【短編】婚約破棄した元婚約者の恋人が招いていないのにダンスパーティーに来ました。

五月ふう

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ふざけるんじゃないわよ!

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「ふざけるんじゃないわよ!!


 私が、 

 レンを許して


 もう一回婚約するなんて、


 ありえないわ!」

 


私、アイナは、

ユーリを相手に

元婚約者であるレンへの愚痴を

ぶちまけていた。




ユーリはにこにこと笑っている。



「そうですよね。


 アイナ様が、


 レンを相手にする必要は

 無いのです。」



婚約破棄してからも、

面倒なことが沢山あったし、


これでもかもいうほど

レンの悪い部分が見えた。



またレンの婚約者になるなんて、

死んでもごめんだ。



ユーリに愚痴を言ったら、

少しずつ胸がすっきりしてきた。


すすっと、

紅茶を飲む。



ユーリ

いつもありがとう。


二人の間に、

ゆったりとした

空気が流れた。



ユーリが、私の目を見つめた。



「アイナ様、今度、、」


ユーリが何か言いかけたその時




「お嬢様。



 王様からの使者が、


 貴賓室にいらっしゃっています。」



いつの間にか部屋に入ってきていた

メイドの一人が言った。



「王様?」


王様は、レンの父親である。


なんか、

嫌な予感がする、、、。


------------------------------------





「王様からの用事は


 何だったんですか?」


私が貴賓室から戻ると、

ユーリが心配そうに訪ねてきた。





「来週、隣国のナツリン国から


 王妃様がいらっしゃるんですって。」




「ナツリン国の

 王妃様。



 確かアイナ様は

 王妃様と親しくされていますよね。」




そうなのだ。

ナツリン国のカナ様は

大の仲良しだ。



ナツリン国は、

この国と話す言語が全く異なる。


そのため、この国の王族は

通訳を介して

ナツリン人とコンタクトをとる。



だが私は

小さい頃からナツリン語を勉強していて、


流暢に話すことができた。




「レンの婚約者のふりをしたままで、


 パーティに出てほしいと、


 王様は仰ってるらしいわ。」




もう、ほんとに

勘弁してほしいんだけど。




確かに今までは、

私がナツリン語を話せるおかげて、


親しく交流することができている。




その利益を手放したくないのだろう。




「そうですか、、」



王様の言うことだからか、

ユーリにいつものような軽口はない。



私はにっこりと笑ってみせた。



「だいじょうぶよぉ。



 せっかくだもの。


 王妃様も巻き込んで


 レンに仕返ししてやるわ。




 だって彼は


 ナツリン語が全く



 わからないのよ?」

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