【完結】好きな人ができたら婚約破棄しよう。それは王子様と公爵令嬢が結んだ約束でした。一人ぼっちの公爵令嬢は今日も王子様を待っています

五月ふう

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17.君のことばかり考えていた

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―――君を奪っていくのが誰でも・・・苦しいよ、ココ

「嬉しいよ。彼ならきっと、ココのことを幸せにしてくれる。」

ステフは、かすかに触れる指先に目をやった。ココに触れられるときは、もう二度とないだろう。

「ルカのことを知っているの?」

「一度だけ、話をしたことがあるんだ。」

ココは心配そうにステフに尋ねる。

「何を話したの?」

「秘密だよ。」

ココは何か言いたげな顔をしていたが、それ以上追及してこなかった。

「ステフの好きな人は・・・アリア?」

ステフの顔を覗き込んで、ココが尋ねた。

―――僕の好きな人は君だよ。ココ。

「いいや。」

ステフは笑って首を振る。

「教えてよ。」

いくら可愛い顔で頼まれても、それだけは教えるわけにはいかなかった。

「ダメだよ。」

ステフはそっとココの頭の上に乗ったバラの花びらを手にとる。

「セブンリに行っても、元気でな。ココの夢を応援しているよ。」

”薬で、誰かを救いたい。あんな悲しい思いをする人が少しでも減らせるように努力したい”

どんなに苦しいことがあってもまっすぐに前を見続けたココ。

ココなら、きっと夢をかなえられるとステフは信じていた。

―――ココの夢を一番傍で応援していたかったけれど、きっとそれはルカの役目なんだろう。

「ありがとう。」

照れくさそうに、ココは髪を耳にかけた。ココの額にある火傷の痕があらわになる。彼女は火傷の痕を隠そうとはしない。いつも堂々と、自然にふるまっている。

ステフは火傷の痕にそっと触れた。

「ココ・・・君は本当に美しいよ。」

ステフの言葉に、ココは泣きそうな顔をした。

「こんなに火傷の痕があるのに?」

「その火傷の痕は、君の優しさの証だ。」

ココの火傷の痕を見ると、彼女に対する罪悪感が湧いてくる。だがそれと同時に、どうしようもない愛しさがこみあげてくるのだ。

これは最後のデートだとココは言ったけれど、これは最初のデートでもある。

―――今だけは、僕の婚約者だから。

ステフは心の中でそう言い訳をして、ココを抱きしめた。

「え・・・。」

ステフの腕の中で、固まっているココ。ステフは彼女の耳元でささやいた。

「この十年間ずっと、ココは俺の太陽だった。ずっとココのことばかり考えていた。」

「どういう・・・こと?」

ココの質問には答えず、ステフは立ち上がる。

「夢を追っておいで。ココ。僕はいつでも君の味方だ。」

その場に座りこむココに背を向けて、ステフはその場を後にした。





    ◇◇◇



「そんなのずるいよ、ステフ・・・。好きって言ってよ・・・・。」

ステフが去った後、ココが泣き崩れていたことをステフは知らない。



    ◇◇◇


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