21歳のわたし ー真夏の蜃気楼ー

深町珠

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アジアの革命

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ななは、ちょっと困ってしまった。

神様に連れてきてもらったこの国。
でも、この国に来た理由は元々

恋しい人に相応しい人間になるためだったのに
その人は、運命のいたすらで
並列時空間の、10年前に飛んでしまって

10年前に、別の女の子に心を奪われてしまっていたなんて(笑)




「なんのためにここに来たんだろ(笑)」

もう笑うしかない。

それに、日本に帰ろうにも
お金はないし、その日本は
ここから飛行機も飛んでない。







ななは、途方に暮れるしかなかった。



「とりあえず、修道院に戻って
しばらく厄介になろうかな」気楽な、ななである(笑)。





もときた道を、とぼとぼと
歩き始めた。



石畳を登って。


こんな時は空を飛ぼう、なんて気力も起きない(笑)。



下り坂をオートバイで飛ばすのは、登りより
難しい。

加速を続けないと、上手く曲がれないからで
下り坂で加速しながら曲がるのは
前のめりになってしまう姿勢からも、難しい事が解る。


RZ250くらいだと、もともと前輪が大きいので
それほど苦労なく曲がって行けるけれど。



楽しむバイクと、速く走るためのバイクは
違う、と言う事なのかもしれないけれど





オートバイもガソリンで動く。

そのガソリンは、地下資源を掘って
運んで、精製して。

経済原則で動いているから、その経済が
地球のどこかで変わってしまうと


やはり、どこかしら歪みが起こる。



Naomiは、レイモンを追い掛けた訳が
自分でも分からなかった。

れーみぃへの痴漢(笑)か

さっき、自分を誘っておいて
ほかの女の子へ手を出したから(笑)か。


理屈は、ともかく追い掛けたかったのだろう(笑)


オートバイで競争するのは楽しい。


スポーツだから。





でも、ここは道路だから。




さっき、峠で出会ったKawasaki Police1000の白バイが


木陰のカフェで、シトラスのスパークリングを
飲んでいた。



そこに、スピードを上げたR6と
それを追ったRZV。



フランクは、それに気づくと白バイに跨がってマイクを握り「飛ばすなー、捕まるぞ(笑)」


その声に気づいて、Naomiは急ブレーキ。


こうすると、捕まらない事も多い。






でも、レイモンは10000rpmを超えていた
R6のエンジンが煩くて、気づかなかった。



そのまま、下り坂を行った。






スローダウンしたRZVのNaomiの後に、スパークリングを飲み終えたフランクが続き


一応、青いランプを光らせて。




その後に、ゆっくり下っていったれーみぃのRZ250が続く。



「あー、お嬢さん?この先にね取り締まりがあるから。スピードガンの」と、フランクはマイクで言う。


路肩にRZVを止めたNaomiは、ありがとう、と
言った。



れーみぃはついてきて、路肩に停めて「でも、罰金で儲からないよ?」と言うと
フランクは笑って「俺の給料は変わらないもの」



と言うと、Naomiもおかしくて笑った。



青い空に、そろそろ夕暮れ色が写る日曜日。


レイモンは捕まったのかな(笑)




れーみぃは、RZ250に乗ったまま
家に帰った。


大きな庭に、ぽろんぽろん、と
軽快な排気音を立てて。



「ただいまあ」と、のんびりと
声を出すと、白いお家の
重厚なマホガニィのドアが開いて


ママが出て来て「そのオートバイ、どうしたの?」



れーみぃはにこにこと「借りたの。お友達に」


ママものんびりと「そぉ、でもオートバイは
危ないわ」




「乗って見たかっただけよ。アタシね、
ハイウェイパトロールになりたいの」




ママは、少し真面目な顔になって「お巡りさんなら、大学を出てからでも.....」


そう言って、気が変わるのを待つつもりなのだろう、と
れーみぃは思う。



でも、逆らう事もないから「そういう考えもあるわね」と
願書を出した事は、黙って(笑)





お庭、ではなくて

屋根のあるガレージへ
エンジンの音。


12シリンダの重厚なサウンドだ。





「ただいま」


れーみぃのパパは、貿易をしているので
オートバイにも詳しい。



「おお、ヤマハか。いいオートバイだな」と、にこにこ。



「借りて来たの」と、れーみぃはにこにこ。



そうか、とパパはにこにこし



「保険には入っているけれど、ほしかったら
自分のバイクを買った方がいいな」と、パパ。



「ずいぶん気前がいいのね」と、れーみぃは笑う。




パパは、ちょっと謎めいた微笑みで「日本のオートバイは値上がりするぞ」と。




途方に暮れている、ななの前へ


ぽん。


神様が、また現れた(笑)。


「まだ、その山高帽子ですかぁ」ななは
ちょっと怒ってたつもりだったのに


ユーモラスな神様に、微笑んでしまった。



「あ、ああ、これはな」神様は
変装の付けヒゲをつまんで。






あたりは、ひと通りの少なくなった坂道。



それもそうで、生まれた時から

物がふんだんにあって、なんでも便利に
過ごせていたら

そういう社会が、誰かの頑張りで
支えられていたなんて、知る事もなかった。



道路工事をするひとがいなければ
道路が壊れたらそのままだ。



自動車を作るひとが居なければ

宅配便も運べない。




そういう、働くひとたちは
好きで働いてた訳でもないから

働かなくてよければ、働くひとも
少なくなる。




「それでも、日本に戻ってみたいかね?」
神様はそういう。

この国に居れば、ふんわりと暮らして行けそうだし

日本に戻っても、あまりいい事はないかもしれない。



「それでも、戻ってみたいです」ななは
なんとなく、そう言ったら




ぽん(笑)




光の速さで、神様とななは
東京に戻って来た。


昼間なのに、静かなのは
人通りが少ないからだ。


「車もほとんど居ませんね」



「ガソリンが入って来ないからじゃろう」



新エネルギーのせいで、ガソリンの需要が減ったし
何より、人々は通勤しなくて済むようになったから


車に乗る事は、もっぱらレジャー。


それだけのために車を買う理由はなかった。



元々、政治家が自動車会社からお金を貰って
自動車産業を保護してきたのだけれども


政治家自体、働かなくても生きて行けるので
政治、なんて面倒なものをする必要も
なくなった
(笑)。


今、政治家をしているのは
本当に国の事を考えている人達、だと
神様は言う。



「いい事じゃな」




東京駅を歩いている人達も、皆
笑顔で表情も明るい。



仕事は好きな事だけをしても
生活の不安もない。



それまでは、がんばって働いて

会社や政治にお金を掠め取られて(笑)


いたようだったから、明るい気持ちに
なれない人達も多かった。



でも、経済が壊れる事で
人々は自由になれたのだった。



「家族連れも多いですね」





「うむ。将来の生活不安が無くなれば
自然にそうなるんじゃ」






その場限りの仕事に、安定がなかったから


人々は婚姻を控えたし、子供を産む事も避けた。



少子の原因は政治だったのである(笑)。





それが、なくなれば
自然に、婚姻も進むし



安定した気持ちなら、他人への思いやりも
生まれる。



競い合う必要もない。


争わなくてもエネルギーは無尽蔵にあるのだ。




「いい事ばかりですね」




「まあ、もともと政治家が
外国のお金儲けのためにやった事じゃから」



神様は何もしていない。



そう、実は
いままでの国家は、一部のお金儲けのために
存在していたので

お金儲けが出来なくなった
日本に興味がなくなった世界の金持ちは

日本の通貨、円を売ってドルを買ったのだが
アメリカにも、この発明が及んでいたので(笑.....


大損をした。




元々、世界の人口の1%が
資産の6割を保持しているのだから
損していいのである。






その、損した分が民衆の得になるのである。


それは本当で、通貨価値が上がった分

物が安く買えるから、貯金をしていた民衆は
生活が楽になった。



日本で言えば、1965年あたりなら
インスタントラーメンは20円くらいだった。物の価値は同じなのに、通貨価値が変動しているからである。今は70円くらいだけど
その50円は、お金儲けの好きな人に取られている訳だ。




発明には、常温超電導モータもあったから

つまりそれは、永久運動するモータ、と言う事なので

電気エネルギーはほとんど減らないと言う事だ。


これを、固定磁極に使った永久磁石発電機は

例えば、磁界遮断型の空芯コイルで設計すれば
僅かな風力でも回る発電機が作れたりするので


それらを組み合わせれは、ほとんど
日常生活でエネルギーを必要としない生活が
可能だった。


電車や自動車は常温超電導モータであれば
ほとんど電力は補給不要である。





エネルギー依存社会から、エネルギー不要社会への転換が成されたので



産業構造も変わったのは前述の通り。



働かなくても良い社会、とは言え
人間は考える生き物である。


創造的な仕事をしたがる人は増えた。
なにしろ、借金して切羽詰まる仕事などと
言うものが存在しない。


金融が無いので。


ストレスがないと人間は病気になる、などと
言うのは嘘で


自由に何でもしていい、と言う感覚は
幼児のように好きな事を考えていい、と言う
事だから

それが病気であるハズもない。



金銭や責任、租税などと言うものが
人間を束縛するので
ストレスに感じるだけである。



金銭や責任のいらない社会が
恒久エネルギー源の発明で、少なくとも
日本人には齎した訳だ。





その結果、都市社会も
崩壊して行くように、
ななと神様には見えた。





「これから、どうなるの?」



「さあ、とりあえずななちゃんの発電機からはエネルギーが湧いているから
それを必要とする人達に送れば
代わりに何か、貰えるな。」




例えば食品工場に電気を送れば

代わりに食べ物が貰える。



電気を使った分。

電力は、相場がないから
いつも安定した基準である。

損得も起こらない。



その流通を、国家がすれば良いのである。


そうして、日本が
アメリカに見放されたら、隣国に
侵略されたか?


そうはならなかった。


元々、侵略される理由は何も無い。

資源も何もない国を。


侵略されると怖がらせてアメリカの軍備に
協力させると言う、昔日本人が

満州とかでやったのと同じ嘘だったから(笑)。


そもそも、地下資源などに頼らなくとも
恒久エネルギー源があるので

どの国も、争う必要もなく


テロ国家も消滅した。


争う理由は富を得たいからで
誰にも等しく永久の資本があると言う事なら

誰も、危険など冒さない。






「ななちゃんは、どうする?」神様は
それを気にしたけれど

なな自身も、身の回りが平和になってしまうと
もう少し、のんびりしてみるかな(笑)などと

思って。



好きだった人は、他の人と一緒になってしまったし。



でも、平和な世の中になると
もっといい出会いがあるような、そんな気が
ななにはした。



せき立てられるように恋人を求めたのは
世の中が危険だったから、安心したかった。


それだけだったような気もしてきた(笑)。



人は、生きて行くために食べなくてはならないけれど

食料を輸入に頼っていた、それまでの暮らしも
例えば船舶輸送も、太陽電池パネルを備えた
超電導モータの船による輸送なら
燃料代は全く掛からないので
劇的なコストダウンが成された。



ななが見回してみても、駅前によくある
ハンバーガーショップなども
変わらずにあるが


ただ、人の数が少ない。




会社勤めをして働かなくても
十分に暮らして行けるからである。




「不思議だ」と、ななは思いを語る。




とりあえず家に行ってみようか、と

駅から電車に乗ろうと思った。


出札は、以前のようにICカードだけれども
金額ではなく、W単位なのが少し変に思えたが(笑)



電車も電気で動いているので、よく
考えると普通だ(笑)。



おまけに超電導なので、ほとんど
電力を消費はしない。

架線は一応張ってあるが、駅を離れると

電車はパンタグラフを架線から離してしまう。


一旦動けば必要ないのである。



それまでの電車のように、インバータの
音楽のような響きも何もない。


超電導モータはトルクが大きく、ほとんど無音である。


抵抗がゼロなので、とてもコンパクトな
モータが、車輪毎に取り付けられている。

常温超電導なので、物々しい冷却装置も
不要だ。



車輪とレールの滑る音だけが聞こえる
不思議な電車である。



乗っている乗客はと言えば、どこかへ
遊びに行く人か、帰る人。



どの人も楽しそうだ。


家に戻ったななを
優しく迎える両親は

ななの記憶に無かったようで
別人かと思ったくらいに良い人々(笑)


「どうかしちゃったの?」とななが言うと



「そりゃさ、今まで何かと忙しいし
会社に行けば嫌な事も多いし
」と、両親は
口を揃えてそう言う。



つまり、貨幣なんてもののために
人を思いやる気持ちすら持てないくらい

心にゆとりがなくなってしまう。




つまり、その分を資本家が搾取している(笑)。


その資本家の為に政治があったから

搾取を認めていたので



人類の1%が資産の70%を持つと言う
異常な事になって
経済が停滞してしまった。



その構造を、発明は壊したので

ななの両親のように、普通の人々に幸せが齎された。



資産家たちが不幸になる訳でもないから
それでいいのだ。




人々は広い土地を求めて
自然の中に住んでも


もう、会社なんて物に
通う必要もないから


自由に、豊かに暮らせる。


それが、思いやりを思い出させる事になり

人々を優しくする。
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