9 / 9
私は幸せになるのです
しおりを挟む
(ざまあみろ、ですね。)
トット国に連行されたミランダは、詐欺の罪で逮捕されました。ミランダは多くの人を騙していたので、それだけ重い刑罰が下るそうです。少なくとも後30年は牢屋から出られないだろうと聞きました。
「レイニャさん。君の両親がトット国に来たいと言っているのですが、どうしたいですか?」
私がトット国に来てから一ヶ月が経った頃、アストロ王子が私に言いました。
アストロ王子によるミランダの逮捕はサルティ国で大変話題になりました。新聞はミランダ逮捕の経緯を事細かく人々に知らせました。その中で私を酷い態度で追い出した父はミランダに並ぶ悪役として都で嫌われているらしいのです。
両親はその状況に耐えかねて、トット国に来て私に養ってもらおうとしています。
「無視してください。私は彼らと共に暮らすつもりはありません。」
どんなに都で大変な思いをしていたとしても、知ったことではありません。だって両親は私のことをずっと無視し続けていたのですから。
私を婚約破棄したロペスも同様に、今では都の嫌われものになったと聞きました。ロペスにも、同情の気持ちは湧いてきません。私がどれほど悲しかったか思い知ってほしいのです。
◇◇◇
半年後。私はアストロ様の秘書としてトット国で元気にはたらいていました。
「レイニャ!!ご飯食べに行こ!」
城での仕事を終えたアイリさんが私の仕事場に顔を出しました。アイリさんとはすっかり親友になりました。
「ちょっとまってください。アイリさん!もう少しでこの書類が片付くんです!」
私は急いで書類に目を通しました。私の仕事は主に、アストロ王子に来るサルティ国とチリア国の文書を翻訳することです。海外からお客様が来たときは、通訳としても働いています。
「ちょっとまってください、アイリさん!今日はだめです!」
アストロ王子はアイリさんに言いました。
「なんでよ?」
アイリさんはアストロ王子の言葉に首をかしげました。アイリさんはトット国の女騎士として城で働いています。初めは全くトット語を話せなかったアイリさんも、今ではかなり上達しました。
「今日は、、、僕がレイニャさんをご飯に誘うつもりだったんです。」
アストロ王子は神妙な顔でアイリさんに言いました。確かに最近は、アストロ王子にさそわれて、私とアストロ王子の二人でご飯を食べに行っています。
ですがこのようにアイリさんの約束に割り込むようなことは、これまでしなかったはずですが?
「おお?そうなのか?ならしょうがないな。明日またレイニャを誘いに来るよ。」
アイリさんはにやりと笑い口元を抑えました。がんばれよ、そう言ってアイリさんはポンポンとアストロの肩を叩きました。
「ありがとう。ごめんなさい。レイニャさん。順番がおかしかったですね。今日俺と、ご飯を食べにいってくれませんか?」
アストロ王子はこわばった顔で私に言いました。なぜアストロ王子はそんなに緊張しているのでしょう?いままで私がアストロ王子の誘いを断ったことは一度もありません。
「はい。是非、行きましょう。」
◇◇◇
「これは、どういうことでしょう?」
仕事が終わると、私は何故か綺麗にドレスアップされました。正装に着替えたアストロ王子は私の手を取って言いました。
「何も聞かないでください。行きましょう。レイニャさん。」
アストロ王子が私を連れて行ったのは、恐ろしいほど高級なレストランでした。私のような平凡な人間が来ていい場所ではない気がします。
私は緊張してきました。何が起こるのやらさっぱりわかりません。そして何より、アストロ王子が酷く緊張しています。
これから何が起こるのかと何度かアストロ王子に尋ねても、曖昧な返答ばかりで答えてくれません。
(どうしたらいいのでしょう?)
別に何が起こるわけでもなく、美味しい料理を二人で黙々と食べました。私達の口数が少ないのはいつものことですが、今日は特別静かでした。
デザートを食べ終わった後、アストロ王子は私を真っ直ぐに見つめました。
「レイニャさん。」
アストロ王子に名前を呼ばれて、私の胸はときめきました。最近はずっとそうです。彼の存在は私の心を幸せにするのです。
「僕と、結婚してください。」
私はゆっくりと口を押さえました。大きな声を出すのを防ぐためです。全く、予想していませんでした。そんなことありえないと思っていたのです。
「私で、、良いのですか?」
私は確かにアストロ王子に恋をしていましたが、叶わぬ恋だと思っていました。王子である彼が私を好きになるわけがないと思い込んでいました。
「僕は、、レイニャさんが好きなのです。貴女とずっと一緒にいられるのなら、どれほど幸せでしょうか。」
アストロ王子の瞳に私が映っていました。優雅な音楽がレストランに流れています。
「よろこんでお受けいたします。アストロ王子。」
こんな日が来るなんて、思ってもみませんでした。勉強ばかりして、誰にも相手にされなかった私が、王子に求婚されているのですから。
ああ、私は幸せになるのです。
トット国に連行されたミランダは、詐欺の罪で逮捕されました。ミランダは多くの人を騙していたので、それだけ重い刑罰が下るそうです。少なくとも後30年は牢屋から出られないだろうと聞きました。
「レイニャさん。君の両親がトット国に来たいと言っているのですが、どうしたいですか?」
私がトット国に来てから一ヶ月が経った頃、アストロ王子が私に言いました。
アストロ王子によるミランダの逮捕はサルティ国で大変話題になりました。新聞はミランダ逮捕の経緯を事細かく人々に知らせました。その中で私を酷い態度で追い出した父はミランダに並ぶ悪役として都で嫌われているらしいのです。
両親はその状況に耐えかねて、トット国に来て私に養ってもらおうとしています。
「無視してください。私は彼らと共に暮らすつもりはありません。」
どんなに都で大変な思いをしていたとしても、知ったことではありません。だって両親は私のことをずっと無視し続けていたのですから。
私を婚約破棄したロペスも同様に、今では都の嫌われものになったと聞きました。ロペスにも、同情の気持ちは湧いてきません。私がどれほど悲しかったか思い知ってほしいのです。
◇◇◇
半年後。私はアストロ様の秘書としてトット国で元気にはたらいていました。
「レイニャ!!ご飯食べに行こ!」
城での仕事を終えたアイリさんが私の仕事場に顔を出しました。アイリさんとはすっかり親友になりました。
「ちょっとまってください。アイリさん!もう少しでこの書類が片付くんです!」
私は急いで書類に目を通しました。私の仕事は主に、アストロ王子に来るサルティ国とチリア国の文書を翻訳することです。海外からお客様が来たときは、通訳としても働いています。
「ちょっとまってください、アイリさん!今日はだめです!」
アストロ王子はアイリさんに言いました。
「なんでよ?」
アイリさんはアストロ王子の言葉に首をかしげました。アイリさんはトット国の女騎士として城で働いています。初めは全くトット語を話せなかったアイリさんも、今ではかなり上達しました。
「今日は、、、僕がレイニャさんをご飯に誘うつもりだったんです。」
アストロ王子は神妙な顔でアイリさんに言いました。確かに最近は、アストロ王子にさそわれて、私とアストロ王子の二人でご飯を食べに行っています。
ですがこのようにアイリさんの約束に割り込むようなことは、これまでしなかったはずですが?
「おお?そうなのか?ならしょうがないな。明日またレイニャを誘いに来るよ。」
アイリさんはにやりと笑い口元を抑えました。がんばれよ、そう言ってアイリさんはポンポンとアストロの肩を叩きました。
「ありがとう。ごめんなさい。レイニャさん。順番がおかしかったですね。今日俺と、ご飯を食べにいってくれませんか?」
アストロ王子はこわばった顔で私に言いました。なぜアストロ王子はそんなに緊張しているのでしょう?いままで私がアストロ王子の誘いを断ったことは一度もありません。
「はい。是非、行きましょう。」
◇◇◇
「これは、どういうことでしょう?」
仕事が終わると、私は何故か綺麗にドレスアップされました。正装に着替えたアストロ王子は私の手を取って言いました。
「何も聞かないでください。行きましょう。レイニャさん。」
アストロ王子が私を連れて行ったのは、恐ろしいほど高級なレストランでした。私のような平凡な人間が来ていい場所ではない気がします。
私は緊張してきました。何が起こるのやらさっぱりわかりません。そして何より、アストロ王子が酷く緊張しています。
これから何が起こるのかと何度かアストロ王子に尋ねても、曖昧な返答ばかりで答えてくれません。
(どうしたらいいのでしょう?)
別に何が起こるわけでもなく、美味しい料理を二人で黙々と食べました。私達の口数が少ないのはいつものことですが、今日は特別静かでした。
デザートを食べ終わった後、アストロ王子は私を真っ直ぐに見つめました。
「レイニャさん。」
アストロ王子に名前を呼ばれて、私の胸はときめきました。最近はずっとそうです。彼の存在は私の心を幸せにするのです。
「僕と、結婚してください。」
私はゆっくりと口を押さえました。大きな声を出すのを防ぐためです。全く、予想していませんでした。そんなことありえないと思っていたのです。
「私で、、良いのですか?」
私は確かにアストロ王子に恋をしていましたが、叶わぬ恋だと思っていました。王子である彼が私を好きになるわけがないと思い込んでいました。
「僕は、、レイニャさんが好きなのです。貴女とずっと一緒にいられるのなら、どれほど幸せでしょうか。」
アストロ王子の瞳に私が映っていました。優雅な音楽がレストランに流れています。
「よろこんでお受けいたします。アストロ王子。」
こんな日が来るなんて、思ってもみませんでした。勉強ばかりして、誰にも相手にされなかった私が、王子に求婚されているのですから。
ああ、私は幸せになるのです。
55
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた
堀 和三盆
恋愛
「ずるいですわ、ずるいですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な髪留めが欲しいです!」
ドレス、靴、カバン等の値の張る物から、婚約者からの贈り物まで。義妹は気に入ったものがあれば、何でも『ずるい、ずるい』と言って私から奪っていく。
どうしてこうなったかと言えば……まあ、貴族の中では珍しくもない。後妻の連れ子とのアレコレだ。お父様に相談しても「いいから『ずるい』と言われたら義妹に譲ってあげなさい」と、話にならない。仕方なく義妹の欲しがるものは渡しているが、いい加減それも面倒になってきた。
――何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので。
ここは手っ取り早く魔法使いに頼んで。
義妹が『ずるい』と言えないように魔法をかけてもらうことにした。
完璧な妹に全てを奪われた私に微笑んでくれたのは
今川幸乃
恋愛
ファーレン王国の大貴族、エルガルド公爵家には二人の姉妹がいた。
長女セシルは真面目だったが、何をやっても人並ぐらいの出来にしかならなかった。
次女リリーは逆に学問も手習いも容姿も図抜けていた。
リリー、両親、学問の先生などセシルに関わる人たちは皆彼女を「出来損ない」と蔑み、いじめを行う。
そんな時、王太子のクリストフと公爵家の縁談が持ち上がる。
父はリリーを推薦するが、クリストフは「二人に会って判断したい」と言った。
「どうせ会ってもリリーが選ばれる」と思ったセシルだったが、思わぬ方法でクリストフはリリーの本性を見抜くのだった。
実家に帰ったら平民の子供に家を乗っ取られていた!両親も言いなりで欲しい物を何でも買い与える。
佐藤 美奈
恋愛
リディア・ウィナードは上品で気高い公爵令嬢。現在16歳で学園で寮生活している。
そんな中、学園が夏休みに入り、久しぶりに生まれ育った故郷に帰ることに。リディアは尊敬する大好きな両親に会うのを楽しみにしていた。
しかし実家に帰ると家の様子がおかしい……?いつものように使用人達の出迎えがない。家に入ると正面に飾ってあったはずの大切な家族の肖像画がなくなっている。
不安な顔でリビングに入って行くと、知らない少女が高級なお菓子を行儀悪くガツガツ食べていた。
「私が好んで食べているスイーツをあんなに下品に……」
リディアの大好物でよく召し上がっているケーキにシュークリームにチョコレート。
幼く見えるので、おそらく年齢はリディアよりも少し年下だろう。驚いて思わず目を丸くしているとメイドに名前を呼ばれる。
平民に好き放題に家を引っかき回されて、遂にはリディアが変わり果てた姿で花と散る。
妹のことが好き過ぎて婚約破棄をしたいそうですが、後悔しても知りませんよ?
カミツドリ
ファンタジー
侯爵令嬢のフリージアは婚約者である第四王子殿下のボルドーに、彼女の妹のことが好きになったという理由で婚約破棄をされてしまう。
フリージアは逆らうことが出来ずに受け入れる以外に、選択肢はなかった。ただし最後に、「後悔しないでくださいね?」という言葉だけを残して去って行く……。
婚約破棄されましたが、私はあなたの婚約者じゃありませんよ?
柴野
恋愛
「シャルロット・アンディース公爵令嬢!!! 今ここでお前との婚約を破棄するッ!」 ある日のこと、学園の新入生歓迎パーティーで婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロット。でも……。 「私はあなたの婚約者じゃありませんよ? どなたかとお間違いなのでは? ――そこにいる女性があなたの婚約者だと思うのですが」 「え!?」 ※ざまぁ100%です。
※小説家になろう、カクヨムに重複投稿しています。
【完結】出来の悪い王太子殿下の婚約者ですって? 私達は承諾しておりません!
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
真実の愛は策略で生まれる ~王太子殿下の婚約者なんて絶対に嫌ですわ~
勉強は出来ず、実技も酷い。顔だけしか取り柄のない一番最初に生まれた王子というだけで、王太子の地位に就いた方。王国を支える3つの公爵家の令嬢達は、他国にも名の知れた淑女であり、王太子レオポルドの婚約者候補に名を連ねた。
「絶対にお断りだわ」
「全員一緒に断りましょうよ」
ちょうど流行している物語の主人公のように演出し、道化を演じて退場していただきましょう。王家も貴族のひとつ、慣習や礼儀作法は守っていただかないと困ります。公爵令嬢3人の策略が花開く!
ハッピーエンド確定、6話完結
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、ノベルアップ+
※2022/05/25、小説家になろう 恋愛日間20位
※2022/05/25、カクヨム 恋愛週間27位
※2022/05/24、小説家になろう 恋愛日間19位
※2022/05/24、カクヨム 恋愛週間29位
※2022/05/23、小説家になろう 恋愛日間27位
※2022/05/21、完結(全6話)
※2022/05/21、カクヨム 恋愛週間41位
※2022/05/20、アルファポリス HOT21位
※2022/05/19、エブリスタ 恋愛トレンド28位
これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?
satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。
結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…
双子の片割れと母に酷いことを言われて傷つきましたが、理解してくれる人と婚約できたはずが、利用価値があったから優しくしてくれたようです
珠宮さくら
恋愛
ベルティーユ・バランドは、よく転ぶことで双子の片割れや母にドジな子供だと思われていた。
でも、それが病気のせいだとわかってから、両親が離婚して片割れとの縁も切れたことで、理解してくれる人と婚約して幸せになるはずだったのだが、そうはならなかった。
理解していると思っていたのにそうではなかったのだ。双子の片割れや母より、わかってくれていると思っていたのも、勘違いしていただけのようだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる