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25. 追い出すべき時 Sideポール
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【Side ポール】
(なぜマティアがメイド服……?)
混乱しながら、ポールはマティアに大股で近づく。突然厨房に入ってきた皇太子ポールに皆が戸惑っているが、それどころではない。
「そこでなにしているんだ!まてぃ……。」
「名前を呼ばないでください!」
ポールの言葉を遮り、マティアが立ち上がった。マティアは手に持ったサンドイッチを慎重に包む。
「ここでは目立ちます。私は……知られたくないのです。」
小さい声でささやいたマティアは、ポールにカフェテリアを出るように促した。
(可愛い‥‥‥)
マティアは髪をひとまとめにし、眼鏡をかけている。普段の高貴な感じとはうって変わって、昔のマティアのような親しみやすさがある。
メイドや城の従者たちが食事をとるカフェテリアから少し歩く。人通りがなくなったところで、マティアはポールに向き直った。
「なぜそんな恰好をしているんだ?」
「私、メイドを付けないことにしたの。聞いた?」
「ああ。」
「メイドなしで生活するんだもの。できる限り私がドントールの王女だということを隠したいのよ。」
マティアは小さく微笑みを浮かべた。
(どうやってマティアを説得したらいいんだろう?)
ポールはマティアに、今すぐにリックストン国を出て行ってほしい。だが、彼女にみすぼらしい思いもしてほしくない。
生粋のお嬢様育ちのマティアがメイド無しで暮らしていけるはずがない。
(だが僕は……マティアに優しさを向けるわけにはいかない。)
「君は形式上……皇太子の妻だ。メイドもつけずに、みすぼらしい姿をさらす気か?」
「だいじょうぶよ。貴方に恥をかかせるつもりはないわ。」
マティアは胸を張る。
(なんでそんなに頑固なんだ!)
「メイドたちから職を取り上げるのか……?」
「そんなつもりはないわ。上手く、彼女たちに仕事を割り振ってあげて?ドントール王女のメイド、だなんていう最悪の職場じゃなくてね。」
マティアは笑顔でポールを見つめた。ここに来るまでに、噂は耳に入っているだろう。
この城は彼女の敵ばかりだと、身に染みてわかったはずだ。それなのに、マティアの雰囲気は昨日より明るい。
「彼女たちは仕事だ。君が気にすることではない。」
「敵国王女のお世話係になったら、虐められるわ。私は大丈夫。メイドがいなくてもやっていけるわ。ね?テオ」
話を振られたテオは、ゆっくりとサンドイッチを口に頬張ってから、大きく頷く。
「まぁ、大丈夫だろ。この城は人が多い。メイド一人増えたってばれないみたいだしな。」
(マティアにメイド服を着せたのは、お前か!テオ)
「勝手にしろ……その代わり、今後泣きついてきても知らないからな。」
「わかったわ。認めてくれてありがとう。」
帰り際、ポールはテオの耳元で囁く。
「マティア……ずいぶん元気になったんだな。」
昨日の様子では、もう限界は近そうだった。すぐにドントール国に帰るだろうと思っていたのだが……今日はすっかり元気に戻っている。
「そうか?まだ空元気だと思うぞ。」
とぼけた表情で、テオが答える。
(お前はいつもそうだよ……)
テオの隣でサンドイッチをほおばるマティアは、笑顔だった。その事実に、ポールはひどく腹が立つ。
(僕がどれだけ必死で、マティアを傷つけたと思っているんだ……)
テオに協力を頼んだのは、失敗だったかもしれない。このままでは本当に、戦いが始まるまで、マティアはリックストン国に残ってしまう。
テオがいれば、マティアは元気になってしまう。
「また……考え事か?」
テオが、ポールの顔を覗き込む。
「いや……。」
テオは、マティアの心の防波堤。
(テオがいる限り……マティアをリックストンから逃がせない?)
テオをリックストンから追い出すべきなのだろうか。ポールにはまだ、その答えが出ない。
(なぜマティアがメイド服……?)
混乱しながら、ポールはマティアに大股で近づく。突然厨房に入ってきた皇太子ポールに皆が戸惑っているが、それどころではない。
「そこでなにしているんだ!まてぃ……。」
「名前を呼ばないでください!」
ポールの言葉を遮り、マティアが立ち上がった。マティアは手に持ったサンドイッチを慎重に包む。
「ここでは目立ちます。私は……知られたくないのです。」
小さい声でささやいたマティアは、ポールにカフェテリアを出るように促した。
(可愛い‥‥‥)
マティアは髪をひとまとめにし、眼鏡をかけている。普段の高貴な感じとはうって変わって、昔のマティアのような親しみやすさがある。
メイドや城の従者たちが食事をとるカフェテリアから少し歩く。人通りがなくなったところで、マティアはポールに向き直った。
「なぜそんな恰好をしているんだ?」
「私、メイドを付けないことにしたの。聞いた?」
「ああ。」
「メイドなしで生活するんだもの。できる限り私がドントールの王女だということを隠したいのよ。」
マティアは小さく微笑みを浮かべた。
(どうやってマティアを説得したらいいんだろう?)
ポールはマティアに、今すぐにリックストン国を出て行ってほしい。だが、彼女にみすぼらしい思いもしてほしくない。
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(だが僕は……マティアに優しさを向けるわけにはいかない。)
「君は形式上……皇太子の妻だ。メイドもつけずに、みすぼらしい姿をさらす気か?」
「だいじょうぶよ。貴方に恥をかかせるつもりはないわ。」
マティアは胸を張る。
(なんでそんなに頑固なんだ!)
「メイドたちから職を取り上げるのか……?」
「そんなつもりはないわ。上手く、彼女たちに仕事を割り振ってあげて?ドントール王女のメイド、だなんていう最悪の職場じゃなくてね。」
マティアは笑顔でポールを見つめた。ここに来るまでに、噂は耳に入っているだろう。
この城は彼女の敵ばかりだと、身に染みてわかったはずだ。それなのに、マティアの雰囲気は昨日より明るい。
「彼女たちは仕事だ。君が気にすることではない。」
「敵国王女のお世話係になったら、虐められるわ。私は大丈夫。メイドがいなくてもやっていけるわ。ね?テオ」
話を振られたテオは、ゆっくりとサンドイッチを口に頬張ってから、大きく頷く。
「まぁ、大丈夫だろ。この城は人が多い。メイド一人増えたってばれないみたいだしな。」
(マティアにメイド服を着せたのは、お前か!テオ)
「勝手にしろ……その代わり、今後泣きついてきても知らないからな。」
「わかったわ。認めてくれてありがとう。」
帰り際、ポールはテオの耳元で囁く。
「マティア……ずいぶん元気になったんだな。」
昨日の様子では、もう限界は近そうだった。すぐにドントール国に帰るだろうと思っていたのだが……今日はすっかり元気に戻っている。
「そうか?まだ空元気だと思うぞ。」
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(お前はいつもそうだよ……)
テオの隣でサンドイッチをほおばるマティアは、笑顔だった。その事実に、ポールはひどく腹が立つ。
(僕がどれだけ必死で、マティアを傷つけたと思っているんだ……)
テオに協力を頼んだのは、失敗だったかもしれない。このままでは本当に、戦いが始まるまで、マティアはリックストン国に残ってしまう。
テオがいれば、マティアは元気になってしまう。
「また……考え事か?」
テオが、ポールの顔を覗き込む。
「いや……。」
テオは、マティアの心の防波堤。
(テオがいる限り……マティアをリックストンから逃がせない?)
テオをリックストンから追い出すべきなのだろうか。ポールにはまだ、その答えが出ない。
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