものかのぉ」と、神様も解らない(笑)。
そんな、めぐの気持ちは知らず(笑)
ミシェルは、機関車の中で
大切な時間を過ごしていたような、そんな
気持ちになっていた。
列車を機関車が率いて、高速で移動する事の
困難さを、初めて体験したと
ミシェル自身は思った。
「客室にいると、40km/hって遅く感じるんです」と、ミシェルは言う。
「そうか。そうかもな。地面から遠いから
枕木も小さく見えるしな」と、機関車乗りは
視差と体感速度の話をした。
特急の機関車が、運転席が高いのは
疲れを少なくするために、そうしていると
設計士のような話を、ミシェルにした。
ミシェルは、楽しい。
体験談なので、言葉にリアリティがあるような
そんな気がして。
男として、仕事を得て生きていくって
お金もらうためじゃないんだな、って
そういう気持ちになった。
サンライズエクスプレスの寝台、Aクラスルームのベッドに寝転んだまま、神様は
「さて、誰に聞いたらいいかのぉ(笑)」
魔法の事なんて、神様でも知らない(笑)
天使たちにも、知識はないだろう。
「そうじゃ!」神様は、天使クリスタの事を
思い出した。
めぐの家に今、ホームステイしている(笑)
悪魔くんのために、天使を退職(笑)した
クリスタ。
「まだ、起きとるかのぉ」神様は、
それでも呼ぶのはかわいそうだから
メールを送った(笑)。
「まだ10時だから、起きとるといいのぉ」
from kamisama@god.com
to crysta@angel.com
あー、わしじゃ。
めぐから、訳解らんメールが来たから
転送する。
聴いてやってくれ、話。
聞いてもらえれば安心するじゃろ。
個室をいい事に、音声入力でメールした。
「全く便利になったのぉ。テレパシーと
変わらんな。」と、神様は
いつでもどこでも連絡が出来る便利な人間世界に
驚いている。
「じゃから、自分の願いがなんでも叶うと
思ってしまうのかのぉ」と、ちょっと前、そういう人間世界の争いがあった事を思い出した。
天使、クリスタさんは
神様からのメールを受け取って。
「そう....ですか。めぐさん、お悩みなのですね。」
少し前まで、護っていてあげためぐの事が、クリスタさんは
心配になった。
「眠れないと、いけないですね。」
天使さんだし、いっしょの心で暮らしていたから
めぐの気持に、話し掛けた。
以心電信(w)よく、双子は心が通じるとか言われるように
生まれた頃から一緒にくらしていた、めぐとクリスタさん。
空間を越えて、話しかけてみる。
めぐは、すこし夢ここちで、寝台のベッドに横になっていた。
REM睡眠と言うけれど、医学生理学用語でそんな状態、仮眠状態で
よく夢を見る。
めぐは、クリスタさんの声に気づく。
「あ、クリスタさん。ごめんなさい、図書館の仕事。」
と、めぐは、日常のことをまず、気にした。
心優しい子だ。
クリスタさんは、静かにかぶりを振って「いいんです。めぐさんとわたしは
ひとつ、ですから。神様からお話を伺いました。お困りですか?」
クリスタさんの、優しい声で、めぐは安心する。
ミシェルが婚約、なんて言い出して。
でも、ミシェルはどうやら魔法の能力を持っているみたいだし
弟みたいな気がするの。
好き、って言うか、かわいいと思うけど。
ミシェルの気持を傷つけたくないの。
めぐは、すこし涙ぐんでいる。
クリスタさんは、過去を思い出す。
めぐは、なぜか魔物から襲われて。
なぜか、魔王がその魔物を退治した。
二度目の人生を、今送っている。新しい生命のもとに。
michelle、聖なる、って名前の子が
同じ頃、やっぱり新しい人生を送り始めた。
その子が.....。
めぐを慕っている。
友達の弟のはずなのに、とても親しい感じがして
家族みたいな。
「ミシェルさん、と
もう少し、親しくなさってくだされば
きっと、わかりあえると思います。
恋人になれるかどうか、は
心ひとつ、ですもの。
生まれる前から、たぶん、決まっているんです。」と
クリスタさんは、予感を元にしてそう語った。
言葉よりも、ミシェルとめぐが接していれば
遠い記憶が呼ぶあうと、そんな風に思ったので。
めぐは、なんとなく安心して「ありがとうクリスタさん。会えてよかった。」と
ゆっくりと眠った。
機関車乗りは、駅に近づいた事に気づき
「さっきと反対に停めるんだ」と、ミシェルに言う。
「反対?」ミシェルは、わからない。
闇の中で、どうして駅の位置が解るのか。
「いつも乗ってると、目印で解るさ。」と、機関車乗りは言い、線路沿いの大きな森と
川の流れている場所で、電力を落とした。
「そうするときに、機関車が押されないように、連結器が引かれるようにするのさ」と、
編成のブレーキを少し掛ける、電磁直通と言って
一度に全車両のブレーキが掛かる。
そこで、機関車の発電ブレーキを掛けて減速。
乗客の数と効き目を感じながら、編成のブレーキ、電磁直通を外して空気ブレーキを緩めると
「後ろの車両はブレーキが少し効いていて、前の方はブレーキが解放される。さっきと同じさ」と、機関車の発電ブレーキを加減しながら
駅に進入する。
ひとの少ない夜の駅、ホームの明かりだけが
目映ゆい。
ぐっ、と
減速しながらホームに入るけれど
後ろから引っ張れているような感じ。
「こうすると、寝ているお客さんが揺れないのさ」と、機関車乗りは笑みを浮かべる。
それが、現場の運転技術だとミシェルに
伝えたいのだろう。
ホームの停止位置に、ぴたりと停める。
機関車が、駅に着く。
EighthHouses。
クリスタさんは、なんとなく気になった
ミシェルと言う名前の事を。
天国のデータベースで調べた(笑)
get name michelle;
from heaven.com.db,human.com.db;
left join birth=birth;
魔法のような言葉で、語りかけると
データベースは答えてくれる。
ーーーミシェル、と言う名前は
予言者にもいます。michelle.de.nostradams
ビートルズの歌にあるミシェルも、そんな意味ですね。
でも、このミシェルさんは、病気で命を
落とされそうになった時
神様が、二度目の命をお授けになったようです。
その時のデータはわかりません。
と、雲の上の、文字通りクラウドデータベースは答えた(笑)。
クリスタさんは、ユーモアのあるデータベースの答えに微笑んだ。
やっぱり、神様のお仕事だった(笑)。
クリスタさんは、そのお話を
神様にメール。
話てもよかったのだけど、天国に
戻って来いと言われるから(笑)
「メールも便利」とかいいながら
from crysta@angel.com
to kamisama@god.com
神様のお仕事みたいです。
ミシェルさんは、ご病気で
命を落とされて。
その時、神様が魂を入れられた、との事です。
そのメールを受け取って、神様は、はた、と困った(笑)。
もともと、命を授けるなんて事は
あんまりする事じゃない。
だから、戸籍簿の管理は
テキトーだった。
「ミシェルって、どんな子だったかのぉ」
健忘症である(笑)。
「じゃが、それまで生きてた、って事じゃのぉ」と。
神様は推理(笑)。
「その、リサって友人の弟で生まれたにはちがいないかの」
「はて、なんじゃったかの」神様は
お年寄り(笑)だから
そんな昔の事をよく覚えていない。
ただ、なんとなくミシェルのような
かわいそうな赤ちゃんがいたら、助けたかもしれないけれど。
魂に男女の違い、なんてないから
たまたま、手元にあったのを
入れてしまったかもしれない(笑)。
魔法使いになれる、魂。
女の子のものだったかもしれないし。
「魔法使いなら、時間旅行ができるんじゃがの。」13年前に戻って確かめる、なんて
事もできるが。
神様は、そんな事はできない。
「魔法を習ってみようかのぉ」と、神様は
サンライズエクスプレスのAクラスルームで
パノラマウィンドウに映る星空をみながら
箒に乗って空を飛ぶ姿をイメージした。
けれど「じいちゃんなら、やっぱり水の旅人かな」なんて(笑)
かわいい魔女の方が似合いそうだ、と
そんなふうに思った。
ミシェルは、駅についた機関車から下りる
機関車乗りに続いて、ドアから下りた。
短い停車時間で、車軸の温度とか
車輪に異常がないか、とか
見るのだけれども
「ほれ、寝台行ってねな」と、機関車乗りが言うので
礼を言って、10号車、ひとり個室[SOLO]に向かおうとした。
でも「明日の朝は、どこにいますか?」と
ミシェルは、機関車乗りに尋ねた。
車軸に触れていた彼は「ああ、もう帰って寝てるよ。次の駅で折り返しさ」と。
もう、この人に会えないんだな、と思うと
ミシェルは、ちょっと寂しくなった。
旅人のような、機関車乗りの暮らしが
うらやましいようで、ちょっと淋しいようで
ミシェルは、涙がこぼれそうになった。
「おぉい、どうした?」機関車乗りは、ひょい、と
ホームに飛ぶように昇って。
涙を拭っていたミシェルに「男の子だろ、やたら泣くんじゃないぜ」と、ミシェルの柔らかい髪を撫でた。
ごめんなさい、と言いながら
ミシェルは、その大きな掌にも
もう会えないのかな、そう思うと
ちょっと、泣けて仕方なかった。
束の間の、素敵な時間が
過ぎていってしまう。
センチメンタルなそのミシェルの感覚は
時間を戻したい!
そんな願いになって。
time-slip!
model michelle.0d;
import modelica.SIunits;
parameter real t=michelle.time;
equation;
E=mc^2;
v2=v0+at
F=ma;
F=E;
end michelle.0d;
めぐと同じ、0次元のMBDだった。
宇宙発祥の時に戻り、0次元に解放された素粒子は、光速度を得る。
ヒッグス環境が放つエネルギーは、膨大だ。
光速を越え、時間が戻る。
ミシェルの脚元に、空間色彩で描かれた
輝く魔法陣。そこに、ミシェル自身が
見たことのない魔法のような式が書き込まれると
ポン!
空気が解放されるような音がして。
ミシェルは、20時40分のミシェルに
瞬間移動。
「あ、あれ?」ミシェル自身、何が起こったのかわからない。
[さっき見たみたいに]機関車乗りは
よお、と
挨拶をした。
理論物理学的には、どうと言う事もない現象だけれども
素粒子物理学の応用で、それを使える技術にしたのが
いつの事か。
18世紀には既にあったらしい事は
なんとなく、めぐのおばあちゃんは知っているらしい。
それを、科学の言葉で書けるようになったのが
2000年に入ってから、higgs-environの
存在が仮定されて、素粒子が見つかったのが
2013年の事だ。
200年も前に、同じエネルギーを使って
魔法使いが空を飛んでいた、のだけれども。
「僕は、超能力者なんだろうか」と
ミシェルは、SF漫画みたいに思って
でも、悪い病気で
変な夢を見てるんじゃないか、なんて
病弱な子らしい事も考えて。
「でも、こんな事、リサ姉ちゃんには話せない。」
過保護なお姉ちゃんの事だから
すぐに病院に連れていかれて。
タイムスリップする病気なんて、聞いた事ないから
そのまま入院させられるに違いない、なんて
ミシェルは子供っぽく思った。
どうしよう。
天使、クリスタさんは
誰にでも優しい。
困ってるミシェルを見かねて、でも
直接話したらびっくりするかしら、と
分身(w)めぐにそれとなくお伝え。
「もしもし、めぐさん.....。クリスタです。起きてます?」と、21時30分。
ミシェルにとっては2回目の、EighthHouses駅。
その時に、めぐの心におはなし。
「クリスタさん?」めぐも、双子の(w)クリスタさんの言葉は
どこでも聞き取れる。
見た目もよく似ているクリスタさんとめぐだけど。
「はい。あの。めぐさん?ミシェルさんが、魔法で時間旅行して、能力を怖れてて。」と
クリスタさんは、ミシェルの気持を落ち着かせてあげたいけど、と
めぐに頼んだ。
「うん、ありがと。行ってみる。」と、めぐは
素っ気無い体操着のジャージ(w)で、個室から出かけた。
学生らしくていいじゃん、とか思いながら。
ナイトウェアじゃ、ちょっとセクシー♪だし、とか。
考えながら。
どんな時でも、軽快なめぐである。
心にいつも、音楽があるせいか?な。
機関車から降りて、ミシェルが10号車に戻ったあたりの時間。
汽車が動き始めた。
歩いて14号車から10号車まで行くのは、結構大変だ。
列車が揺れるから。
でも、かわいいミシェルのためだもん(w)。
クリスタさんの話だと、なんか他人に思えなくって。
めぐ自身も、最初魔法使った時は、驚いたし怖かった。
もう慣れたけど.....。なんて思いながら。
あまり、人が乗っていない寝台列車の廊下をスリッパで歩く。
寝台列車の廊下は、スリッパで歩けるように
バリアフリー(笑)になってたりして
でも、静かに歩くのはたいへんね、なんて
めぐは思った。
みんな、寝てるのかしら?
カーテンを閉めているベッド、いくつか。
10号車の、ミシェルの個室に行ってみたけれど
鍵が掛かっていて。
ノックしたけれど、返事がないし
ひとの気配がない。
「どこ行ったんだろ」とりあえず、食堂車の隣のロビーかな、と
8号車へ向かった。
電気が暗くなっていて、テーブルが片付いている食堂車。
カウンターにはスツールが備え付けになっている。
そこに、ミシェルはひとりで座っていた。
時折、駅を通過すると
明かりが窓から流れて来て、ミシェルの全身に
明かりの形を写した。
時と、思い出が
彼の全身を通過してるみたい、と
めぐは思う。
ミシェルは、めぐに気づいたけれど
でも、元気無かった。
「あのね、ミシェル。怖がらなくていいの。私もね、同じ仲間なの。」
最初は戸惑うけど、これは超能力とかじゃなくて
魔法なの。大昔の科学なのよ。
それを、あたしたちは受け継いだ。
涙ぐんでいるミシェルがかわいそうで
めぐは、肩を抱いてあげた。
でも、ときめいたり、そういう感じじゃなくて。
友達とか、弟とか、そういうふうなHugだった。
「大丈夫。病気じゃないの。そのうち慣れる。使いたくないって思えば、使わなくてもいいの。」と、めぐは言った。
でも、どうして、ミシェルがめぐと
同じ魔法を使えるのか、それは
めぐにもわからない。
ミシェルは、めぐお姉ちゃんに
抱き寄せられて
ちょっと、どっきり。
でも、なんとなく、安心する。
そう思った。
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