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中 貴方が兄を殺したんでしょう?
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「リンドル!!
リンドル!!」
リンドルのお葬式。
私は膨らんだお腹を抱えて、
泣き叫んでいた。
「貴方がいなくなったら、
私はこの国で、
どうやって生きていったらいいの?!」
私がどんなに呼びかけても、
リンドルは目を開けてくれない。
泣き叫ぶ私を、
フロイド国の王族は
冷たい目で見ている。
「貴方が、
リンドル兄様を
殺したのではないですか?」
後ろから、
声がした。
振り返るとそこに立ってのは、
リンドルの弟のライヤルだ。
「私が、リンドルを殺したですって?!
そんなわけないでしょう?!
お腹の子の父親を
なぜ私が殺さなくてはならないの?!」
ライヤルは
私を睨みつけて言った。
「この国を乗っ取るために、
貴方は私の兄を殺したんだ!!」
「そんなわけ
ないでしょう!!
この無礼者!!
恥を知りなさい!!」
私は大声で怒鳴りつけた。
大勢のフロイド人が、
私を睨みつけていた。
「ラーニャ。落ち着け。」
護衛のアイザイアが
私の側によって、
肩を抱いた。
「アイザイア!!
この男が!!
私に!!」
言葉にならずに
私は泣き崩れた。
アイザイアは、
私の背を擦る。
それから膝を抱えて、
私を抱き上げた。
「このままでは
お腹の子に良くないよ。
ラーニャ。」
優しい口調でアイザイアは
そう言った。
「でもっ!!」
「一度休もう、ラーニャ。」
そう言って、
アイザイアは
ライヤルに一礼すると
その場を去った。
「お前がリンドルを殺したんだ!!」
後ろから、
ライヤルの声がする。
------------------------------------
数日後。
「なぜなの、、?」
リンドルの葬式後、
宮中には
私がリンドルを殺したという噂が
流れていた。
葬儀の日以来、
私は自室に閉じこもっている。
寒くもないのに、
体が震える。
耳鳴りが止まらず、
頭はずっとズキズキと痛かった。
気持ちを、落ち着けなければ。
私は従者に出された
お茶を飲もうと
コップに手をのばした。
「ラーニャ待って!」
アイザイアが私を制した。
「僕が先に、
毒見をするから。」
そう言って、
私からお茶を受け取ったアイザイアは、
お茶の匂いを嗅み、
手の甲にお茶を1滴垂らすと
ペロリと、なめた。
すぐに、
そのお茶を口から吐き出す。
「どうしたの?アイザイア、、、。」
アイザイアは顔を顰めた。
「このお茶、毒が入ってる、、。」
「嘘、、、、。」
ねぇ、神様、
私、
殺されるほど
悪いことをしましたか、、?
私は目の前が
真っ白になるのを感じ
そのまま、
バタリと倒れ込んだ。
「ラーニャ!!
ラーニャ!!」
アイザイアが
私の名前を叫んでいるのが
うっすら聞こえる。
ねぇ、アイザイア。
私、もう、
だめかもしれないや、、。
--------------------------------------
「なんとしても、
ラーニャを助けるんだ。」
アイザイアは、
自分を奮い立たせるように
そう呟いた。
気を失ったラーニャの頬を
アイザイアは優しく撫でる。
フロイド国は、
ラーニャをリンドルを殺した犯人に
仕立てあげようとしていた。
来週にもラーニャの
処刑が宣告されるらしいと、
近衛兵が噂していた。
この調子では、もしかしたら、
その前に暗殺されてしまうかもしれない。
「逃げるぞ、、。
ラニーニャ。」
アイザイアは、
眠るラーニャを毛布で包み、
大きな箱の中に入れた。
なるべく、慎重に運ぶからな、
ラニーニャ。
パタリと、箱の蓋をしめる。
中からでも息ができるよう、
特殊細工をした箱だ。
アイザイアは
慎重に箱を持ち上げると、
裏口のドアを開けた。
ラーニャを連れて逃げるときの
シュミレーションは、
何度も行ってきた。
自分の他に、
頼れる人間などいない。
失敗は許されない。
アイザイアは
ふぅ、と大きく息を吸った。
アイザイアが、
10年前に誓ったのは
国を守ることじゃない。
絶対に、
ラーニャを守ると
あの日のアイザイアは
誓ったのだった。
------------------------------------
「ラーニャがいなくなったぞ!!」
アイザイアが
ラーニャを連れて城から脱出した
二時間後。
異変に気がついた近衛兵が、
叫んだ。
「なんだと?!」
空の部屋を見て、
ライヤルは爪を噛んだ。
「ちっ。
しっかり見張らせて
おくべきだったか!!
妊婦だからと油断した、、。」
ライヤルは
すぐに振り返り、
フロイド国の兵に命令した。
「ラーニャを探せ!!
あいつは、
リンドル兄上を殺した罪人だ!!
絶対に逃してはならんぞ!!」
「はっ!!!」
ライヤルは、
目を細めた。
せっかく兄上を始末したというのに、
その子供がいては面倒だ、
ライヤルは心のなかで呟く。
ライヤルこそが、
リンドルを殺した張本人だった。
------------------------------------
城下町から少し離れた
一軒の小屋。
ここにはいざと言うときのために、
必要なものを隠していた。
アイザイアは
ラーニャが入った箱を
ゆっくりとおろして、蓋を開けた。
ラーニャは
青白い顔で目を閉じたままだ。
腰をおろして、
すぅ、すぅ、
と小さく息をしているのを
確認する。
アイザイアは、
カバンを背負い、
懐に銃を忍ばせた。
裏手には、
馬を繋いでいた。
乗馬は
妊婦には体の負担が大きいし、
大きなリスクを伴う。
だが、
フロイド兵に追いつかれる前に
一気に国境を超えるには、
馬で走るしか道は無い。
アイザイアは、
ラーニャを抱きかかえて、
馬に乗った。
「ん、、、
ここはどこ、、?
アイザイア、、?」
振動で、
ラーニャが目を覚ました。
「逃げるんだよ、
ラーニャ。」
できる限り、
優しく、アイザイアは言った。
ラーニャはただ
力なくコクリと頷いた。
------------------------------------
リンドル!!」
リンドルのお葬式。
私は膨らんだお腹を抱えて、
泣き叫んでいた。
「貴方がいなくなったら、
私はこの国で、
どうやって生きていったらいいの?!」
私がどんなに呼びかけても、
リンドルは目を開けてくれない。
泣き叫ぶ私を、
フロイド国の王族は
冷たい目で見ている。
「貴方が、
リンドル兄様を
殺したのではないですか?」
後ろから、
声がした。
振り返るとそこに立ってのは、
リンドルの弟のライヤルだ。
「私が、リンドルを殺したですって?!
そんなわけないでしょう?!
お腹の子の父親を
なぜ私が殺さなくてはならないの?!」
ライヤルは
私を睨みつけて言った。
「この国を乗っ取るために、
貴方は私の兄を殺したんだ!!」
「そんなわけ
ないでしょう!!
この無礼者!!
恥を知りなさい!!」
私は大声で怒鳴りつけた。
大勢のフロイド人が、
私を睨みつけていた。
「ラーニャ。落ち着け。」
護衛のアイザイアが
私の側によって、
肩を抱いた。
「アイザイア!!
この男が!!
私に!!」
言葉にならずに
私は泣き崩れた。
アイザイアは、
私の背を擦る。
それから膝を抱えて、
私を抱き上げた。
「このままでは
お腹の子に良くないよ。
ラーニャ。」
優しい口調でアイザイアは
そう言った。
「でもっ!!」
「一度休もう、ラーニャ。」
そう言って、
アイザイアは
ライヤルに一礼すると
その場を去った。
「お前がリンドルを殺したんだ!!」
後ろから、
ライヤルの声がする。
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数日後。
「なぜなの、、?」
リンドルの葬式後、
宮中には
私がリンドルを殺したという噂が
流れていた。
葬儀の日以来、
私は自室に閉じこもっている。
寒くもないのに、
体が震える。
耳鳴りが止まらず、
頭はずっとズキズキと痛かった。
気持ちを、落ち着けなければ。
私は従者に出された
お茶を飲もうと
コップに手をのばした。
「ラーニャ待って!」
アイザイアが私を制した。
「僕が先に、
毒見をするから。」
そう言って、
私からお茶を受け取ったアイザイアは、
お茶の匂いを嗅み、
手の甲にお茶を1滴垂らすと
ペロリと、なめた。
すぐに、
そのお茶を口から吐き出す。
「どうしたの?アイザイア、、、。」
アイザイアは顔を顰めた。
「このお茶、毒が入ってる、、。」
「嘘、、、、。」
ねぇ、神様、
私、
殺されるほど
悪いことをしましたか、、?
私は目の前が
真っ白になるのを感じ
そのまま、
バタリと倒れ込んだ。
「ラーニャ!!
ラーニャ!!」
アイザイアが
私の名前を叫んでいるのが
うっすら聞こえる。
ねぇ、アイザイア。
私、もう、
だめかもしれないや、、。
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「なんとしても、
ラーニャを助けるんだ。」
アイザイアは、
自分を奮い立たせるように
そう呟いた。
気を失ったラーニャの頬を
アイザイアは優しく撫でる。
フロイド国は、
ラーニャをリンドルを殺した犯人に
仕立てあげようとしていた。
来週にもラーニャの
処刑が宣告されるらしいと、
近衛兵が噂していた。
この調子では、もしかしたら、
その前に暗殺されてしまうかもしれない。
「逃げるぞ、、。
ラニーニャ。」
アイザイアは、
眠るラーニャを毛布で包み、
大きな箱の中に入れた。
なるべく、慎重に運ぶからな、
ラニーニャ。
パタリと、箱の蓋をしめる。
中からでも息ができるよう、
特殊細工をした箱だ。
アイザイアは
慎重に箱を持ち上げると、
裏口のドアを開けた。
ラーニャを連れて逃げるときの
シュミレーションは、
何度も行ってきた。
自分の他に、
頼れる人間などいない。
失敗は許されない。
アイザイアは
ふぅ、と大きく息を吸った。
アイザイアが、
10年前に誓ったのは
国を守ることじゃない。
絶対に、
ラーニャを守ると
あの日のアイザイアは
誓ったのだった。
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「ラーニャがいなくなったぞ!!」
アイザイアが
ラーニャを連れて城から脱出した
二時間後。
異変に気がついた近衛兵が、
叫んだ。
「なんだと?!」
空の部屋を見て、
ライヤルは爪を噛んだ。
「ちっ。
しっかり見張らせて
おくべきだったか!!
妊婦だからと油断した、、。」
ライヤルは
すぐに振り返り、
フロイド国の兵に命令した。
「ラーニャを探せ!!
あいつは、
リンドル兄上を殺した罪人だ!!
絶対に逃してはならんぞ!!」
「はっ!!!」
ライヤルは、
目を細めた。
せっかく兄上を始末したというのに、
その子供がいては面倒だ、
ライヤルは心のなかで呟く。
ライヤルこそが、
リンドルを殺した張本人だった。
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城下町から少し離れた
一軒の小屋。
ここにはいざと言うときのために、
必要なものを隠していた。
アイザイアは
ラーニャが入った箱を
ゆっくりとおろして、蓋を開けた。
ラーニャは
青白い顔で目を閉じたままだ。
腰をおろして、
すぅ、すぅ、
と小さく息をしているのを
確認する。
アイザイアは、
カバンを背負い、
懐に銃を忍ばせた。
裏手には、
馬を繋いでいた。
乗馬は
妊婦には体の負担が大きいし、
大きなリスクを伴う。
だが、
フロイド兵に追いつかれる前に
一気に国境を超えるには、
馬で走るしか道は無い。
アイザイアは、
ラーニャを抱きかかえて、
馬に乗った。
「ん、、、
ここはどこ、、?
アイザイア、、?」
振動で、
ラーニャが目を覚ました。
「逃げるんだよ、
ラーニャ。」
できる限り、
優しく、アイザイアは言った。
ラーニャはただ
力なくコクリと頷いた。
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