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第1章
第4話:鉄槌の音、疑念の影
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ゲオルグ・バーリントンの咆哮を合図に、眠っていた造船所は、まるで心臓を取り戻した巨人のように、猛烈な勢いで活動を再開した。それは、単なる仕事の再開ではなかった。長年、この港に澱のように溜まっていた諦観と無気力を打ち破る、革命の狼煙だった。
「野郎ども、図面は見たな!まずは古い甲板と内張りを全部剥がせ!だが、フレームと竜骨は絶対に傷つけるなよ!一本でもやったら、てめえの骨で代わりの部品を作らせるからな!」
ゲオルグの怒声に似た檄が飛ぶ。職人たちは、最初こそ「正気か、親方」「二日でなんて無理に決まってる」と戸惑いと疑念の表情を浮かべていた。しかし、巨大な斧をまるで手斧のように軽々と振るい、誰よりも汗を流して先陣を切る親方の姿と、そこに満ちる狂気にも似た熱気に、彼らの心も否応なく燃え移っていった。
バキリ、ゴゴゴ、という轟音と共に、古びた甲板が剥がされていく。埃が舞い、長年陽の光を浴びていなかった船の内部構造が露わになる。そこへ、俺は躊躇なく足を踏み入れた。
「第一班は甲板の撤去を続けろ!第二班は船底の外板剥がしだ!第三班は、これから俺が指示する木材の切り出しを始めてくれ!」
俺が張った声に、職人たちの動きが一瞬止まる。誰もが訝しげな視線を俺に向けた。無理もない。昨日まで町の隅でぼんやりと海を眺めているだけだった、線の細い貴族の若造が、いきなり現場監督のように指示を飛ばし始めたのだ。
「……若様。ここは俺たち職人の仕事場だ。口出しは無用だぜ」
一人の年嵩の職人が、不満を隠そうともせずに言った。他の者たちも、同意するように頷いている。彼らのプライドを考えれば、当然の反応だった。
「あなたの技術を疑っているわけではない。だが、時間は有限だ。俺の頭の中には、完成までの全ての工程が組み立てられている。無駄な動きを一つでも減らすために、最も効率的な手順を指示させてもらう」
俺は前世で、巨大なコンテナ船の建造スケジュールから、ドックでの修繕工程、果ては荷役のタイムテーブルまで、あらゆるプロジェクトマネジメントに携わってきた。数千、数万の部品と人間が複雑に絡み合う作業を、秒単位で管理する。それに比べれば、この船一隻の改造など、子供のパズルのようなものだ。
「例えば、今剥がしているその甲板材。それはただの廃材ではない。厚みを半分に削ぎ、表面を滑らかに加工すれば、新しい内張りとして再利用できる。廃材の処理と新しい材料の準備、二つの手間が一つで済む。どうだ?」
俺が具体的に指摘すると、職人たちは顔を見合わせた。彼らはただ壊して捨てることしか考えていなかったのだろう。その視線には、まだ不満の色は残っているが、わずかに「ほう」という感心の色が混じり始めた。
「木材の切り出しだが、図面のこの部分を見てくれ」
俺は設計図の一枚を広げ、ゲオルグに声をかける。
「親方、この湾曲したフレーム材。これを一枚板から削り出すのは時間がかかりすぎる。薄い板を何枚も重ね、蒸気で熱して曲げながら接着していく『積層材』という技法を使う。強度も単一の木材より増すはずだ」
「積層材だと?聞いたこともねえな……。だが、理屈は分かる。薄板なら曲げやすいし、接着剤で固めちまえば、なるほど……強度は上がるかもしれん」
ゲオルグは腕を組み、唸った。彼の職人としての経験が、俺の提案する未知の技術の可能性を即座に理解したのだ。
「よし、やってみる価値はありそうだ!おい、エリアナ!釜に火を入れろ!蒸気の準備だ!」
「はい、お父さん!」
快活な返事と共に、父親の隣で心配そうに見守っていた娘、エリアナが駆け出した。彼女は男勝りのきびきびとした動きで、巨大な蒸気釜へと向かっていく。その横顔に、俺の技術に対する強い好奇心が浮かんでいるのを、俺は見逃さなかった。
そこから、現場の空気は劇的に変わった。
俺は次々と指示を飛ばしていく。船底の外板を剥がす組には、どの部分から手をつければ船全体の強度を損なわずに作業できるかを。新しい外板を切り出す組には、木目のどの方向で切り出せば最も水の抵抗が少なくなるかを。
俺の指示は、全て前世の造船工学と流体力学に基づいた、具体的な根拠のあるものだった。最初は半信半疑だった職人たちも、その指示の的確さと、無駄のない工程管理に次第に引き込まれ、いつしか俺の言葉に黙って従うようになっていた。
ダリオは、その光景を少し離れた場所から、呆然と眺めていた。
酒浸りで世を拗ねていた老航海士の目には、今のミナトの姿が、かつてアークライト家を率いた先代当主の姿と二重写しになって見えていた。いや、違う。先代様は、確かに偉大な海の支配者だった。だが、目の前の若者は、種類が違う。彼は、海を支配するのではない。海の理を理解し、それを利用し、全く新しい道を切り拓こうとしている。まるで、未来の海を知っているかのように。
「……若様、あんた、本当に俺たちの知ってる若様なのか?」
ダリオの呟きは、鉄を打つ騒音の中に、誰にも聞かれることなく消えていった。
夜になっても、造船所の灯りは消えることがなかった。交代で短い休息を取りながら、作業は不眠不休で続けられる。ボルガが手配してくれた大量の食料とエールが運び込まれ、職人たちの士気は異様なまでに高まっていた。それはもはや、金のための仕事ではなかった。自分たちが、今まさに歴史的な瞬間に立ち会っているという興奮が、彼らを突き動かしていたのだ。
その喧騒は、町で一番格式のある宿の、一番上等な部屋にまで届いていた。
「……騒々しいですわね。夜中まで一体何を騒いでいるのかしら」
セラフィーナ・フォン・ルクスブルクは、ペンを置き、眉をひそめて窓の外に広がる夜の港に目をやった。バーリントン造船所だけが、煌々と明かりを灯し、まるで祭りのような活気に満ちている。
「報告によりますと、ミナト・アークライト様が、バーリントンの親方を説き伏せ、古い船の改造を行っているとのことです。町の男たちのほとんどが、その作業に加わっているとか」
傍に控えていた護衛騎士が、淡々と事実を報告する。
「まあ、無駄なことを。どうせ、ただの悪足掻きですわ。あの廃船同然の港で、たった二日で船を仕立て、交易を成功させるなど、おとぎ話にもなりません」
セラフィーナは冷ややかに言い放ち、再び手元の書類に視線を戻した。そこには、アルトマール港の閉鎖を勧告する報告書の、ほぼ完成した草案が置かれている。数字の上では、この港に未来などありえなかった。
だが。
コンコン、と響く鉄槌の音。職人たちの怒声に近い掛け声。その音の連なりが、なぜか彼女の心を微かに乱した。それは、ただの悪足掻きをする者の音には聞こえなかった。何かを創造し、未来をこじ開けようとする者たちの、力強い協奏曲のように、彼女の耳の奥に響き続けていた。
「……明日、少し様子を見てきましょう。あの没落貴族が、どのような無様な夢を見ているのか、この目で確かめておくのも一興ですわ」
彼女のその独り言は、誰に向けたものでもなかった。
翌日。作業開始から二十四時間が経過した頃、海燕号は、その姿を劇的に変えつつあった。
船底には滑らかな第二の外板が張られ、流線型の美しいフォルムが現れている。重心が下がったことで、明らかに安定感が増していた。舵の機構も改良され、エリアナが試しに舵輪を回してみると、以前とは比較にならないほど軽く、滑らかに動くことに驚きの声を上げた。
だが、順調に見えた作業に、大きな問題が立ちはだかった。船の心臓とも言える、帆の問題だ。
「……若様、こいつは無理だ」
ゲオルグが、俺の描いた帆の設計図を手に、苦虫を噛み潰したような顔で言った。
「この、複雑な三角形の帆……縦帆とか言ったか?これを作るには、軽くて、風を孕んでも破れない、特殊な帆布が必要だ。だが、この港にあるのは、漁船に使う分厚くて重い亜麻の布だけだ。これでは、あんたの言うような速度は絶対に出せん」
ゲオルグの言葉に、職人たちの間に動揺が走る。ここまで順調に進んできただけに、その衝撃は大きかった。帆がなければ、船はただの浮かぶ箱だ。俺の計画の根幹が、最後の最後で崩れ去ろうとしていた。
「素材がないなら、別の物で代用はできないのか?」
ダリオが焦ったように尋ねるが、ゲオルグは首を横に振った。
「無理だ。こればかりは、どうにもならん。それに、こんな複雑な形の帆を縫える職人も、ここにはいねえ」
絶望的な空気が、現場を支配する。残された時間は、あと一日もない。今から王都に使いを出して帆布を取り寄せても、到底間に合わなかった。
誰もが諦めかけた、その時だった。
俺は、静かに口を開いた。
「素材がないなら、作ればいい」
その場にいた全員が、俺の顔を唖然として見つめた。
何を言っているんだ、この若様は。帆布を、今から作るだと?糸を紡ぎ、布を織るのに、どれだけの時間がかかると思っている。正気の沙汰ではない。
だが、俺の目は、狂気ではなく、確信に満ちていた。
俺の脳裏には、前世で得た、もう一つの知識が浮かび上がっていた。それは、海運や造船とは全く異なる分野の知識。だが、この状況を打開できる、唯一の可能性を秘めた知識だった。
「ゲオルグさん、この町に、大量の蚕を育てている場所はあるか?そして、腕のいい織物の職人は?」
俺の突拍子もない質問に、ゲオルグもエリアナも、ただ目を白黒させるだけだった。
俺たちの、そして海燕号の運命を賭けた、次なる一手。それは、誰の想像も及ばない領域から放たれようとしていた。
「野郎ども、図面は見たな!まずは古い甲板と内張りを全部剥がせ!だが、フレームと竜骨は絶対に傷つけるなよ!一本でもやったら、てめえの骨で代わりの部品を作らせるからな!」
ゲオルグの怒声に似た檄が飛ぶ。職人たちは、最初こそ「正気か、親方」「二日でなんて無理に決まってる」と戸惑いと疑念の表情を浮かべていた。しかし、巨大な斧をまるで手斧のように軽々と振るい、誰よりも汗を流して先陣を切る親方の姿と、そこに満ちる狂気にも似た熱気に、彼らの心も否応なく燃え移っていった。
バキリ、ゴゴゴ、という轟音と共に、古びた甲板が剥がされていく。埃が舞い、長年陽の光を浴びていなかった船の内部構造が露わになる。そこへ、俺は躊躇なく足を踏み入れた。
「第一班は甲板の撤去を続けろ!第二班は船底の外板剥がしだ!第三班は、これから俺が指示する木材の切り出しを始めてくれ!」
俺が張った声に、職人たちの動きが一瞬止まる。誰もが訝しげな視線を俺に向けた。無理もない。昨日まで町の隅でぼんやりと海を眺めているだけだった、線の細い貴族の若造が、いきなり現場監督のように指示を飛ばし始めたのだ。
「……若様。ここは俺たち職人の仕事場だ。口出しは無用だぜ」
一人の年嵩の職人が、不満を隠そうともせずに言った。他の者たちも、同意するように頷いている。彼らのプライドを考えれば、当然の反応だった。
「あなたの技術を疑っているわけではない。だが、時間は有限だ。俺の頭の中には、完成までの全ての工程が組み立てられている。無駄な動きを一つでも減らすために、最も効率的な手順を指示させてもらう」
俺は前世で、巨大なコンテナ船の建造スケジュールから、ドックでの修繕工程、果ては荷役のタイムテーブルまで、あらゆるプロジェクトマネジメントに携わってきた。数千、数万の部品と人間が複雑に絡み合う作業を、秒単位で管理する。それに比べれば、この船一隻の改造など、子供のパズルのようなものだ。
「例えば、今剥がしているその甲板材。それはただの廃材ではない。厚みを半分に削ぎ、表面を滑らかに加工すれば、新しい内張りとして再利用できる。廃材の処理と新しい材料の準備、二つの手間が一つで済む。どうだ?」
俺が具体的に指摘すると、職人たちは顔を見合わせた。彼らはただ壊して捨てることしか考えていなかったのだろう。その視線には、まだ不満の色は残っているが、わずかに「ほう」という感心の色が混じり始めた。
「木材の切り出しだが、図面のこの部分を見てくれ」
俺は設計図の一枚を広げ、ゲオルグに声をかける。
「親方、この湾曲したフレーム材。これを一枚板から削り出すのは時間がかかりすぎる。薄い板を何枚も重ね、蒸気で熱して曲げながら接着していく『積層材』という技法を使う。強度も単一の木材より増すはずだ」
「積層材だと?聞いたこともねえな……。だが、理屈は分かる。薄板なら曲げやすいし、接着剤で固めちまえば、なるほど……強度は上がるかもしれん」
ゲオルグは腕を組み、唸った。彼の職人としての経験が、俺の提案する未知の技術の可能性を即座に理解したのだ。
「よし、やってみる価値はありそうだ!おい、エリアナ!釜に火を入れろ!蒸気の準備だ!」
「はい、お父さん!」
快活な返事と共に、父親の隣で心配そうに見守っていた娘、エリアナが駆け出した。彼女は男勝りのきびきびとした動きで、巨大な蒸気釜へと向かっていく。その横顔に、俺の技術に対する強い好奇心が浮かんでいるのを、俺は見逃さなかった。
そこから、現場の空気は劇的に変わった。
俺は次々と指示を飛ばしていく。船底の外板を剥がす組には、どの部分から手をつければ船全体の強度を損なわずに作業できるかを。新しい外板を切り出す組には、木目のどの方向で切り出せば最も水の抵抗が少なくなるかを。
俺の指示は、全て前世の造船工学と流体力学に基づいた、具体的な根拠のあるものだった。最初は半信半疑だった職人たちも、その指示の的確さと、無駄のない工程管理に次第に引き込まれ、いつしか俺の言葉に黙って従うようになっていた。
ダリオは、その光景を少し離れた場所から、呆然と眺めていた。
酒浸りで世を拗ねていた老航海士の目には、今のミナトの姿が、かつてアークライト家を率いた先代当主の姿と二重写しになって見えていた。いや、違う。先代様は、確かに偉大な海の支配者だった。だが、目の前の若者は、種類が違う。彼は、海を支配するのではない。海の理を理解し、それを利用し、全く新しい道を切り拓こうとしている。まるで、未来の海を知っているかのように。
「……若様、あんた、本当に俺たちの知ってる若様なのか?」
ダリオの呟きは、鉄を打つ騒音の中に、誰にも聞かれることなく消えていった。
夜になっても、造船所の灯りは消えることがなかった。交代で短い休息を取りながら、作業は不眠不休で続けられる。ボルガが手配してくれた大量の食料とエールが運び込まれ、職人たちの士気は異様なまでに高まっていた。それはもはや、金のための仕事ではなかった。自分たちが、今まさに歴史的な瞬間に立ち会っているという興奮が、彼らを突き動かしていたのだ。
その喧騒は、町で一番格式のある宿の、一番上等な部屋にまで届いていた。
「……騒々しいですわね。夜中まで一体何を騒いでいるのかしら」
セラフィーナ・フォン・ルクスブルクは、ペンを置き、眉をひそめて窓の外に広がる夜の港に目をやった。バーリントン造船所だけが、煌々と明かりを灯し、まるで祭りのような活気に満ちている。
「報告によりますと、ミナト・アークライト様が、バーリントンの親方を説き伏せ、古い船の改造を行っているとのことです。町の男たちのほとんどが、その作業に加わっているとか」
傍に控えていた護衛騎士が、淡々と事実を報告する。
「まあ、無駄なことを。どうせ、ただの悪足掻きですわ。あの廃船同然の港で、たった二日で船を仕立て、交易を成功させるなど、おとぎ話にもなりません」
セラフィーナは冷ややかに言い放ち、再び手元の書類に視線を戻した。そこには、アルトマール港の閉鎖を勧告する報告書の、ほぼ完成した草案が置かれている。数字の上では、この港に未来などありえなかった。
だが。
コンコン、と響く鉄槌の音。職人たちの怒声に近い掛け声。その音の連なりが、なぜか彼女の心を微かに乱した。それは、ただの悪足掻きをする者の音には聞こえなかった。何かを創造し、未来をこじ開けようとする者たちの、力強い協奏曲のように、彼女の耳の奥に響き続けていた。
「……明日、少し様子を見てきましょう。あの没落貴族が、どのような無様な夢を見ているのか、この目で確かめておくのも一興ですわ」
彼女のその独り言は、誰に向けたものでもなかった。
翌日。作業開始から二十四時間が経過した頃、海燕号は、その姿を劇的に変えつつあった。
船底には滑らかな第二の外板が張られ、流線型の美しいフォルムが現れている。重心が下がったことで、明らかに安定感が増していた。舵の機構も改良され、エリアナが試しに舵輪を回してみると、以前とは比較にならないほど軽く、滑らかに動くことに驚きの声を上げた。
だが、順調に見えた作業に、大きな問題が立ちはだかった。船の心臓とも言える、帆の問題だ。
「……若様、こいつは無理だ」
ゲオルグが、俺の描いた帆の設計図を手に、苦虫を噛み潰したような顔で言った。
「この、複雑な三角形の帆……縦帆とか言ったか?これを作るには、軽くて、風を孕んでも破れない、特殊な帆布が必要だ。だが、この港にあるのは、漁船に使う分厚くて重い亜麻の布だけだ。これでは、あんたの言うような速度は絶対に出せん」
ゲオルグの言葉に、職人たちの間に動揺が走る。ここまで順調に進んできただけに、その衝撃は大きかった。帆がなければ、船はただの浮かぶ箱だ。俺の計画の根幹が、最後の最後で崩れ去ろうとしていた。
「素材がないなら、別の物で代用はできないのか?」
ダリオが焦ったように尋ねるが、ゲオルグは首を横に振った。
「無理だ。こればかりは、どうにもならん。それに、こんな複雑な形の帆を縫える職人も、ここにはいねえ」
絶望的な空気が、現場を支配する。残された時間は、あと一日もない。今から王都に使いを出して帆布を取り寄せても、到底間に合わなかった。
誰もが諦めかけた、その時だった。
俺は、静かに口を開いた。
「素材がないなら、作ればいい」
その場にいた全員が、俺の顔を唖然として見つめた。
何を言っているんだ、この若様は。帆布を、今から作るだと?糸を紡ぎ、布を織るのに、どれだけの時間がかかると思っている。正気の沙汰ではない。
だが、俺の目は、狂気ではなく、確信に満ちていた。
俺の脳裏には、前世で得た、もう一つの知識が浮かび上がっていた。それは、海運や造船とは全く異なる分野の知識。だが、この状況を打開できる、唯一の可能性を秘めた知識だった。
「ゲオルグさん、この町に、大量の蚕を育てている場所はあるか?そして、腕のいい織物の職人は?」
俺の突拍子もない質問に、ゲオルグもエリアナも、ただ目を白黒させるだけだった。
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