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8.騙すだけのはずが愛していた
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城から自分の家に戻ったアリアは、一人の男を呼び出していた。青い目のその男は眠そうな目で、ソファーに腰かけていた。
「なんの用ですか?お嬢様。」
「いらっしゃい、詐欺師のルカ。貴方にしてほしいことがあるの。」
アリアの言葉に無表情で頷いたのは、ルカ・ザイラス。
「詐欺師・・・ね。あんたに命令されているだけですけどね。」
自傷気味に笑って、アリアを見上げる。
ルカ・ザイラスは2年前から、アリアの手先として犯罪組織で働いている。
彼がココの友人としてふるまっているのは、そうするようにアリアに命令されたから。高級レストランでの会話もすべてステフが勘違いするように計算されたものだった。
「ふん。あんたの死にかけの妹の薬代はどこから出ていると思っているの?」
ルカの両親は、流行り病でもうすでに亡くなっている。それはココの両親の命を奪った病と同じもの。唯一残された家族である妹もはやり病で苦しんでいた。ルカは彼女を救うため・・・人を騙してお金を稼いでいる。
「・・・さっさと用件を言ってください。」
だがルカは・・・ココを傷つけたくはなかった。ステフに言った言葉にだけは、本心が混じっている。
「ココを隣国セブンリの商人に売り飛ばすわ。あの女をセブンリに行くように誘導しなさい。」
アリア・ボストールの父ボストール伯爵は、ミラント王国の有力貴族だが、彼は闇取引で利益を得ていた。
―――まさか人身売買にまで手をだしていたとはな。
ルカはぎゅっと拳を握り締めた。アリアに目を付けられ、ボストール家から依頼を請け負うようになって2年が経つが、その内容はどんどん激しさを増していた。
「売り飛ばす・・・ココはどうなるんですか?」
「あんたは知らなくていい事よ。なぁに・・・あの女に情が移ったわけ・・・?」
アリアは恐ろしい顔でルカを睨みつけた。
―――なぜココを好きになってしまったんだろう。
ココは最初から、依頼のターゲットに過ぎなかった。いつかきっと彼女を騙さなくてはいけない時が来ると最初からわかっていたはずなのに。
「・・・いいえ。」
「当然よね・・・。あんな醜い女を・・・。ああ・・・早くあの女の苦しむ顔が見たいわ。」
アリアは机の上の本を叩きつけながら、叫んだ。
「いつもすました顔をして・・憎たらしいったら!!」
確かに、ココはいつも堂々としている。まっすぐ前を向き胸を張って歩いている。綺麗に伸びる黒髪を耳にかけ、火傷の痕を隠そうとしない。
皆そんな彼女に憧れていた。
「・・・ココをセブンリに連れていけばいいんですよね。」
「ええ。また準備が整ったら連絡するわ。」
アリアの家を出たルカは空を見上げて思う。
―――俺にはココを好きでいる資格がない
◇◇◇
「なんの用ですか?お嬢様。」
「いらっしゃい、詐欺師のルカ。貴方にしてほしいことがあるの。」
アリアの言葉に無表情で頷いたのは、ルカ・ザイラス。
「詐欺師・・・ね。あんたに命令されているだけですけどね。」
自傷気味に笑って、アリアを見上げる。
ルカ・ザイラスは2年前から、アリアの手先として犯罪組織で働いている。
彼がココの友人としてふるまっているのは、そうするようにアリアに命令されたから。高級レストランでの会話もすべてステフが勘違いするように計算されたものだった。
「ふん。あんたの死にかけの妹の薬代はどこから出ていると思っているの?」
ルカの両親は、流行り病でもうすでに亡くなっている。それはココの両親の命を奪った病と同じもの。唯一残された家族である妹もはやり病で苦しんでいた。ルカは彼女を救うため・・・人を騙してお金を稼いでいる。
「・・・さっさと用件を言ってください。」
だがルカは・・・ココを傷つけたくはなかった。ステフに言った言葉にだけは、本心が混じっている。
「ココを隣国セブンリの商人に売り飛ばすわ。あの女をセブンリに行くように誘導しなさい。」
アリア・ボストールの父ボストール伯爵は、ミラント王国の有力貴族だが、彼は闇取引で利益を得ていた。
―――まさか人身売買にまで手をだしていたとはな。
ルカはぎゅっと拳を握り締めた。アリアに目を付けられ、ボストール家から依頼を請け負うようになって2年が経つが、その内容はどんどん激しさを増していた。
「売り飛ばす・・・ココはどうなるんですか?」
「あんたは知らなくていい事よ。なぁに・・・あの女に情が移ったわけ・・・?」
アリアは恐ろしい顔でルカを睨みつけた。
―――なぜココを好きになってしまったんだろう。
ココは最初から、依頼のターゲットに過ぎなかった。いつかきっと彼女を騙さなくてはいけない時が来ると最初からわかっていたはずなのに。
「・・・いいえ。」
「当然よね・・・。あんな醜い女を・・・。ああ・・・早くあの女の苦しむ顔が見たいわ。」
アリアは机の上の本を叩きつけながら、叫んだ。
「いつもすました顔をして・・憎たらしいったら!!」
確かに、ココはいつも堂々としている。まっすぐ前を向き胸を張って歩いている。綺麗に伸びる黒髪を耳にかけ、火傷の痕を隠そうとしない。
皆そんな彼女に憧れていた。
「・・・ココをセブンリに連れていけばいいんですよね。」
「ええ。また準備が整ったら連絡するわ。」
アリアの家を出たルカは空を見上げて思う。
―――俺にはココを好きでいる資格がない
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