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下 貴方がいない未来なら。
しおりを挟む「いたぞーーー!!!
追いかけろ!!」
アイザイアとラーニャの姿を捉えた
フロイド国の兵が叫んだ。
テドス国の関所まで、
あと3キロに迫っていた。
土埃が舞う一本通路。
ラーニャにも、
後ろに小さく
フロイド兵の姿が見えた。
おそらく、
10人程の騎馬隊だ。
アイザイア、ラーニャと
フロイド兵の距離は約500メートルだ。
向こうの馬のほうが、
足が速い。
「アイザイアッ。」
私はアイザイアの体を
ぎゅっと掴んだ。
「だいじょうぶ、
だいじょうぶだから。」
そういうアイザイアの顔には、
いつものような余裕はない。
夜どうし馬を走らせていて、
二人が乗る馬は
消耗していた。
あと、少しだったのに、、、!
「ラーニャ、よく聞いて、、。
このまま走っていたら、
奴らに追いつかれてしまうだろう。
それだけじゃない、
馬を攻撃されたら、
落馬の危機がある。
わかるね?」
アイザイアは
私に淡々と言った。
落馬なんてしたら、
私の赤ちゃんが、危ない、、。
話している間にも、
フロイド兵の姿は
近づいて来ていた。
「もう少し行ったところに、
視界の悪い場所がある。
僕はそこで君を
降ろす。
僕が奴らと戦っている間に、
なんとか君は、
関所までたどり着くんだ。」
「そんなっ。
でも、アイザイア。
貴方はどうなるの??」
アイザイアはふっと、
笑った。
「ラーニャ、
君のために死ねるなら、
俺は本望だよ。
さぁ、そろそろだ。
止めるよ。」
アイザイアは馬を止め、
ラーニャを馬からおろした。
「さあ、逃げろ!
ラーニャ!」
兵の姿は、
もうすぐ近くに迫っていた。
私は膨らんだお腹に
手を当てて走りだした。
アイザイアは
その場に足を止め、
剣を抜くと
道に立ちふさがった。
「ラーニャだ!!
おえーーー!!」
兵の叫び声が聞こえる。
「ここを通すわけには、いかない!!」
アイザイアが戦っている。
「アイザイア!!
一緒に逃げよう!!
ねぇ!!」
走りながら、
私は叫ぶ。
アイザイアは
答えない。
「逃げろ、ラーニャ!!」
ねぇ、
貴方まで失ったら
私には、
何も残らないわ。
私は
足を止めた。
「フロイド兵!
聞きなさい!!」
私は振り返って叫んだ。
そこには、
血まみれで戦うアイザイアの姿がある。
アイザイアが、死んでしまう。
「戦いをやめなさい!!
アイザイアを傷つけるのは
やめて!!
貴方たちのねらいは、
私でしょう!」
私はその場に立ち止まって
フロイド兵を睨んだ。
「私なら、大人しく捕まるから!!
だからお願い!!
アイザイアを傷つけないで!!
アイザイアも、戦いをやめて!!」
「剣を下ろし、
ラーニャを捕まえろ!!」
フロイド側のリーダが、
命じ、
場は一旦膠着した。
アイザイアは
私の側に駆け寄り
剣を構える。
私とアイザイアはフロイド兵によって
取り囲まれた。
もはや、
ここまでね。
死ぬなら、
アイザイアと一緒がいいわ。
そう思った時、
「ラーニャーー!!!
アイザイアーー!!」
懐かしい声が、
私達の名を呼んだ。
「サイラス!!」
向こう側からやってきたのは、
大勢のテドス軍。
その戦闘に立つは、
元婚約者であり
テドス国王子サイラスだった。
「待たせた!」
「おせぇよ、、」
アイザイアは
そう呟き、
その場にバタリと倒れた。
「アイザイア!!」
駆けつけた
テドス軍によって
私達は無事、救出された。
アイザイアは
全身に大怪我を負ったものの、
致命傷を負ってはおらず
一命を取り留めた。
------------------------------------
おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ!!
その三ヶ月後、
元気な産声と共に
可愛い赤ちゃんが誕生した。
私は、
小さな赤ちゃんを胸に抱いた。
今は亡き、
リンドルの子供。
「可愛いなぁ。」
ずっと、
付き添ってくれていたアイザイアが
赤ちゃんを見つめて
にっこりと笑った。
アイザイアは
未だ、
松葉杖をついている。
私は、
右手で涙を拭った。
「貴女のおかげよ。
アイザイア。」
これから先、どんなことがあるか
分からないけど、
きっと、この子が
私達の希望になるだろう。
--------------------------------------
そして、
さらにその半年後。
よく晴れた夏の日。
私はウェデングドレスを着て
赤ちゃんを抱いていた。
音楽と共に教会の扉が開く。
向こうには、
タキシードを着たアイザイアが
立っている。
私は大きな笑みを浮かべる。
ねぇ。
アイザイア。
貴女の妻になる運命だったのなら、
どんな苦しい記憶も
価値があったって思えるわ。
「愛してるわよ。
アイザイア。」
------------------------------------
その後、
フロイド国とテドス国の戦争が
再び始まった。
テドス国は
最新兵器を用いてフロイド国を
圧倒し
長きにわたる戦争は
テドス国の勝利となった。
その戦争の中でライヤルは
命を落としたと聞く。
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