【完結】婚約破棄した元婚約者の愛人に訴えられました。元婚約者には私以外に愛する人がいたようです。

五月ふう

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僕の秘書になってくれませんか?

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次の日も、アイリさんと一緒に山を登りました。初日より体は疲れていましたが、心は不思議と昨日より軽いように感じました。

山を登って5合目の場所には、トット国とサルティ国の国境があります。国境付近で、2つの集団が激しく言い争っています。

「喧嘩か?暫く通れなさそうだな。」

アイリさんは不安そうに争い事を見つめました。

私達を含めた数組の登山客は言い争いを少し離れて見ていました。ちょうど関所で言い争いが行われています。それが解決しなければ、私達は前に進めません。

「ドード、ブロザウェ!アームバリアドントハバタイフォ ユガイ!」

(この道を避けろ!私は急いでいる。お前たちに構っている時間はないんだ。)

言い争いをしている集団のリーダーらしき男が叫びました。サルティ国の言語ではなく、トット国の言語です。()の中は私が翻訳した内容です。身なりから考えるに、恐らくトット国貴族の方でしょう。10名ほどの部下を連れています。

「こじょ、せふ ふうつ!こじょうありす!」

(この道を通るな!この道には鳥の巣がある)

もう一方の集団が叫びました。この言語はトット国のさらに向こうにあるチリア国のものでしょう。大きな荷物を持っていることから考えると、商人の方々でしょうか。こちらは3人の集団で、数では不利です。

お互いの言葉がわからないのでしょう。全く話が進みません。

チリア国の商人の方々は道の途中にあるリンドン鳥という鳥の巣を守りたいようなのです。リンドン鳥はチリア国で神聖な鳥とされています。

「ふよう こじょうてにがりょう!いかいす!」

(この道を通るな!お前たちの荷車が鳥の巣を壊す!)

アイリさんは困った顔で私を見ました。

「言葉が分かる人がいなきゃ、話が先に進まないな。」

「私、、わかります。」

言語は私の大の得意分野です。友達と遊ぶことなく、勉強ばかりしていた私には時間が沢山ありました。トット語、チリア語の両方を勉強しています。

「レイニャ!あんたなら言い争いを解決できるよ!行ってきな!! 」

アイリさんは私の背中を押します。ですが私のようなものが喧嘩に割って入っていくのは、失礼に当たらないでしょうか。

「私なんかが入っていって怒られないでしょうか?」

「だいじょうぶだ!いざとなったら、私がレイニャを連れて走って逃げるから!」

アイリさんの言葉は私に勇気をくれました。この場で両者の言葉が分かるのは私しかいないのです。私は言い争いをしている2つの集団に近づき叫びました。

「リスントミ!」

「せいすうが!」

(聞いてください!!)

私は両者の言語でそれぞれ呼びかけました。無事私の声が届き、争っていた両者は私を見てくれました。

「アアンダスタラングイ ブトカウントリ!」

「うぉへいこうこんご!わーほんやいたいわ!」

(私は2つの国の言葉が分かります!私が会話を通訳します!!)

それは、私の勉強が初めて役に立った瞬間でした。言い争いをしていた2つの集団はようやくお互いの言葉を理解しました。

思惑を理解してから争いが解決するまで時間はかかりませんでした。無事、トット国は鳥の巣を避け、道は再び開かれたのです。


  ◇◇◇

争いごとが解決した後、私とアイリさんはトット国の方に呼び止められていました。

「ほんとうにありがとう。僕はトット国第3王子のアストロといいます。君の名前を教えてくれますか?」

アストロ王子はトット語で言いました。優しそうな人です。王子だというのに、とても丁寧な口調で私に話しかけてくれました。

「レイニャといいます。隣の方は、アイリさんです。」

まさか王子様だとは思いませんでした。失礼のないようにしなくてはいけません。

「レイニャさんはトット語がお上手ですね。僕は外国語を話せないので、本当に尊敬します。」

アストロ王子は穏やかな口調で私を褒めてくれました。褒められ慣れないので、どう対応したらいいかわかりません。ただ、心の底から嬉しいことは確かでした。

「ありがとうございます。」

笑みを堪えきれない私を見て、アイリさんがニヤニヤしています。トット語を話せないアイリさんは、私達の会話の内容をわからないはずです。何か勘違いしているのでしょう。

「レイニャさんはこれからトット国に行かれるのですか?」

「はい。トット国で仕事を探すつもりです。アイリさんも、同じくトット国で仕事を探します。」

アストロ王子は少し考えた後、私に尋ねました。

「レイニャさん。僕の秘書になる気はありませんか?貴方のような賢い女性を僕はずっと探していたのです。」




   ◇◇◇
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